富里ホースパーク
東京ドーム1個分の広い馬場でのびのび乗馬体験
1953年に開設された競走馬の育成牧場『篠原ファーム』に併設された乗馬クラブ。大小4つの馬場と3つの放牧場、バーベキューガーデンなどがある。開放感あふれる環境のなかで、初心者でも気軽に乗馬が体験できる。20頭あまりの競走馬がリフレッシュ・トレーニングを行う育成牧場は見学可。
競走馬のふるさと案内所千葉連絡センター
スタンドを沸かせたあの名馬の今がわかる
競走馬に関するさまざまな情報を提供するサービス施設。重賞レースを勝ち取った名馬や種牡馬の繁殖成績、現役時代の競走成績などの資料を豊富に揃える。千葉・茨城エリアで見学できる競走馬の牧場の紹介窓口でもあり、市内に20以上ある牧場も案内してくれる。
山田牧場
サラブレッドの名馬に会えるのどかな小牧場
千葉県で唯一の生産牧場。今年は夏に2頭、北海道で種付けの予定とか。右ページのツルオカオウジはメイセイオペラの産
駒(さんく)。大井競馬を舞台に活躍し2015年に引退した。脚の怪我で乗馬できず、馬場でゆったり草をはんでいる。くしくも伺ったのは彼の誕生日。熱心なファンが会いにきていた。
富里マメ知識
まさかの分水嶺だった13の里
「富里」という地名の由来はシンプル。現在も字名に残る13村が明治22年(1889)に合併、「十三(とみ)の里」から富里村になった。1985年に町、2002年に市に昇格したが、一度も合併しなかったのはめずらしいケースだ。また市域の多くは、畑作地帯が9割を占める平らな台地。標高40~45mほどなのに、印旛沼に下る高崎川、利根川に合流する根木名川、九十九里浜から太平洋に注ぐ木戸川の分水嶺になっている。
●見学自由。道路元標は千葉県富里市七栄296-1、三角点は千葉県富里市高松和田山437
旧岩崎家末廣別邸
先進的な農法に取り組みスイカの特産品化にも尽力
大正元年(1912)、三菱財閥3代目の岩崎久彌(1865~1955)が養鶏・養豚場を開設。末廣農場と名づけ、畜産などの実験農場として、各種研究が行われた。農場内に建てられた別邸は国の登録有形文化財。母屋のそばに東屋、スクラッチタイル貼りの大谷石の蔵がある。
●見学は敷地外から(市外者はふるさと納税の特典で庭園見学可)。千葉県富里市七栄650-25
富里牧羊場跡
殖産興業で始まった牧畜の歴史を伝える
近代牧畜や羊毛自給の必要を説く内務卿大久保利通の働きで、明治8年(1875)に日本初の官営牧羊場が富里に開設された。関東周辺を調査し、最終的に大久保が放牧に使う「野馬(のま)土手」から周囲を眺め、鶴の一声でここに決まった。ちなみに計画は数年で頓挫、種畜場を経て下総御料牧場となった。
●千葉県富里市十倉字両国沖1322-4
R・E雨宮
「ロータリーの神様」と呼ばれる伝説のチューナー
マツダロータリーエンジンを得意とする、世界的に有名なチューニングショップ。レジェンド的存在の雨宮勇美氏が1974年に創業した。レースでの活躍が印象に強く残るが、古くは「雨宮シャンテ12A」など、チューニングカーや各種パーツの開発にも力を注いでいる。江東区東砂に支店があり、こちらは競技車両が中心。
成田鉄道八街線跡
県営の軽便鉄道として大正3年(1914)5月18日に開通。軌道幅が日本最小の600㎜だったこともあり、三里塚駅から八街駅まで13.8㎞を43分かけて走った。戦争の影響で昭和19年(1944)に休止。右写真のように軌道跡が道に沿って細長く残る。戦後、近隣農家に切り売りされた部分だが、道路拡幅で消えるかもしれないのでお早めに。
●見学自由。千葉県富里市御料
Cucina Tokionese Cozima
大地の恵みを生かした素材本位のイタリアン
都内の名店やイタリアで修業したシェフの店。2009年秋に東京・青山から自然豊かな環境を求めて移転、地場の食材を中心に使って腕を振るう。自宅で店の味を楽めるよう、メニューはテイクアウト可。自慢の特製ミートソースを通販や店頭で販売中。350g1080円。
八街飛行場跡
数奇な運命をたどった蒼空の駿馬のふるさと
戦時中、新司偵こと陸軍一〇〇式司令部偵察機の練習部隊が八街に置かれた。村境を越え富里にも及んでいた飛行場は戦後開墾されたが、1965年には新東京国際空港予定地に内定。その後空港建設の代替地となり転入者を受け入れるなど時代に翻弄された。当時の地図と照合すると、碑に面した道が南でカーブするあたりが滑走路端のようだ。
