漬物の老舗が手掛ける発酵食ランチ!『河村屋 浅草店』

デトックス薬膳玉ねぎグリーンカレー1000円。3種類の玉ねぎの漬物にぬか漬けなども付く。
デトックス薬膳玉ねぎグリーンカレー1000円。3種類の玉ねぎの漬物にぬか漬けなども付く。
人気の「大福神漬」を手にする染谷さん。
人気の「大福神漬」を手にする染谷さん。
写真提供=河村屋 浅草店。
写真提供=河村屋 浅草店。

江戸後期に埼玉で創業した漬物製造会社の直営店が2025年5月にリニューアル。2階の食事処『江戸の茶屋 八重乃香』では、薬膳がテーマの玉ねぎの漬物を使った料理などが味わえる。本格派のグリーンカレーは「桑の葉パウダー入りでデトックス効果大です」と、10代目の染谷静香さん。1階では自家製ぬか漬けも販売し、角打ちスペースでつまめるぞ。

10:00~18:00(2階は木~日のみで11:30~16:30)、無休。
☎03-5806-0266

香りづくりって面白い!『inimu』

「コウサク」のファブリックミスト1300円には浅草限定の香りもある。
「コウサク」のファブリックミスト1300円には浅草限定の香りもある。

「伝」の字を分解して“イニム”。香りや日本のものづくりの魅力を伝えたいと名付けられた店は、多彩な香りの商品だけでなく、香りづくり体験「コウサク(香作)」も楽しい。ファブリックミストは、カシスやアッサムティーなど12種類以上の香料水を自由にボトルに注ぐ。調香師のように香料を調合して自分だけの香水が作れる要予約のワークショップもあり。

10:30~18:00、月(祝の場合は営業、翌火)休。
☎070-7401-3069

人や物がつながる縁側のような場を『ENGAWA ASAKUSA』

併設するカフェ・バーでは、茶釜で沸かした湯で淹(い)れた嬉野茶などが飲める。特上煎茶660円。
併設するカフェ・バーでは、茶釜で沸かした湯で淹(い)れた嬉野茶などが飲める。特上煎茶660円。

日本家屋の古材を内装に用い、かまどを模したカウンターや縁側みたいなカフェベンチを配するのは、2025年10月開店のセレクトショップ。日用品からギフトまで全国各地の逸品が約400点集結する。特筆すべきは醤油やポン酢などの選りすぐりの調味料。専門スタッフによる熱意ある説明を聞き味比べできるので、きっとお気に入りと出合えるはず。

10:00~21:30(カフェ・バーは21:00LO)、水休。
☎090-9140-1761

東京唯一のそろばん専門店『山本そろばん店』

色や絵柄が12種類ある、季節そろばん。クリスマス(12月)。
色や絵柄が12種類ある、季節そろばん。クリスマス(12月)。
そろばん玉をくり抜いたツゲの端材300円~。
そろばん玉をくり抜いたツゲの端材300円~。

139桁の大そろばんが出迎える、昭和初期創業のそろばん店。「当時から文房具店や百貨店などで扱われたので専門店は珍しかったそうです」と3代目。1桁だけのアクセサリーから幼児用、主流の23桁、さらには貴重な非売品までと、品ぞろえはまるで博物館。密かな人気はそろばん玉の端材で、買う人によって用途が異なるのだとか。

10:00~17:00(土・日・祝は11:00~18:00)、木・第3水休。
☎03-3841-7503

色柄の出方は百花繚乱!『Indigo Ninja』

代表の河村晶太郎さん(右)と店長の大野結香さんの足元ももちろん足袋シューズ。
代表の河村晶太郎さん(右)と店長の大野結香さんの足元ももちろん足袋シューズ。
サイズは22~30cmで、各2万8000円。
サイズは22~30cmで、各2万8000円。

昔は寿司屋だったという趣ある商店建築を改装し2025年6月に開店。並ぶのは色柄さまざまな一点物の足袋シューズだ。大量廃棄される浴衣を救出し、岡山の職人の手により地下足袋のようなハイカットスニーカーによみがえらせている。浴衣は綿生地なので丈夫で軽く、足首までしっかりホールド。指で踏ん張れる足袋型は安定感がありとにかく歩きやすいとのこと。

10:30~18:00、無休。
☎080-9579-0633

歩く人も自転車乗りもハッピーチャージ『CAFE POTA』

ドーナツ350円、自家製レモネード700円、かぼちゃプリン650円。
ドーナツ350円、自家製レモネード700円、かぼちゃプリン650円。

自転車好きの橋本幸恵さんが、サイクリストも立ち寄れるようにと2024年に開いたカフェ。ハッピーカラーの黄色いモノたちに囲まれ、瀬戸田産のレモンを使ったレモネード、バナナスムージー、秋冬限定の濃厚なカボチャプリンなどと、ドリンクや軽食も黄色系がちらほら。青々とした人工芝が敷かれて庭のような明るい店内でくつろげば、身も心も元気になれそう。テイクアウトは店頭の窓からどうぞ。

10:00~17:00(土・日・祝は9:00~)、月休(不定休あり)。

心ウキウキ、浅草生まれの革小物『Kanmi.』

石塚由紀子さん(左)。
石塚由紀子さん(左)。
キャンディルーフ親子がま口6600円。
キャンディルーフ親子がま口6600円。
アニマルキーケース(トリ)3960円。
アニマルキーケース(トリ)3960円。
キャンディバルーンがま口ポーチ7700円。
キャンディバルーンがま口ポーチ7700円。

