地元に愛される店を目指して
五反田駅東口から高輪方面へ5分ほど歩いた住宅街の中に、『Bread&Coffee IKEDAYAMA』は現れる。周囲の落ち着いた雰囲気に馴染む、シンプルな外観。店の中に足を踏み入れると、大きなガラス張りの窓の向こうで黙々と作業を行うパン職人の姿が目に入る。それから、カウンターにずらりと並ぶパンの数々。
看板商品は、素材と製法にとことんこだわったパン・ド・ミ(食パン)だ。一般的な食パンの加水量が70%くらいのところ、この店のパン・ド・ミは90%という高加水。そのため “しっとりもっちり”とした食感が味わえる。また、蜂蜜や生クリームなどは加えず、手間暇をかけた湯種製法で小麦本来の甘さを最大限に引き出しているという。そんなパン・ド・ミのほかにも、食べ応えのあるソーセージを挟んだソシソンや、パン・ド・ミと同じ生地で作られたメロンパンも人気が高い。
この店は、自家製パンと自家焙煎コーヒーを一緒に楽しめるベーカリーカフェとして、2016年にオープンした。地域に愛されるベーカリーカフェをつくりたいという想いから、この場所を出店先に選んだと話すのは、広報の落合さん。今では、この店を訪れるお客さんのほとんどが近隣住民の方だと言う。また最近では、SNSや常連の口コミなどをきっかけに、遠方からわざわざ足を延ばして訪れるお客さんも増えているようだ。
安心して食べられるパンを届けたい
この店で扱うパンは、すべて店内で一つ一つ手作りされている。素材の持つ味や香り、食感を最大限に生かしたパンを届けたいと、粉のこね上げからすべての工程を店内で行う「オールスクラッチ製法」というスタイルを採用。キッチンを大きくガラス張りにしているのも、お客さんからパンの製造過程が見えるようにするためだそう。パンがどのように作られているのか、お客さんに直接目にしてもらうことで、より安心して食べてもらいたいという思いやりにあふれた仕組みなのだ。
毎朝8時からオープンするこの店には、平日には出勤前の会社員や、近くにある病院へ通う人が、休日には、家族連れや友人同士で利用する人が多く、賑わいを見せている。8時から10時までのモーニングタイム限定で提供されるメニュー・モーニングセットは、パンをトーストかクロワッサンから、ドリンクをコーヒーか紅茶から選ぶシンプルなセット。人気No.1の看板商品を手軽に味わえるチャンスだ。
広々とした店内ではあるが、2020年7月現在、新型コロナウイルス感染防止のため、混雑時には店内への入場制限を行うなどの対策を取っているという。種類豊富なパンも、すべてビニール袋に個包装をして、感染予防の対策を図っているので安心だ。
『Bread&Coffee IKEDAYAMA』店舗詳細
取材・文・撮影=柿崎真英