“好き”を極めたアツい個性が集結

改札を出ると、目の前に広がるスコーンと開けた大きな空。

のんびりとした空気は変わらないけど、あちこちで真新しいマンションが目に入り、人の流れも多くなった気がする。駅前の逗子銀座商店街では新旧の入れ替わりも。アイスクリーム店『CREMAHOP』は今年2月のオープンだが、休日には行列ができるほど早くも注目を集めている。

商店街を抜け、住宅地を進むと逗子海岸。砂浜に腰を下ろし、『逗子葉山常備菜研究所』で買ったおむすびをパクリ。海のすがすがしい眺めも、口の中でほろっと崩れる握り具合もいい感じだ。

逗子銀座商店街の昔懐かしい雰囲気は若干薄れてきたけど、レトロな店名の看板は健在。
逗子銀座商店街の昔懐かしい雰囲気は若干薄れてきたけど、レトロな店名の看板は健在。
『逗子葉山常備菜研究所』のおむすび。
『逗子葉山常備菜研究所』のおむすび。

車でスルーしがちな道も、のんびり歩けば発見が続々

葉山マリーナの手前で、鐙摺(あぶずり)城跡という小さな旗立山に登ってみたら、頂上から葉山マリーナや江の島が一望。こんなところがあったとは!

同じく改めて発見したのが、『ANIMAL WARNING(アニマル ワーニング)』。店主の羽太(はぶと)さんがコツコツ作るシルバークラフトには、自然を愛する思いがあふれていた。『inuit(イヌイット) coffee roaster』では、店主・乾さんの熱いコーヒー話に興味津々。コーヒーを片手に森戸海岸でひと息ついたら、砂浜を歩いて真名瀬バス停へ。小さな待合所と沖合の鳥居と灯台が入る景色は、写真を撮らずにはいられない。

漁船が停泊し、磯が広がる素朴な雰囲気の真名瀬漁港。ワカメの天日干しは風物詩の一つ。
漁船が停泊し、磯が広がる素朴な雰囲気の真名瀬漁港。ワカメの天日干しは風物詩の一つ。

一色にある『ami hayama』に立ち寄ると、店主・石川さんのワイン愛がひしひし伝わってきた。
「葉山はおもしろい人が多い。話の中でビールのイメージが沸くこともあるよ」
とは、『15(フィフティーン)brewery』の店主・秋山さん。確かに、好きなことを追求している人が多い。好奇心がくすぐられっぱなしだ。

バスで逗子駅に戻り、『肉うどん×酒肴 ざくろ-zakuro-』へ。一杯飲んだあとにいただく、肉うどんのダシの旨味が体に染みる〜。『スズキヤ 逗子駅前店』では、ここでしか買えない商品をいろいろ見つけて大満足。楽しすぎて、ここを去るときはいつも同じ言葉を発してしまう。
「あ〜、帰りたくない!」

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1. CREMAHOP(クレマホップ) 

このアイスのために逗子に来たい!

店主の小松原和明さんが緻密な計算で作り出したアイスクリームはゆるやかな口どけにうっとりする。ヴィーガンのチャイラテとラベンダー&ブルーベリーのダブルは670円(写真)。何回でも試食OK。広い店内で休憩にも最適。

●9:00~ 21:30、無休。☎070-8444-4380

2. HAYAMAYA

総菜やアート作品が買える、おもしろ自販機を発見

逗子で『山や』、『ARiA』などの飲食店を営む愛(あい)良人さんが考案。畑の余った野菜で作られた総菜を24時間いつでも買える。うずらの卵のピクルス550円や生ハムとオリーブのマリネ500円は酸味の加減が抜群でデザインもおしゃれ! 逗子在住作家のレジンアートも。

3. 逗子葉山常備菜研究所

お母さんたちが握るやさしいおむすびが大好評

『アミーゴマーケット』の店主・井上園子さんを中心に、地元の母たちが握るおむすび。昔から家族や知人に好評だったそうで塩加減も絶妙! 具は自家製あさり煮やツナなど1個180円~。

●8:00~15:00(売り切れ次第終了)、水休(月末に水を含む3連休あり)。☎非公開

4. 旗立山(はたたてやま)

源頼朝もここから海を眺めたのだろうか

高さ25mほどの小さな山で、鐙摺(あぶずり)山または軍見山とも呼ばれる。頼朝がこの山を登った際に馬の鎧が摺れたことから鐙摺山と名付けられたという歴史書の記載も。日影茶屋の駐車場脇にある階段が入り口。途中から山道になり、ちょっとした登山気分が味わえる。

5. ANIMAL WARNING

自然から感じるメッセージを形に

店主・羽太さんが手がけるシルバークラフトの店。店内の一角で、銀を削り、叩いて形を仕上げる。足跡をデザインしたペンダントヘッド共歩1万円、クジラのリング昇辿1万2000円などのほか、オーダーも可能。

●12:00ごろ~18:00ごろ、火・水・木休。☎046-804-0322

6. inuit coffee roaster

センス抜群の焙煎で遠方からファンが訪れる

「コーヒーを巡る正しい環境や魅力を伝えたい」と話す店主の乾智彦さん。コツコツと舌の記憶を積み重ねてきたという。オリジナルブレンドのモーニング200g 1400円は、深みがあるけど後味スッキリ。

●11:00~18:00(土・日・祝は9:00~18:00)、火・水休。☎046-874-9874

7. ami hayama

ナチュラルワイン専門店の角打ちでサクッと一杯

地下のセラーに並ぶのは、店主の石川美穂さんが選んだフランス中心のヨーロッパのワイン。日本ではここでしか買えないドイツの都市型ワインIMI WINERYが狙い目だ。角打ちで試飲できるほか、2階にはホテルもある。

●11:00~21:00、火・水休。☎046-874-6776

8. 15brewery

試行錯誤を重ねて独自のレシピを作成

2015年に製造を開始。「ビアスタイルをあまり意識せず、自分と地元の人向けに作っています」と、店主の秋山晋司さんが話すビールは、個性がありながら飲みやすい。量り売りとビンビールを販売。

●14:00~19:00、月休(臨時休あり、公式ブログで要確認)。☎非公開

9. 肉うどん×酒肴 ざくろ-zakuro-

締めは日本酒好きも喜ぶ“飲める”うどん屋へ

佐島の刺し身4種盛り1980円や日本酒を堪能した後は、肉の旨味がス―プに溶けだした肉うどん730円を。うどんは釜揚げでコシも十分! ハーフサイズなど量の調節も応相談。

●11:30~14:00・17:00~23:00(土・日・祝は11:30~23:00)、無休。☎046-876-7270

10. スズキヤ 逗子駅前店

ただのスーパーマーケットじゃない!

創業120年の老舗で、神奈川県内に12店舗展開。クオリティの高い魚介や新鮮な地場野菜のほか、じっくり見ると気になる商品がいっぱい。オリジナルのカレーやドレッシング、逗子・葉山にある人気店の紅茶やコーヒー、お菓子もあり、おみやげの宝庫だ。

●9:00~22:00、無休。☎046-871-3315

取材・文=井島加恵 撮影=小澤義人
『散歩の達人』2022年6月号より