アクセス

電車:JR新宿駅から中央本線・富士急行線で約2時間30分の河口湖駅下車。富士急行バスに乗り換え約24分の鳴沢ほか下車。

車:中央自動車道八王子ICから中央自動車道・同富士吉田線を利用し、河口湖ICまで約68㎞。同ICから鳴沢村中心部まで約7㎞。

青木ヶ原樹海

厳しい環境を生き抜いた神秘の森

足元にあるむき出しの木の根から、たくましい生命力を強く感じる。
足元にあるむき出しの木の根から、たくましい生命力を強く感じる。

864〜866年に起きた貞観の噴火による溶岩流の上に形成された常緑針葉樹を中心とした森。面積は約30㎢にも及び、鳴沢村はその東端に位置する。鳴沢氷穴と富岳風穴を結ぶ東海自然歩道からは、溶岩の上をはう樹木の根やコケ類を観察できる。歩道を外れて樹海奥へと入り込む行為は厳禁。

鳴沢氷穴

噴火の威力を感じながらひんやり体験

富士山の側火山である長尾山が貞観6年(864)に噴火。その溶岩流が生んだ総延長約150mの竪穴型洞窟で、入り口から最深部までの高低差は21m。途中、屈(かが)まないと通り抜けられない場所も。天井からしみ出た水滴が凍り、氷柱となった様子が見事だ。

住所:山梨県南都留郡鳴沢村8533/営業時間:9:00〜17:00最終入洞(時季により時間帯は変動)/定休日:無(臨時休あり)

紅葉(こうよう)台・三湖台

富士山や青木ヶ原樹海を一望

紅葉展望台レストハウス屋上からの眺望。富士山の右すそに側火山跡が並んでいる。
紅葉展望台レストハウス屋上からの眺望。富士山の右すそに側火山跡が並んでいる。

村の北西端、西(さい)湖との間に延びる尾根上にある眺望スポット。紅葉台の一角に立つレストハウスでは、営業時間内に200円を支払えば、建物屋上から富士山をはじめとした大パノラマを堪能できる。紅葉台から尾根伝いに東海自然歩道を約10分歩くと西湖・精進(しょうじ)湖・本栖(もとす)湖を見通す三湖台に着く。木製デッキが敷かれた開放的な場所で、眼下に広がる青木ヶ原樹海のスケールは思わず息をのむほど圧巻だ。

三湖台では青木ヶ原樹海の先に3000m峰の南アルプスを望む。
三湖台では青木ヶ原樹海の先に3000m峰の南アルプスを望む。

足和田山

歩き応えのある急登も待ち受ける

木製の立派な展望台が目印の足和田山山頂。
木製の立派な展望台が目印の足和田山山頂。

三湖台から尾根上の東海自然歩道を50分ほど進んだ先にある標高1355mのピーク。五湖台の名もあるが実際には木々の間からわずかに河口湖が見える程度。一方、南側は伐採されており富士山の眺望がよい。麓の「足和田山入口」からも急な登山道が整備され、約1時間10分で山頂に着く。

ジューデンコーヒー

自然に抱かれたコーヒースタンド

背後を緑に囲まれ、吹き抜ける風もさわやかで心地よい。
背後を緑に囲まれ、吹き抜ける風もさわやかで心地よい。
カフェモカHOT・レギュラー 600円(右)とスモークベーコン×鳴沢キャベツ×とろ〜りチーズのホットサンド。
カフェモカHOT・レギュラー 600円(右)とスモークベーコン×鳴沢キャベツ×とろ〜りチーズのホットサンド。

幹線の国道139号から少々奥まった地にある素朴なオープンカフェ。浅煎か深煎を選べるジューデンコーヒー450円〜、自家製レモネード450円〜など多彩なドリンクメニューに加え、ホットサンド600円、アフォガード600円のフードも提供。しばし喧噪(けんそう)を離れ、くつろぎの“充電タイム”を過ごしたくなる場所だ。テイクアウトもOK。

店主の齋藤康介さん。
店主の齋藤康介さん。
住所:山梨県南都留郡鳴沢村3570-1/営業時間:10:00〜18:00LO(冬季は~17:00LO)/定休日:月・第3火(第3以外の火は不定休)

ブルーベリー館

特産のブルーベリーで村の活性化を

菓子、デザートなどの加工品や冷凍ブルーベリーを次々に商品化。
菓子、デザートなどの加工品や冷凍ブルーベリーを次々に商品化。

村の気候を生かして栽培されるブルーベリー。その魅力を発信する「なるさわブルーベリー応援隊」の拠点で、試行錯誤を経て商品化した菓子(あまずっパイ7個入り1100円)などの加工品を販売。自前のキッチンカーでの出張販売も行っている。例年7〜8月に収穫期を迎えるブルーベリー摘み取り体験(500円)の案内も対応。

●9:00〜17:00、土・日・祝休。山梨県南都留郡鳴沢村760(渡辺印刷内)
☎︎0555-85-2204

ボランティアで活動する「なるさわブルーベリー応援隊」のメンバー。
ボランティアで活動する「なるさわブルーベリー応援隊」のメンバー。

溶岩樹型

噴火の痕跡を間近に観察できる穴場

個々の溶岩樹型ごとに番号が振られている。
個々の溶岩樹型ごとに番号が振られている。

貞観6年に長尾山が噴火した際、流動性の大きい溶岩が樹木を飲み込んだ痕跡で、国の特別天然記念物に指定。国道139号のすぐ北側にあり、一帯には燃え尽きた樹幹の形をした空洞が点在する。入り口には分布図のほか成因や種類を図示した解説板が立ち、「なるほど!」と思わず納得。

