【蓮根中央商店会 ハミングロード[蓮根]】
エブリデー買い物天国!
午後3時、ハミングロードに車止めが置かれると、通りに商品や屋台が出され、住民の往来が増える。駄菓子屋は子供たちであふれ、豆腐店、茶舗、精肉店など、暮らしに必要な店がすべてある頼もしさよ。
「東十条から越してきた頃は何にもなくて、先代が仲間を引き連れて1957年に商店街を作ったんです」と話すのは、住吉不動産の吉澤健さんだ。駅周辺に3つも商店街があるが、毎日ホコ天になるのはココだけ。さらに、特価商品を用意する月1朝市も盛況で、『&TAKANO PAIN』の高野えりさんは「にぎやかな人通りに誘われて」と開店を決め、地元出身の『惣菜こむろ』の小室守さんは「いつかここで店を」という念願を叶えた。見上げれば、音符の街灯も愛らしい。実はこれ、街を明るくしたいと商店街が独自で設置したもの。その心意気にも胸が熱くなる。2023年夏から阿波踊りやスタンプラリーなども復活。買い物しながら口ずさみたくなる!
道ゆく人みんなを笑顔にする蓮根の名物『レンコンマンのやきとり おかあ』
「レンコン星からやってきて、レンコンの里でレンコンを焼いてます」と、意気揚々と焼き鳥屋台を毎夕出すのは『カラオケ酒場おかあ』の名物店主レンコンマン。レンコンの串焼き200円は50年継ぎ足しのタレが決め手。
・16:00~18:30、日休。
・☎03-5392-1212
虜(とりこ)になる人続出の低温発酵パン『&TAKANO PAIN(パン)』
低温熟成発酵のパンは小麦の香りが豊か。その中でも力を注ぐのは、4種用意する食パンで、湯種製法の金麦470円はもっちりと甘い。サクサク&リッチなクロワッサン302円など、やみつき必至だ。
・11:30~20:00、月・火休(日は不定休あり)。
・☎080-3513-4529
懐石の技を日替わりで味わう贅沢『惣菜こむろ』
季節ごとに3種の出汁を用意し、総菜ごとに使い分け。日々仕入れる旬の野菜や食材の味を引き立てる。ふわとろの京風だし巻き玉子400円でその真価、実感すべし。2階は要予約で貸し切りコースに対応。
・12:00~売り切れ次第終了、月・祝と最終の日曜休。
・☎090-8088-0874
オーダーメイドでおひとつ、いかが?『提灯 橘屋』
駒形で修業した志村眞人さんは、江戸文字の提灯職人。文字のほか、家紋やロゴ、絵など、要望に応じて2号サイズ3000円~の提灯に手描きする。「文字だけなら2~3日で仕上げますよ」と頼もしい。お祝いなどにもうってつけだ。
・9:00~18:00、日・祝休。
・☎03-3558-9175
缶ビールを携え、その場でかぶりつけ!『えびすや蒲鉾店』
イトヨリ、スケソウダラを練ったさつま揚げ50円がブリッブリの弾力。「そのままが一番」と胸を張るのは2代目の三浦一浩さんだ。カレーボール5コ160円やイカ天100円など、20種以上を日々手作りし、おでんも用意。イートインできる。
・10:00~19:00、日休。
・☎03-3967-2217
蓮根中央商店会 ハミングロード DATA
地下鉄三田線蓮根駅から徒歩4分。
歩行者専用時間は15:00~19:00、朝市は毎月最終日曜6:00~7:30。
Twitter:@hasune_C_Market
【志村銀座商店街(しむらん通り)[志村坂上]】
迷路みたいな横道も見逃すまじ
平日は車が行き交う通り沿い、1947年誕生の『第一ストア』を中心に、商店街が広がる。路地やマンションの奥にも店が潜み、さながらダンジョン。洋品店、ベーカリー、喫茶店など、昭和期から続く商店も少なくない。
元乾物店の『和田屋食品店』は、客の要望から荒巻鮭の切り身販売を始め、今じゃ豊洲市場で一本買いして加工。地方発送するほど評判だ。また、『湯ーとぴあ くまのゆ』では、脱衣場に畳マットを敷いたり、ナノウォーターを導入したり。2代目女将・井上真理子さんは「お湯が柔らかいってほめてくれますよ」とにっこり。他の商店でも、細やかな気配りや工夫のオンパレードで「みんな、喜ぶ顔が見たいんですよ。男性陣が女装してサンバを踊ったこともあるんです。楽しかったな」と、志村銀座商店街の齋藤英雄さん。2023年夏、その名物サンバ祭りが開催決定。5月28日にはフリマも再開した。