●千葉県富里市十倉四区
稲荷山昌福寺
江戸時代後期の高僧ゆかりの禅刹
曹洞宗の寺。21世の大中京璨(きょうさん)和尚(1806~1871)は、仏教史に名を残す高僧。後に東京帝国大学印度哲学科最初の講師になった仏教学者の原坦山(1819~1892)が、旃檀林で講義をしていた際に論破され、出家したという逸話がある。境内には応永33年(1426)の銘がある美しい宝篋印塔も。扁額とセットでどうぞ。
新橋(にっぱし)観音堂
歴史ある馬の里に立つ、富里最古の馬頭観音
水田の広がる谷津を望んでポツンと立つ。元々、伽藍の一つだったが明治の終わりに寺は合併で消え、18世紀前期の建築といわれる観音堂だけが残された。傍らの石造物群は市文化財。延享元年(1744)の銘がある市内最古の馬頭観音をはじめ、首なし地蔵や板碑をじっくり観賞したい。変わった読みの「新橋」は、平安時代の古文書に出ている古い地名。
●拝観自由。千葉県富里市新橋809
熊野神社
参道左に連なる不思議な小山、その実体は古墳
大同4年(809)に紀州熊野の本宮大社(2020年5月号参照)より勧請されたといわれる古社。住宅が立ち並ぶ丘陵に鎮座する。拝殿に向かって左手の社叢(しゃそう)に、古墳として築かれた小山がいくつかあり、それぞれ子安神社、金毘羅神社、三峰神社、疱瘡神社の祠が載っている。形で残る古いものが少ない富里では抜群に古い史跡だ。
●境内自由。日吉台4-615
富里香取神社
ユニークなスイカの御朱印と御守、絵馬
経津主大神(ふつぬしのおおみかみ)を祀る富里の鎮守。御朱印帳や絵馬、御守など特産のスイカをモチーフにしたオリジナルの授与品が揃う。黒西瓜・西瓜御朱印帳(御朱印込)各1500円。御朱印300円~、西瓜御守700円、西瓜絵馬500円。季節感あふれる月詣限定の御朱印や、毎月1日・15日限定のスイカの皮目と実の部分をモチーフにした御朱印(当面自粛)も楽しみ。
富里のすいかまつり
富里特産のスイカをたっぷりと楽しむ
40年以上続くイベントで、例年約1万5000人が訪れる。スイカにちなんだイベントが盛りだくさんで、なかでも無料の試食コーナーは大人気。形の美しさから食味、糖度の高さを競う「すいか共進会」が前日にあり、そこで出品されたスイカも即売される。
●例年6月第3日曜9:00~14:30開催。千葉県富里市七栄652-1富里市役所 ☎0476-93-4943(千葉県富里市農政課)
富里スイカロードレース大会
“給スイカ所”で有名な富里ならではのレース
2019年に36回を数え、毎年ニュースでもよく報じられる富里の定番イベント。高低差が少ないのどかな田園地帯にコースが設定され、総勢1万人が参加するほどの人気。給水所ならぬ「給スイカ所」、ゴール後の「スイカコーナー」で心ゆくまでスイカを堪能できる。来年こそ、甘くておいしい富里スイカで喉を潤しながら走りたい。
●例年6月第3日曜開催(エントリーは2月中旬)。
紅葉山 七栄稲荷神社
明治維新後、江戸の武士などが最初に入植したエリアに立つ。江戸城内の紅葉山にあった稲荷社から勧請した神社で、昨年遷座150年を迎えた。門前には当初娼楼(しょうろう)が並び短い間だが栄えたという。埼玉県から入植した地区の武州稲荷神社(十倉296-1)など各地区に神社があり、神頼みしたくなる原野開墾の厳しさが偲ばれる。
●境内自由。千葉県富里市七栄326-2
JA富里市産直センター1号店(旬菜館)
スイカを買うなら産地直送のJA直営店へ。毎朝、安全・安心な野菜や肉、卵をはじめ、弁当や総菜が地域の生産者から届けられ、富里の農畜産物を使った加工品「ふるさと産品」も揃う。「とみちゃんピーナッツバターサブレ」648円〜。ニンジンも特産で「にんじんドレッシング」530円、「フルーツ&キャロット」105円など。
スイカ柄ガスタンク
2020年の秋で見納めの、富里名物超巨大スイカ
スイカ柄のペイントを施した直径30mほどの球形ガスタンク。正式名を「千葉ガス富里供給所」という。ネットで真上からの航空写真をみると不思議なオブジェ感が半端ない。地元の要望から実現したもので、20年にわたり富里のシンボルとして君臨。残念ながら2020年10月に解体予定なので見学はお早めに。
●周辺道路や「富里第二工業団地第二公園」などから外観のみ見学可。千葉県富里市中沢269
取材・文・撮影=飯田則夫