『Hecho en Paraiso(エチョ エン パライソ)』風と味わう幕張ラテンの夕暮れ[幕張]

パストルポーク タコス2p1200円のコーントルティーヤは手作り。エンチラーダ1300円、テキーラの母と呼ばれるメスカルのハイボール800円。
パストルポーク タコス2p1200円のコーントルティーヤは手作り。エンチラーダ1300円、テキーラの母と呼ばれるメスカルのハイボール800円。
右から矢野さん、石原さん。先輩後輩の間柄だ。
右から矢野さん、石原さん。先輩後輩の間柄だ。
メキシコのグアダルーペ寺院グッズも販売。
メキシコのグアダルーペ寺院グッズも販売。
2階とは思えぬ開放感。
2階とは思えぬ開放感。

2024年5月開店のメキシカン料理店が中古マンション2階に潜む。欧州アンティークを配し、窓を開け、ジューシーなタコスとともに蒸留酒・メスカルを舐める恍惚(こうこつ)感といったら。中南米のレコードと相まって、ラテンの風が心地いい。

・17:00~24:00、火休。
・☎043-306-9099

『草古堂』全方位サブカルでワクワク[幕張]

手塚治虫、DVD、懐メロレコード、民芸品やガッドギターまで充実。サブカル雑誌は約40年前の創業時から力を注ぎ、古書店の域を超えた品揃えが魔窟のようだ。「チェロは外せないから飾り」と、2代目店主の相田浩稔(ひろとし)さん。

・10:00~21:00(火は~20:00)、無休。
・☎043-273-4188

「県立幕張海浜公園 見浜園」幕張新都心の隠れオアシス[海浜幕張]

池泉回遊式庭園は、ビルと緑のコントラストが稀有(けう)。太古の大賀ハスが8月まで咲き誇る。「茶室松籟亭(しょうらいてい)」で庭をめでながら抹茶(夏は冷やしあり)と季節の和菓子700円で一服したい。入園料100円。

・8:00~16:30入園(茶室松籟亭は9:00~16:00に券購入)、無休。
・☎043-296-0126

『Yell』服屋だけど、コーヒー目当ても多し[幕張]

wax london ディドコットアップリケ フラワー2万2400円。
wax london ディドコットアップリケ フラワー2万2400円。
TARVAS EXPLORER HAIRY SUEDE Spinach(フィンランド製)5万7200円。
TARVAS EXPLORER HAIRY SUEDE Spinach(フィンランド製)5万7200円。

天然素材を用いた国内外のブランドは、アップリケ、染めなどを施した新しくも懐かしいクラフトもの。また、レジカウンターはコーヒースタンド。英国製カップで供すサイフォンコーヒー500円を片手に、服談義に花が咲く。

・12:00~21:00(土・日・祝~20:00)、火休。
・☎043-375-8411

『パティスリータルブ』甘薯(かんしょ)にまつわる幕張の歴史を味わう[海浜幕張]

昆陽178円。
昆陽178円。
昆陽の郷178円。
昆陽の郷178円。

フランス菓子に、修業した和洋菓子の技を加味する店主の竹見茂雄さんが、幕張の歴史を菓子にした。昆陽は、ひんやりもっちりした求肥に白餡とクリームチーズを加え、なめらかなスイートポテトが香る。焼き菓子版もあり。

・9:30~18:30、火休。
・☎043-351-7551

『伊東電機 習志野ファーム vechica』シャキシャキ野菜は道路下育ち[幕張豊砂]

スマシャキ2個入り220円。
スマシャキ2個入り220円。
ベビーリーフ80g250円。
ベビーリーフ80g250円。

3種のレタスと8種のベビーリーフの採れたてが並ぶ朝10時、大量買いの人がひっきりなしに訪れる。菌が少ない地下10mのトンネルを活用した日本唯一の地下植物工場は、電機メーカーが完全自動化で水耕栽培している。

・金10:00~14:00のみ営業(売り切れ次第終了)。
・☎047-411-4004

『cafe fikasmysa(フィーカスミーサ)』住宅地に出現した北欧空間[幕張豊砂]

カフェ不毛地帯ゆえ、友人を自宅でもてなしていた山崎絵理さんが、2023年にコーヒーと焼き菓子を看板に開店。夏はほろ苦&甘みがクセになるエスプレッソバナナシェイク700円を。エスプレッソチーズケーキ700円と相性抜群。

・9:00~17:00、日・月・火休。
・☎なし

『Hey's Diner』もろ、アメリカンな味とスタイル[幕張本郷]

昼のワッフルフライドチキン1599円は「メイプルの全かけが秘訣」と店主の山下将平さん。ソーダファウンテン+400円のセットでいただこう。夜はメニューが変わる。

・11:00~14:00LO・17:00~21:00LO(土・日・祝は11:00~21:00LO)、火・第3水休。
・☎043-441-7633

『ベーカリー レンガのおうち』気張らない味わいにリピート必至[幕張本郷]

