野菜もたっぷりの和定食が大人気
煮物や和え物などの副菜と肉巻きの主菜が並び、これだけしっかりとしたご飯食べるのは久しぶりだなと思いながら箸を持つ手がとまらず、ご飯が進む。人気の日替わりごはん定食は、魚か肉を主菜にし、手作りのおばんざい3品や味噌汁も付くので、一人暮らしの身にはありがたい家庭の味だ。
店主の美穂さんは「安心して安全な食材で、身体にやさしい定食スタイルで、毎日食べても飽きない、家庭の味をいつも心がけています」と話す。おばんざいもその日の材料で献立を決めるということで、毎日何が出るのかも楽しみになる。
ランチではほかに、豚バラ角煮定食1500円やハンバーグ定食1400円、ぶり照り焼き定食1300円やさばの味噌煮定食1300円といった、家庭料理では定番の肉、魚料理が用意されている。
自宅で作るのはなかなか手間もかかる品数と、栄養バランスのとれた料理を食べられるとあって、ご近所さんが足繁く通い、近隣のサラリーマンやOLがお弁当を買って帰る姿も目立つ。栄養が偏りがちな外食で、こうした和食を味わえるのは貴重だ。
またお弁当は、「高円寺こども食堂」に協力し提供も行っているということで、地域に欠かせない店となっている。
シロップもケーキもすべて手作り
定食以外にも人気なのが、5月中旬~9月限定発売のかき氷。シロップはすべて自家製ということで店内にはシロップ漬けの瓶が置かれている。
オーダーケーキも受けており、これまで作ったケーキの写真アルバムを見せてもらった。「友人のウェディングケーキも手がけたことがあるんですよ」と広げたアルバムには彩りも豊かなケーキがずらり。デザイン性も高く、美穂さんの器用さに驚かされた。以前はパンも作っていたというから料理好きなのが伝わってくる。
月数回、不定期開催の夜café&BARに
美穂さんは阿佐ヶ谷出身、高円寺には祖母が住んでいるということからこの地には縁が深い。「ケーキを作ったりするのは昔から好きで、いつかはお店をやりたいなと思っていたんです。以前は介護福祉士という仕事に就いていましたが縁あってこの地でお店をもつことができました」。
建物は昭和の六軒長屋で、内装は町屋風にリノベーションしたという。「実は私の弟が椅子張り職人で、ここで使っているイスやソファは弟が布張りしてくれたんですよ」と話す。オリジナリティあるカラフルなイスもポップでかわいく、木の温もり感じる店内にマッチしている。
「年内には夜の部として、不定期開催でバーもオープンします。かつてバーテンダーだった夫が始めるので、夜はウィスキーやカクテルなどを楽しめるまったく異なる店になると思います」と美穂さん。
昼はのんびりとした温かな雰囲気でランチをはじめ、年末にはお節の販売や夏季限定のかき氷の提供。夜はおいしいお酒を味わえる大人のバーになり、地域住民の新たな夜飲みスポットして喜ばれそうだ。
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン