江戸東京野菜×名水で多品種少量生産に挑む!
江戸時代から長きにわたり農業を営んできた『はたや農園』。農園主の村野憲也さんが、妻の結希さんと共に熱心に栽培しているのが江戸東京野菜だ。
「実がなったら種を手作業で採取して、翌年にその種をまきます。手間隙が非常にかかるため、やめてしまう農家も多いんです」
と憲也さんが語る通り、今では限られた農園でしか栽培されていない。
また、流通している一般的な野菜のように品種改良されていないため、虫がついたり病気になったりしやすく、村野さんたちも失敗を重ねたそう。ようやく栽培が安定してきたのはこの2、3年だとか。特徴的なのはその味の濃さ。えぐみはなく、すっきりとしながらも独特の深い味わいに驚くかも!
「収穫時期が限られる江戸東京野菜は、まさに旬を味わうための野菜。ぜひ、旬だからこそのおいしさを感じてほしいですね」
と結希さん。料理上手で、SNSでの情報発信も担う。
名水の町として知られる東久留米で、江戸東京野菜を愛してやまない二人。
「数百年前からこの東京で育てられてきたと思うと感慨深い。手間はかかるけれど、伝統野菜として大事に受け継いでいきたいですね」
と憲也さんは明日を見つめる。
はたや農園
Instagram:@yukiki_agri.hataya
生産物は『みらい東久留米新鮮館』で購入可能。
[2〜3月の収穫野菜]
江戸東京野菜では「ごせき晩生小松菜」「三河島菜」「品川カブ」「亀戸ダイコン」。夏にかけては「寺島ナス」「馬込半白キュウリ」「千住ネギ」などが栽培される予定だ。
季節の味 志乃[東久留米]
湧水を含んだ野菜の旨味を繊細に引き出した和食
東久留米の朝採れ野菜をふんだんに使った和食が評判!
「肉や魚は熟成すると旨味が増しますが、野菜は鮮度が一番」と店主・多功 敬(たこう けい)さんがこだわりを語る。野菜の育ちと調理に使う水には相性があるそうで「“平成の名水百選”である湧水で育った野菜は、東久留米の水との相性は抜群。ゆで時間も秒単位で決めます」とも。
野菜が持つ力を存分に引き出した品を堪能あれ。
『季節の味 志乃』店舗詳細
うつわ&カフェ かくしち[東久留米]
地元野菜を使ったメニューとコーヒーでくつろぎの時間を
野菜たっぷりのキッシュなどのランチに加え、日替わりケーキやスコーンが楽しめるカフェ。季節や仕入れ状況にもよるが、地元の新鮮野菜を中心に使用。
「東久留米はおいしい野菜が採れるから、使わない手はないですよね」と、店主の小林康太さん。フレッシュな野菜の力強さが味わいの決め手に。
展示販売中の作家さんの器や、陽光に満ちた中庭を眺めながらゆるりと過ごすのがおすすめ。
『うつわ&カフェ かくしち』店舗詳細
取材・文=大勝きみこ 撮影=中村宗徳、新谷敏司