クロッカン250円。
クロッカン250円。
紅茶とリンゴ250円。
紅茶とリンゴ250円。
3匹の子豚(3色ジャム入り)220円。
3匹の子豚(3色ジャム入り)220円。

「毎日食べたくなるように」と、幕張っ子の山本佳菜子さんが供するのは、ふわもちのシンプルな素朴系パン。クロワッサン生地ながら新食感のクロッカン、ゴロゴロ豚肉が入るカレーパンなどに加え、母が自家栽培する野菜も人気だ。

・8:00~18:00、月・木休。
・☎なし
・Instagram:rengano.ouchi

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コントラストがこの街の魅力

秋葉神社境内にある昆陽神社。江戸時代に幕張で甘薯栽培に尽力した青木昆陽が御祭神だ。
秋葉神社境内にある昆陽神社。江戸時代に幕張で甘薯栽培に尽力した青木昆陽が御祭神だ。

幕張新都心は新しい街だ。1989年に誕生した幕張メッセを皮切りに、高層ビルが立ち、2023年には幕張豊砂駅が開業。駅南はまだ物流センターと大型店しかないが、さくら広場の緑、海辺の青一色と、思わぬ自然の彩りに心が躍る。海浜幕張公園の広報・亀井利男さんは「1990年から『見浜園』はありますが、初めてという住民の方も多いのです。ぜひいらしてください」と話し、「この街はコントラストが魅力ですよ」と耳打ちした。確かに、幕張ベイタウンに入ると未来都市から一転、欧州を視察して作っただけあって、ここは外国? と見紛うばかりだ。

1995年誕生の幕張ベイタウンは西欧風集合住宅と広い道のしゃれた街並み。海外っぽい。
1995年誕生の幕張ベイタウンは西欧風集合住宅と広い道のしゃれた街並み。海外っぽい。

内外の人が集い合わせて文化も醸成

大海原に突き出す堤防の先に白灯台がポツン。夕日スポットでもあり、砂浜の豊砂の浜も近い。
大海原に突き出す堤防の先に白灯台がポツン。夕日スポットでもあり、砂浜の豊砂の浜も近い。

幕張本郷の『Hey’s Diner』では欧米人客が嬉々としてフライドチキンを頬張っていた。店主の山下将平さんは「海外経験のある日本人も“懐かしい”と言ってくれます」と目尻を下げる。下町風情の幕張にもメキシカンなど、各国カルチャーの個人店が増えていて、発掘感満載。

505本ものソメイヨシノが立ち並ぶさくら広場。夏は葉桜の木陰となり涼しい。10~17時(11~2月は~16時)、月休。
505本ものソメイヨシノが立ち並ぶさくら広場。夏は葉桜の木陰となり涼しい。10~17時(11~2月は~16時)、月休。

ところが、意外なことに歴史スポットも。『パティスリータルブ』には、江戸時代の大飢饉で死者を出さなかった偉人にあやかった「昆陽」という銘菓があるのだ。「学生さんから教えてもらった歴史を子供たちにも伝えたくて」と竹見茂雄さん。「神社もありますよ」と聞いて向かえば、かつて小山だった神社の下をトンネルが貫き、境内脇を電車が走る異次元スポットだった。

豊砂の浜に至る幕張海浜公園Gブロックの芝生広場は草木が茂り、ネコたちの格好の昼寝スポット。
豊砂の浜に至る幕張海浜公園Gブロックの芝生広場は草木が茂り、ネコたちの格好の昼寝スポット。

『草古堂』2代目の相田浩稔さんが「駅南の信号から先は、かつて海でした」と話すように、幕張の風景は激変した。でも、和文化と各国の文化、歴史と新しさ、日常と非日常。いろいろなものがベイタウンに流れつき、磨きをかけられて同居している。そのコントラストこそが、唯一無二のユニークさを生んでいるのだ。

リクガメのカゲトラちゃんは9歳。総合建材会社『香取』の玄関横で愛嬌を振りまく。
リクガメのカゲトラちゃんは9歳。総合建材会社『香取』の玄関横で愛嬌を振りまく。

取材・文=林 さゆり 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2024年8月号より

お笑い劇場と芸人と街。その三者の素敵な関係を、そこで活躍する芸人自身の言葉からひも解く連載の第二回。卓越した人間描写で唯一無二のコントを作り上げるコンビ・レインボーが案内するのは『よしもと幕張イオンモール劇場』。ツッコミのジャンボたかおは幕張出身。地元ゆえに照れ臭さがあるジャンボと、便利さに幕張ラブなボケの池田直人の対照的な幕張トークでインタビューは始まった。
歩いて、留まって楽しむペデストリアンデッキ。その熱烈なファンで、DJでもあるDJ JIN(RHYMESTER)さんと島 晃一さんに、散歩心くすぐる推しデッキと、そこで聴くべき音楽を「つないで」もらった!