店内で自家焙煎したコーヒーを提供

浅草橋駅の目の前に延びる江戸通り(国道6号)から一本入った場所にある『WESTSIDE COFFEE』。レンガ造りの建物に、一面ガラス張りの外観が目印だ。

ホテルの1階で営業を行うこの店は、“ホテルのロビー”をコンセプトにしているという。「ヨーロッパなどでは、ホテルのロビーにある喫茶店で気軽にお茶を飲む文化があるので、そういう場所をイメージしました。泊まっている人はもちろん、近所の人など、誰でも気軽に使っていただけたら」と西方さん。

店内は、ベンチ席とテーブル席にそれぞれ4~6名ほどが座れるほどの小ぢんまりとした空間。白を基調とした内装が、店内のミニマルな雰囲気をより際立たせる。

この店では豆の焙煎から手掛けている。シングルとブレンドで常時7種類ほどの豆を産地や味わいにこだわって仕入れ、週に2~3回ほど焙煎。焙煎度合いは、豆の持っている素材の味わいが分かるよう浅煎りから中煎りがメイン。コーヒー豆は定期的に銘柄の入れ替えも行っており、訪れる客を飽きさせない。

今ではコーヒー豆を飲食店だけでなくアパレル会社にも卸したり、病院とカフェインレスのコーヒー開発を行ったりと、異業界からもコラボレーションの声が掛かるほどに。

店頭ではコーヒー豆の販売も行う。

さらに、豆の種類によって淹れ方にも違いを見せる。その豆に合った最も美味しい抽出方法を採用し、豆ごとに変えているというのだ。

そんなこだわりの豆から好みのものを選んで楽しみたいという方はハンドドリップを、エスプレッソベースのドリンクがお好みの方はカフェラテやカフェモカをというように、多様なメニューから選べるのも魅力のひとつ。

また、ドリンクとセットで楽しめる自家製のプリンやチーズケーキ、西方さんと交流のあるパティシエが作るレモンケーキなどの焼き菓子も人気が高い。

カフェラテ(ホット)500円、レモンケーキ430円。

今回いただいたカフェラテは、エスプレッソの主張が控えめな優しい飲み口が印象的だった。その理由も、豆の焙煎が深くないことに関係しているようだ。カフェラテのまろやかな味わいは、ほんのり甘酸っぱいレモンケーキとも相性抜群。

おもてなしの心を大切にした接客

西方さんは、かつて某カフェチェーンでマネージャーを務めていた経験の持ち主。その後コーヒー業界から一度は離れるも、コーヒーへの想いを断ち切れず、2020年5月にこの店をオープンした。

店づくりの上で、何よりも大切にしているのが接客だ。「すぐそばの蔵前には美味しいコーヒー屋さんがたくさんあるので、接客だけは負けたくないと思っています」。そう話す西方さんは、今では100人ほどのお客さんの名前を覚えているという。

また、それぞれのお客さんの事情に合わせた臨機応変な対応も欠かさない。足腰が丈夫ではない高齢の女性が来店した場合にはカウンター越しではなくテーブル脇でオーダーを伺ったり、ベビーカーを利用しているお客さんにも気持ち良く利用してもらえるよう配慮したりなど、一人一人に対して細やかな接客を行っている。

店名に自身の苗字を英語で表した“WESTSIDE”を冠したのも、「この店で働いている人が一番の商品である」という意味を込めた決意の表れである。

おもてなしの精神を忘れず、実直にコーヒーと向き合う西方さんの姿は飲食店だけでなく、すべての商売に通じるものがある。その意識の高さに感服するとともに、浅草橋を代表するコーヒー店として、この街のカフェカルチャーをけん引する存在となることを期待したい。

『WESTSIDE COFFEE』店舗詳細

住所:東京都台東区柳橋2-16-16 ホテルブリリオ浅草橋1F/営業時間:8:00~17:00/定休日:水/アクセス:JR総武線浅草橋駅から徒歩5分、地下鉄浅草線浅草橋駅から徒歩4分

取材・文・撮影=柿崎真英