道の駅なるさわ

村の中核施設として終日にぎわう

道の駅の背後には雄大な富士山がどっしり控える。
道の駅の背後には雄大な富士山がどっしり控える。

JA鳴沢村が運営する施設で、物産館・軽食堂・インフォメーションが駐車場に沿って並ぶ。近隣のみやげなども扱う物産館での農産物直売が一番の人気で、夏季にはその日の朝に収穫したばかりの高原野菜やトウモロコシなどが、並ぶと同時に飛ぶように売れていくとか。

地下300mから富士の伏流水を汲み上げた不尽の名水。
地下300mから富士の伏流水を汲み上げた不尽の名水。

郷土料理“せんどそば”とは

「せんどつき」と呼ばれる道具で細く切った大根を、温かいそばの上にこんもりと盛った料理で、食料事情が厳しい時代に嵩(かさ)増しするために考えられたもの。『道の駅なるさわ』の軽食堂(9:30〜17:30〔12〜3月は〜16:30〕)で500円(変更の場合あり)で提供しており、食べると大根のシャキシャキした歯応えが印象的だ。自家製南蛮みその辛みもよく合う。

住所:山梨県南都留郡鳴沢村8532-63/営業時間:物産館 9:00〜18:00(7月の中下旬は19:00まで、8月は8:00〜19:00、12〜3月は17:00まで)
軽食堂 9:30〜17:30(12〜3月は16:30まで)/定休日:無

なるさわ富士山博物館

鉱石ミュージアムを併設

マグマの様子や水の流れを立体的に観察できるシースルー富士山。
マグマの様子や水の流れを立体的に観察できるシースルー富士山。

『道の駅なるさわ』の一角にあり、館内地下に置かれた巨大模型のシースルー富士山がひときわ目を引く。溶岩の展示や富士山の謎について知識を深められるコーナーもある。

住所:山梨県南都留郡鳴沢村8532-64/営業時間:9:00〜17:30最終入館(12月中旬〜3月中旬は16:30最終入館)/定休日:無

富士眺望の湯 ゆらり

露天風呂や内風呂から富士山を見通す

真正面に富士山を望む、開放感抜群の女性用霊峰露天風呂。 (写真提供=同施設)。
真正面に富士山を望む、開放感抜群の女性用霊峰露天風呂。 (写真提供=同施設)。
内湯の高見風呂からも窓越しに富士山が見える。
内湯の高見風呂からも窓越しに富士山が見える。

富士山の眺めが自慢の日帰り温泉施設。2層に分かれた開放的な露天風呂のほか、洞窟風呂や蒸し風呂、香り風呂など変わり風呂も備える。貸切風呂(料金別)や2カ所の食事処も併設。

住所:山梨県南都留郡鳴沢村8532-5/営業時間:10:00〜20:00最終入館(土・日・祝・GW・お盆は21:00最終入館)/定休日:無(臨時休あり)

河口湖自動車博物館・飛行舘

8月のみ開館の私設ミュージアム

自動車館はテーマ別にホールAとホールBに分かれ、自動車の歴史も学べる。
自動車館はテーマ別にホールAとホールBに分かれ、自動車の歴史も学べる。
陸軍軍用機ハヤブサ1型(上)と同2型を同時に見られる飛行舘。 (各写真提供=同館)。
陸軍軍用機ハヤブサ1型(上)と同2型を同時に見られる飛行舘。 (各写真提供=同館)。

富士スバルライン近くの別荘地内にあり、自動車館には世界初の自動車ベンツ1号車(1886年)からフェラーリF50まで、名車約80台が揃う。飛行舘ではゼロ戦など太平洋戦争時の軍用機を展示。

住所:山梨県南都留郡鳴沢村富士桜高原内/営業時間:10:00〜16:00/定休日:無(9月〜翌7月は閉館)

御庭(おにわ)・奥庭

富士山中腹に広がる雲上の庭園

富士山の森林限界に位置する御庭の様子。
富士山の森林限界に位置する御庭の様子。

富士山北西側中腹の標高2200〜2400m付近に広がる自然庭園。富士スバルラインを挟んで山頂側が御庭、山麓側が奥庭と呼ばれ、殺風景で荒々しい光景にコメツガやカラマツなどの低木が彩りを添えている。整備された散策路からは噴火口跡を間近に観察でき、夏季にはけなげに咲く高山植物の姿も。御庭から御中道(おちゅうどう)をたどれば、ゆっくり歩いて1時間ほどで富士登山の拠点である富士山五合目に着く。

広がりある光景も魅力の奥庭。眼下の朝霧高原や南アルプスを一望できる展望地もある。
広がりある光景も魅力の奥庭。眼下の朝霧高原や南アルプスを一望できる展望地もある。

旅のワンポイント

富士スバルラインの通行情報も要チェック

御庭・奥庭へのアクセス路となるのが富士スバルライン。荒天時などは通行止めとなり、例年7月中旬〜8月末にはマイカー規制が敷かれる。

正式な住所表記は字名なし

村の住所表記には字名がなく番地のみだがこれが正式。一方、富士山、大田和、ジラゴンノなどの字名が現地では通称として使われている。

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2022年7月号より