革小物を手掛ける石塚由紀子さんが工房近くで営む店は、細い入り口から多彩な品でいっぱい。丁寧になめし染められた牛革の浅草レザーを使い、職人の手仕事によるアクセサリーやがま口、バッグが1000アイテム以上並ぶ。手触りよくきれいな発色、水玉模様の型押しや動物モチーフなどの独創的なデザインに、心ウキウキ。

13:00~18:00(日は10:00~12:00・13:00~18:00)、不定休(HPで要確認)。
☎03-6280-7225

干したり漬けたり、食文化の奥深さを再発見『ほしや』

干物串おまかせ5本盛り合わせ1250円、ドライフードアソート1品330円、レモンを黒糖焼酎と黒糖に漬けたブラックレモンサワー770円。
干物串おまかせ5本盛り合わせ1250円、ドライフードアソート1品330円、レモンを黒糖焼酎と黒糖に漬けたブラックレモンサワー770円。
カウンターには自家製の漬け酒が約10種類。
カウンターには自家製の漬け酒が約10種類。

古ビルの1階、ガラスの引き戸をのぞけば、小上がりやロフトをしつらえた酒場空間。魚や肉、野菜や果物などの干し物にこだわった創作料理と漬け酒が楽しめる。名物は干物串。豊洲市場から仕入れるブリやサバ、サワラに銀鮭、赤魚などを、店で丁寧に骨を抜き串焼きにして提供してくれる。食べやすく、魚を一度に多種類味わえると人気だ。

月・火・水は11:00~15:00LO、金・土・日は17:00~24:00、木休。
☎03-5830-3032

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数多の人をもてなし続けて何百年のキャパシティ

一大観光地の昨今の熱狂に、怖(お)じ気づいていた。街なかは激混みな上、インバウンドに全集中。飛び交う言葉は英語ほか外国語で、店々の表記も英字ばかり。まるでこっちが海外旅行に来た気分。10年前には思いもしなかった光景だ。

だから新仲見世通りで純然たる漬物屋を見つけた時は思わず逃げ込んだ。『河村屋 浅草店』の店先でいい塩梅のぬか漬けを堪能していると、「うち、カレーもいいですよ」と店員さん。え、漬物屋で!? デトックス薬膳玉ねぎグリーンカレーの、そのソースをたっぷり味わえるカレーは本場顔負け。デトックス効果か、心もスッキリ、勇気凛々(りんりん)。気を取り直して、いざ回遊だ。

国際通りから見た新仲見世通り。アーケードの大きな「新」の字が主張する。
国際通りから見た新仲見世通り。アーケードの大きな「新」の字が主張する。

浅草寺脇の路地でひかれた『inimu』ではファブリックミストづくりに挑戦。実はここでは「馨(かお)る浅草プロジェクト」と題し、浅草の飲食店やホテルなどの協力店に四季ごとの香りのディフューザーを届ける面白い試みも行っているとか。ちなみに今冬の香りはミルクティー。香りをたずねる浅草巡りってのも乙だねえ。

馬道通りには『ENGAWA ASAKUSA』がオープン。モダンな土産店かと思えば、調味料などの身近な実用品も多く、地元の人もよく訪れるという。地元を向いている新しい店もちゃんとあるんだな。

オレンジ通りのキャラ、オレンテくんが郵便ポストに!
オレンジ通りのキャラ、オレンテくんが郵便ポストに!

ところでこのオーバーツーリズム、地元の人はどう思っている?「確かにここ1、2年は過剰。ですが、浅草は江戸時代から何百年にもわたってたくさんの人を迎え入れて来た、昔ながらの歓楽街。おもてなしの文化が根付いている。だから今もキャパシティが大きいのだと思います。うちも、そろばんに縁のない人も買ってくださるし、日本中、世界中の人とお話できるし、楽しませてもらっています」と、『山本そろばん店』の3代目。なるほど。そう思うと浅草は頼もしい。

花川戸では靴・履物の街らしい『Indigo Ninja』を発見。でも廃棄される浴衣から生まれた足袋シューズというのが新しい。

隅田公園にパラボラアンテナ!? 実は「グリーン・プラネット」なる作品。
隅田公園にパラボラアンテナ!? 実は「グリーン・プラネット」なる作品。
スタチュー(彫像芸)などの大道芸がいつでも見られる六区ブロードウェイ商店街。
スタチュー(彫像芸)などの大道芸がいつでも見られる六区ブロードウェイ商店街。

さて、隅田川を眺めつつ隅田公園を南下。吾妻橋から雷門1~2丁目に入ると、さっきまでの喧騒(けんそう)も忘れる平穏さだ。

「浅草っていつもお祭りしてるような街ですよね。でもこちらは雑踏のない静かな地域。道を渡れば浅草感が味わえるぐらいが私にはちょうどよくて」と、『CAFE POTA』の橋本幸恵さんは笑う。

「古くから住む人も多くて、優しい街。土地も平坦(へいたん)で、周辺に革問屋さんや材料屋さんも揃うから自転車で回るのも便利ですよ」。そう話す『Kanmi.』の石塚由紀子さんは、おすすめの店を載せたマップを作って配るほど、街を気に入っている。

日が暮れて、そろそろ今日の散歩も締めくくり。『ほしや』の淡い明かりに誘われて、干物串と軽やかなレモンサワーで乾杯だ。観光地として進化を続ける頼もしく誇らしい浅草に、親しみを込めて。

水上バス・ヒミコも走る隅田川。後ろには赤い吾妻橋。
水上バス・ヒミコも走る隅田川。後ろには赤い吾妻橋。

取材・文=下里康子 撮影=加藤熊三(ENGAWA ASAKUSA、CAFE POTA、Kanmi.、ほしや、スナップ) 丸毛透(河村屋 浅草店、inimu、山本そろばん店、Indigo Ninja) イラスト=杉崎アチャ
『散歩の達人』2025年12月号より