晩酌にもおかずにも、最強の魚たち『和田屋食品店』
粗塩、岩塩などを独自に配合。加工した中塩鮭330円を筆頭に、醤油漬けや味噌漬けのメダイ300円~など上質揃いで垂涎だ。しっとり肉厚の身がふくよかな香味も放つ。店頭で炭火焼きした総菜は夕方から。手間要らずのごちそうにも頬が緩む。
・10:00~19:30、水休。
・☎03-3966-6217
男湯限定ながら、宇宙遊泳ができます『湯ーとぴあ くまのゆ』
2、3、4代目が揃い踏み。惑星が浮かぶ男湯のモザイク画が壮大で、熱帯魚が群泳する女湯もなかなかな味わい。薪で沸かした湯が電気、マッサージなど4湯の風呂に満ち、疲れが吹っ飛ぶ。入浴料500円(サウナセット800円)。
・14:00~23:00、水休。
・☎03-3960-5861
香りも楽しい、あんみつ新時代『片山商店』
路地の売店は大正2年(1913)創業の甘味喫茶製造卸。伊豆産天草、琉球黒糖を用いたあんみつ380円が定番だが、寒天、餡、蜜に茶葉を用いたアールグレイ白玉あんみつ440円や季節のフレーバーもお目見え。しゃれた香りだ。
・10:00~17:00、土・日・祝休。
・☎03-5392-2405
志村銀座商店街(しむらん通り) DATA
地下鉄三田線志村坂上駅からすぐ。
歩行者専用時間は日・祝の12:00~18:00。
【板橋イナリ通り商店街[板橋本町]】
こぢんまりした商店街に漂うノスタルジア
中山道沿いの入り口は昼間、目立たない。シャッター商店もちらほらあるが、町そば、町中華、書店に人が吸い込まれ、看板犬のいる酒屋、“幸運の亀”がいる喫茶店では皆、笑顔。
1950年に発足した商店街はかつて都電の電停直結で、2008年には地域連携型モデル商店街として都の指定も受けたが「定番の店が高齢化で」と、板橋イナリ通り商店街の佐藤さんは恐縮しきり。とはいえ、遠方客をも呼び込む駄菓子屋ゲーム博物館、酒場など、新顔もお目見えし、健在っぷりをアピール。そして、どことなく漂うのどかさは、見上げて納得。神明造(しんめいづくり)風の街灯の下、連なる提灯が一つ一つ異なり、各店舗の特徴を描いたイラストに心和む。「不動産屋さんにアーティスト肌の人がいてね、3〜4年ごとに新調しています」。夏の阿波踊りに金魚すくい、晩秋の大銀杏ライトアップなど、地域密着イベントもめじろ押し。手作りの味わいに満ちている。
昭和の名ゲーム機に大人も子供も夢中!『駄菓子屋ゲーム博物館 コン太村』
1970年代の「FOOTBALL」に始まり、小学生時代から収集。館長の膨大なコレクションを入れ替えしながら常時58台が並ぶ。10円ゲームの戦果は駄菓子に引き換えを。店先のガチャはオリジナルでマニア必見。入場料300円。
・14:00~19:00(土・日・祝10:00~)、火・水・木休。
・☎なし
大山どりの総菜パラダイス『鳥弘』
一羽丸ごと仕入れて店でばらすため、鮮度抜群。手羽元は骨付きのままチキンカツ130円、端肉はコロッケ120円に。特製ダレが染みたロールチキン100ℊ290円は「板橋のいっぴん」の名物だ。給食も手がけ、この味で育った住民多し。
・9:00~18:30、日休。
・☎03-3960-1776
新装しても健在!心が和むほっこり系『喫茶 フォルティシモ』
27年間営んだ喫茶店が2023年3月にリニューアルし、シックなカフェに。農園直送みかんと共に取り寄せるのが高知産コシヒカリ。おにぎりランチ900円で味わえば、ふっくらして米の甘みが立ち上る。客に合わせて店主が選ぶコーヒーのカップにもニンマリ。
・9:00~18:00、火休。
・☎03-3968-7791
板橋イナリ通り商店街 DATA
地下鉄三田線板橋本町駅から徒歩4分。
歩行者専用時間は15:00~19:00。
取材・文=佐藤さゆり 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2023年6月号より