本を通して世界を自由に飛び回る『REBEL BOOKS』
新刊本とZINEを扱う独立系書店。「知らないことを知ることができるのが本の面白さ」と店主の荻原貴男さん。選書のテーマは“好奇心を刺激する本”。クラフトビールやコーヒーを飲みながら、ゆっくりと本の世界に浸ることも。著者のトークイベントやワークショップなども随時開催している。全国からユニークなZINEが集結するイベント「ZINPHONY」も好評。
13:00~18:00、水休。
身近な素材が独創的なアート雑貨に『Art&Zakka coppa-house(コッパ ハウス)』
デザイナー夫婦のアトリエ兼雑貨店。木っ端の小さな家アート「coppa house」が主役。身近な素材で、素朴でユニークなオリジナルアート雑貨を手作りすることを心から楽しんでいる。捨てられてしまうものも再利用することで、遊び心たっぷりのアートに生まれ変わる。
12:30~17:00、日休(土・祝不定休あり)。
最新情報はInstagram参照。
懐かしい空間で体にうれしい定食を『椿食堂』
椿町にある築100年の小さな古民家を改装した店内では、昼も夜も野菜たっぷり一汁三菜の定食を提供する。ごはんは圧力釜でふっくら炊き上げた玄米。付け合わせのぬか漬けも、サラダのドレッシングもすべて手作り。毎日食べても飽きない優しい味で、足しげく通う常連も。日本酒などお酒をたしなみながら食事ができるのもうれしい。
11:30~14:30・18:00~21:00(日は昼のみ)、水・木休。
☎070-8426-3498
大人スタイルの上質な古着をセレクト『en』
オランダ在住のバイヤーから仕入れたアメリカ、ヨーロッパの古着を中心に扱う。古着は年代が重視されがちだが「デザインを重視しています。あとはできるだけ天然素材のものをセレクトしていますね」とオーナーの池田友成さん。メンズ、レディースとも、ちょっと大人なきれいめスタイルを取り揃え、幅広い年齢層に支持されている。
13:00~19:00、水休。
話題の新作から、若手監督の作品まで!『シネマテークたかさき』
1987年、自主映画祭でスタートした「高崎映画祭」。2004年、その運営スタッフが中心となって、この群馬唯一のミニシアターを設立した。シネマテークとはフランス語で「映画の図書館」。県内のシネコンでは見られない、コアな映画ファンも注目する、国内外さまざまなジャンルの新作映画を紹介する。若手監督の注目作品もいち早くピックアップ!
10:00~22:00、無休。
☎027-325-1744
落ち着いた風情で上質なコーヒーを『Good Will Coffee』
2024年5月、名喫茶「いし田珈琲」の跡にオープンした自家焙煎のコーヒーショップ。店主の小須田純一さんは、元の店の客だった。お店が閉店になるとの事で、跡地で自分の店を開くことを決意した。エスプレッソトニックは苦味と甘み、爽やかな微炭酸が刺激的だ。濃厚でありながら雑味がなく、丁寧な仕事が伝わる一杯だ。
11:00~19:00、月休。
☎027-395-5358
日常に優しく寄り添う街の本屋さん『本屋ブーケ』
「誰も嫌な気持ちにならないような選書や空間づくりを心がけています」と、おっとり優しい口調で話す店主の松坂優さん。デザイン関連の展示施設で働いていたこともあり、アーティストやデザイナー関連の本も充実。アート作品も並ぶ。かといって、小難しさはなく、誰もが手に取れる本ばかり。保育士の経験も生かし、絵本にも力を入れている。
12:00~18:30(土・日・祝は10:00~)、水休。
立ち飲みで地元民と楽しく交流『コタマブルワリー』
できたてのビールをその場で楽しめるクラフトビール醸造所が2024年3月にオープン。醸造を手掛けるのは岐阜や長野のブルワリーで修業を積んだ武藤良輔さん。「ビールが好き、立ち飲みが好き」という結衣さんと夫婦で営む。バーを併設したのは「交流の場になれば」との思いから。ビール好きが通ったり、銭湯帰りのご近所さんが立ち寄ったり、早くもこの街に溶け込みつつある。営業日時はInstagramで要確認。
極上のヘッドホンで音楽の世界に没入する『Headphone Bar』
イチローズモルトの樽の廃材を活用したヘッドホンで、好きなアナログレコードを聴きながらお酒が楽しめる。オーナーは、群馬を代表する作曲家・音楽プロデューサーの多胡邦夫さん。ヘッドホンも多胡さんが開発したものだ。高音が優しく心地よく耳に響く上質なヘッドホンで、好きな音楽を聴きながら飲むお酒は格別。もちろん、イチローズモルトも充実。
17:00~24:00、日・月休。
☎027-395-0208
パスタには日本酒を合わせる⁉
パスタの街ゆえパスタ専用の日本酒まで! クリーム系によく合う「Osakazuki SAKEDI PASTA Mellow 720ml」1980円。市内酒販店で購入可。
過去があるから今がある。高崎ニューウエーブ!
大学時代を群馬で過ごした。住んでいた隣町からライブを見にきたり、古着を買いにきたり、高崎にはよく遊びにきた。駅に降りたのは、卒業以来25年ぶり。タワレコが入っていた「ビブレ」は『オーパ』に変わっていて、ライブハウス「高崎clubFLEEZ」はなくなっていた。「切ないですよね。憧れの舞台でした」というのは『Good Will Coffee』の小須田さん。元バンドマンで2024年5月、老舗喫茶店の跡にコーヒー店を開業した。店名は映画『Good Will Hunting』からだ。
高崎は映画の街としても知られている。春には高崎映画祭が行われ、そのスタッフが中心となって設立した『シネマテークたかさき』は、市民出資型のミニシアターだ。
昭和レトロな商店街、中央銀座のそばにある『高崎電気館』もまた、市民の後押しで復活。開館は大正2年(1913)で、2001年に休館。2014年に市の施設として再開したのだ。
高崎市民の文化的素養の高さはどこからくるのか。『シネマテークたかさき』支配人の小林さんは「群馬交響楽団の影響が大きい」という。群響は1945年に設立された日本初の地方オーケストラ。活動を支援したのも、市民だった。
そんな『シネマテークたかさき』もまた、今の高崎カルチャーに影響を与えている。『REBEL BOOKS』の店主・荻原さんは「この街でやっていけると思ったのは、シネマテークがあったから」という。店がある椿町界隈(かいわい)は今、個性的な店が増えている。
高崎は控えめにいって最高だ
ちなみに、『REBEL BOOKS』のREBELとは反抗の意。店主のおすすめ本は『従順さのどこがいけないのか』。ロックな精神も高崎っぽい。BOØWYが生まれたのも高崎だもの。『Headphone Bar』のオーナーで、音楽プロデユーサーの多胡さんも「日本の音楽シーンに大きな影響を与えたバンド。私たちの誇りです」という。
多胡さんは、有名プロミュージシャンも利用する市営のレコーディングスタジオ『TAGO STUDIOTAKASAKI』の運営責任者でもある。若手のライブなどもよく見に行くそうだが「『俺は群馬が好きだから、ずっとここでやっていく!』なんてよく聞くけど、だったら世界に行け!って思うんですよね。世界で群馬の名前を轟(とどろ)かせようぜってね」という。
実は、私は失意の中群馬の大学に来たのだけど、いろいろな人や音楽に出会ったことで立ち直っていけた。書くことを仕事にしようと思ったのも、あの頃だった。今、私は日本を飛び回って書いている。でも、満足するのはまだ早い。
取材・文=瀬戸口ゆうこ 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年10月号より