受賞歴多数で日本一になったことも。ラーメン激戦区で変わらず戦い続ける名店
高田馬場・早稲田界隈といえば、JR高田馬場駅、東京メトロ早稲田駅、西早稲田駅の3駅があるため、人通りも多くにぎやかなエリア。学生やサラリーマンが多いからか、ラーメン店の数もハンパなく多いことでも知られている。栄枯盛衰が激しいラーメン激戦区にあって、2007年の開店からずっと人気を誇っているのが『麺屋 宗 高田馬場本店』だ。看板は塩ラーメン。雑誌のラーメングランプリなどで数々の受賞歴がある逸品だ。
炙りチャーシューのいい香りを嗅ぎながら、待つこと5分
食券制、カウンターのみの店内。もちろんオーダーするのは金色塩らぁめんだ。丼を温めた後に始めたのはチャーシューの炙りだ。
自家製のタレに漬け込んでから12時間低温調理した豚肩ロースのチャーシュー。このままで食べてもOKなのだが、特製のタレをかけ、炭火焼きすることで香ばしさがさらにアップする。店長の松村さんからそう聞いたが納得できる話だ。だって焼いている途中、すでに店内にはいい香りでいっぱいだったから。これは食欲が刺激される!
透き通ったスープ、ちぢれた細麺、チャーシューの焦げ目、長いメンマ……。すべてがフォトジェニック
真っ白な丼に黄金色のスープがとても映える。スープは見た目どおりすっきりとした味わいだが、思った以上に旨みが濃い。名古屋コーチンの丸鶏とガラ、野菜などを6時間かけて炊き、丁寧に取ったスープは、口の中で鶏の風味が大きく広がっていく感じがする。次に感じたのは塩味。角がなく、まろやかな味わいはまさにいい塩梅だ。ついつい何口も飲んでしまう。
「この味の決め手は塩なんです」と松村さん。職人が作る海塩「対馬海峡の浜御塩」と、大自然のミネラルが結晶化した岩塩「ヒマラヤのピンクロックソルト」という2種類の塩を使っているからこそ生まれる塩ダレの凝縮した旨み。鶏スープと絶妙に混じり合って、深みのある味わいがある。
ツルツル細麺がスープにベストマッチ!
細麺で表面はとてもなめらか。ツルツルッと気持ちよくすすれる。縮れ方が適度で、さらりとしたスープとよく絡み、ちょうどよく口の中に運んでくれる。また、すすっている最中も縮れの部分がプリプリッとして楽しい。細めとはいえ、モチモチとした弾力があり歯ごたえ十分。麺だけでもかなりおいしいと思うが、スープとのバランスの良さが抜群。プラス150円で大盛にしてもよかったな、とちょっと後悔……。
チャーシューは、炙ったことで外はパリッと香ばしく、中は低温調理のおかげでとてもしっとり。噛むとじゅわっと旨みが溢れ出る。厚みもあるので食べごたえも満点だ。食べすすめると、スープに香ばしさとタレの味が移ってくる。すっきりとした鶏スープはもちろん旨いが、チャーシューによって甘しょっぱく変化していくスープもまた旨い。
穂先だけを使用した柔らかいメンマや、刻みタマネギ、水菜のシャキシャキとした食感がいいアクセントで、飽きることなく一気に食べ終わってしまいそう……。いやその前に!特製うめ酢で味変も試してみよう。角のないまろやかな酸味で塩ダレの味をいっそう引き立てる。梅特有のさわやかさが広がり、また違った風味を楽しめるのでオススメだ。
週替りの限定メニューや学割も!さらに喜んでもらえる店に
秋冬、春、夏と年3回、シーズンごとに4種程度の限定メニューが発表される。秋冬はこってり系、夏はさっぱり系と季節を感じるシーズンメニューがあるが、その日に提供されるのは1種のみ。事前に告知されるので、食べたいメニューがある人は日程をチェックしよう。
学生証を見せると麺増し、半ライス、ジョッキ烏龍茶のどれか一つがサービスになるという学生街ならではの配慮もある。
ラーメン激戦区で長きにわたり人気を誇るこの店。さらに喜んでもらえる店へと進化を続ける名店だ。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ 構成=アド・グリーン