陽光差し込む、開放感ある空間も魅力
天井も高く開放的な店内は、海辺リゾート感を彷彿とさせる内装でリラックスできる。
店は2012年にオープン。代表の三木伸一さんは、「ここで開業すると決めた時に、この地域にないお店をつくりたいという思いがありました。そこで、開業前に1カ月ほど、高円寺でほぼ毎日ご飯を食べてリサーチしたんです。丼ものの単品料理の店が多く、これが毎日続くと少ししんどいなと思って、野菜や魚など体にやさしいものも食べられる一汁三菜を基本とした料理を提供することにしました」と話す。
そう言われてみれば、駅から続く商店街にはチェーンのラーメン店やカフェ、ファミリーレストランなどが立ち並び、定食屋ってないなと気付かされた。
「スタッフや常連のお客様にも、野菜や魚を食べられるところがないからうれしい」と言われたということで、足繁く通うファンも多い。
身体が喜ぶ“コンフォート・フード”を提供
今回味わったのは、2種類の魚を盛り合わせた秋のメニュー。毎年10月ぐらいに出しているという太刀魚の香草パン粉焼きと、秋鮭のベジタルタルのお得感ある料理だ。
野菜のつぶつぶ感がおいしい秋鮭のタルタルは、優しいコクが感じられ、秋鮭の塩けとのバランスがよい。ふんわりとさわやかな風味がたまらない太刀魚の香草パン粉焼きは、表面がカリッと仕上がっており、さっぱりとして食べやすい。
魚は、仕入れ先の魚屋さんおすすめの旬のもの使っているのだそうで、その時々でアイデアを考え、魚をおいしく楽しめるメニューを考案しているという。
プレートにセットになるのは、サラダと自家製ポテトサラダ、玄米とスープ。玄米や料理に使う一部の野菜は、三木さんの出身地である香川県から取り寄せている。
「振り返ってみると、故郷では食卓には魚が並ぶことが多く、野菜もおいしかったので、こうした記憶がメニューに反映されているのかしれません」と話す。
味付けは全体的にやさしい味わいで、素材本来の持ち味を活かすことを大切に調理しているという。だからなのか、食後の満足感もしっかりと得られ、気持ちがほくほくとしてくる。これが幸福な気持ちになる食べ物“コンフォート・フード”の力なのかと、納得がいった。
常にお客様に向き合い、メニュー開発に情熱を向ける
メニューには、魚や肉を主菜にしたランチのほか、週替わりのパスタ1350円といった手軽なカフェメニュー、季節の食材を使った自家製スイーツも用意する。
「毎日来られるお客様もいらっしゃるので、違った料理を楽しんでいただけるよう心がけています。最近は、お客様がまた来店したくなるような魅力あるメニューづくりを意識していますので、一つひとつの料理が力強くなったと思います」と三木さん。
初めは控えめな印象を受けていたが、メニュー作りへの探究心は強く、熱く料理のことを語っていた。穏やかな時間が流れる店内で、身体にやさしい料理を味わえる贅沢は、この店でしか得られない充足感だ。
『light side cafe』店舗詳細
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン