楽しさ伝わる飾りで、日本の四季を感じるおもてなし
赤いテントが張られた店頭がみえてくる。ビニールの中はテラス席風になっていて、ティータイムを楽しむ外国人の姿もちらほらみえる。
出迎えてくれた店長の竹内章雄さんは、「季節やイベントに合わせて飾り付けを変えるんですよ。9割が外国からのお客様なので、四季を感じてもらいたいなと思っています」と話す。手作り感ある飾りつけは温かな気持ちが伝わってきて、ほっこりする。
世界のビールのライナップはピカイチ。飲むだけで世界旅行気分を
客はカウンターで料理や飲み物の注文をする方式となっている。「世界各国の料理はもちろんですが、約20ヵ国60種類の世界のビールも自慢です。冷蔵庫で冷やしてあるビールをとり、好きなグラスを自分で選んでもらっています」と竹内店長。
常連客が慣れた手つきでグラスを手に取り、「今日はこのビールにしような」などと竹内店長との会話も弾む。ほどよい距離感と気取らない接客は、やさしく受け入れてくるような心地よさを感じる。
大人気の世界料理3品を紹介
ビールと一緒に味わう料理は、初めて訪れたならこの3品がおすすめ。料理に使う野菜には、自社農場「東北牧場」で採れた野草や無農薬野菜、卵を使うこだわりようだ。
1番人気のパリセジーニャは、180gの巨大ハンバーグ入りグラタン。見た目からは、とてもハンバーグと思えないけれど……。割ってみてると、たっぷりチーズの中から、バンズに挟まれたジューシーなハンバーグが姿を現した。本当にハンバーグが入っているんだ!予想はしていたが、ちょっと驚いた。
ビーフ100%のハンバーグと、それを挟むふんわりとしたバンズが食べごたえがある。ソースをかける前にバンスを一度オーブンで焼くことで、水分をあまり含ませず、フワッとした食感を残すことができるのだそうだ。
2品目は、南アフリカのペリペリチキン。骨付きチキンと、トマトやパブリ、カリフラワーなどたっぷりのグリル野菜とともに味わうもので、香辛料のスパイシーな香りが食欲をそそる。
骨付きチキンはレモンとハーブでマリネしているというが、食べ進めるとかなりピリリとスパイスが口の中を支配する大人の味だ!ビールとの相性もよくてどんどん食も進むから、ミニフライパンの中身もどんどん減っていく。
辛味はそれなりに感じるので、ここで違う料理で口直しをという人におすすめなのが次に紹介する料理。
3品目のギリシャ風サラダは、山羊のチーズ・フェタが入ったもので、ギリシャでは「ホリアティキサラタ」と呼ばれるサラダの代表格。
トマトやキュウリ、玉ネギのスライス、葉野菜などがたっぷり入ったさっぱりとした一品で、ほどよい塩味がきいている。ひと口サイズにカットしたチーズはあっさりとした味わいだがほのかな酸味があり、木綿豆腐のような食感がある。
先に紹介したパリセジーニャ、ペリペリチキンの副菜にぴったりで、箸休めに楽しみたい。
多国籍な交流を食事やビールを通じて楽しむ
メニューはここを訪れた訪日外国人の客からヒントを得て作ったものも多いのだとか。ホテルにはミニキッチンも付いていて、宿泊利用しながら自国の料理を披露したり、不定期だがイベントとして各国の家庭料理を教える料理教室も開催している。
店内を見渡してみると、レジにはここを訪れた外国のお客様との楽しい写真がたくさん貼られている。竹内店長は「スタッフ全員で楽しみながらやれたらいいと思っています。国境も越えておしゃべりできる空間なので、ぜひ一度足を運んだいただきたいですね」と話す。
若いスタッフが多いのも特徴だが、フランクな接し方で和気あいあいとしており、楽しさがこちらにも伝わってくる。すぐにでも友達になれそうなのも、この店の魅力のひとつだろう。
年間約110ヶ国の客が訪れ、日本にいながらにして世界の人々とふれあう機会を得られる。外国人との語らいを通して、また違った日本の魅力を再発見する機会を得られるかもしれない。
取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン