幼なじみと生み出したこだわりの癒やし空間
『PARK STAND TOKYO』 の店主・伊藤伸彦さんと青柳宏明さんは小学生のころからの同級生。青柳さんが飲食店経験のあった伊藤さんを誘って『PARK STAND TOKYO』を開店した。
偶然、元材木店であった空き店舗の存在を知り、何もないところからフルリノベーション。他の店にはない木材の温かみが感じられる内装の理由はここにある。木場店で店主を務める伊藤さんから詳しくお話を伺った。
「木材店だったころの杉材や特徴的な梁を活かした内装デザインにこだわりました。杉材はもう生産が終了しているもの。大変貴重なので残しています。吹き抜けもあるので意外と広く、開放的な雰囲気を感じてもらえます」
木材に合うように並べられた観葉植物は、市場に行って自ら選び、仕入れているそう。最近はお客さんの要望に合わせて、観葉植物の販売も始めた。2階は川が見下ろせるソファ席が並ぶ。革張りのソファと、テーブルのサボテン、窓の外には仙台堀川が見える。なんだか自然と心がゆるんでくる。
ガッツリ食べれるランチが魅力!こだわりのアジアご飯が絶品
ランチメニューは、トマトとチキンのスパイスカレー、国産若鶏のカオマンガイ、干し椎茸と国産豚のルーロー飯など、アジアのご飯が中心。ガッツリ食べられるのがうれしいメニューばかり。長野県の契約農家から仕入れているケールやビーツを使ったサラダプレートも人気を集めている。どのメニューもファンがおり、継続して注文する人が多いとのこと。今日はルーロー飯をセレクト。
「お客さんからの要望を聞きながら、メニューを増やしていきました。はじめはタイ米の一種であるジャスミンライスを使っていたのですが、ジャポニカ米のもっちり感も欲しいなと考え、現在は佐賀県で作られているホシユタカという粒が細長い長粒米を使用しています。お米に合うメニューを増やしていった結果、アジアのご飯が中心になりました」
料理に合うようにこだわって選ばれたお米はパラパラとした質感がありながら、もっちりとした食感も楽しめる。ルーロー飯の主役・豚肉からは八角と五香粉がしっかり香り、シャキッとしたクワイの食感がいいアクセントになって、なんだか楽しい。高菜も混ぜ合わせて食べると、和の雰囲気も感じられ、チンゲンサイはいい箸休めに。山椒をかけると、さわやかな風味が香る。スパイシーな風味だけではなく、とろりとした半熟卵と新鮮な野菜も楽しめる大満足の一品だ。
続いて、愛媛産のしまなみレモンを使用したレモネードとお店で焼き上げるPSTバスクチーズケーキを注文。レモネードは甘みと酸味だけでなく、皮の苦味も感じられ、レモンをまるごと楽しむことができる味。そして、食べ応えのありそうな見た目もうれしいPSTバスクチーズケーキ。ずっしりとしたチーズの味わいを、添えられたラズベリーソースの酸味が引き立てる。側面は香ばしい焼き上がりで、飽きずに楽しめるおいしさだ。
カフェご飯だけではなく、スイーツも魅力的な『PARK STAND TOKYO』では、クラシックパンケーキ(グリルドバナナトッピング)も人気。落ち着いた甘さのふわっとしたパンケーキにキャラメリゼされたバナナの自然な甘さがよく合う。スイーツたちを引き立てるオリジナルのPSTブレンドコーヒーもメニューにラインナップ。スッキリとした苦味がありながら、後味はまろやかな甘さがある。
地域へ開けた存在に。ホスピタリティを追求
この店が目指すのは、誰もが気軽に立ち寄れる居心地の良い空間。そのこだわりは外観や内装だけではなく、提供されるメニューにも表れている。
「こんなメニューあったらいいなというお客さんの要望に答える形で、メニューを増やしています。前はテイクアウト用の使い捨てパッケージを使用して、店内飲食をしてもらうスタイルだったんです。パッケージも環境に良いものを選択していたのですが、ゴミが出ることが気になるというお客様も多くて、お皿での提供を始めました」。
お客様に寄り添う形で進化を続けてきた『PARK STAND TOKYO』。地域のお店とのコラボレーションや、音楽イベントなども積極的におこなっている。その背景には、地域に愛されるお店にしたいという想いがあった。
「地域に根ざし、愛されるお店にしたいという想いで、さまざまなコラボレーションをおこなっています。清澄白河エリアを選んだのは物件を見つけたことがきっかけですが、地元の方々にはとてもお世話になっているんです。その恩を返したいという想いで、地域の人にとって立ち寄りやすいお店を目指しています。」
『PARK STAND TOKYO』は、1階のみペット可。間口も広いのでベビーカーでの入店もウェルカムで、子ども連れにも優しい。
「木場公園の横という立地もあって、ペットやお子さんを連れた方もよく来店されます。1人でも多くのお客様に楽しんでもらえるような店作りを続けて、高齢の方から小さいお子さんまでご家族全員で楽しんでもらえるお店にしたいです」。2023年11月には清澄庭園横に2店舗目をオープン。さらに清澄白河・木場エリアで愛される存在となっていくだろう。
さりげない自然に囲まれたチルな空間は、日々の疲れを癒やしてくれること間違いなし。散歩に疲れたら、ゆるやかな一時を味わいにぜひ立ち寄って欲しい。
取材・文・撮影=古澤椋子