吉祥寺・三鷹の基礎知識
三鷹は、武蔵野の雑木林が残る、自然が美しいエリアだ。この静かな環境に惹かれ、太宰治をはじめ、山本有三や武者小路実篤など多くの文豪が移り住んだ。特に太宰治は、亡くなる日まで住んでいただけに、その足跡を知ることができる展示館やゆかりの地が点在する。
井の頭恩賜公園が広がる武蔵野市吉祥寺は、若者が憧れる住みたい街として人気。吉祥寺通り沿いには雑貨やファッション関連の店が立ち並び、駅周辺には商業施設が立つおしゃれなショッピングエリアでもある。そんな街の中で「ハーモニカ横丁」には昭和時代そのままの趣があり、ここだけは別世界。文学、自然、ファッション、そして横丁。さまざまな表情をもつ街だ。
1 太宰治展示室
太宰治の自宅を再現した展示室
2020年に開設された展示室。各部屋や縁側は、東京都三鷹市と太宰治の歴史、企画展示室、書画展示、体験型展示室などに分かれている。
2 太宰治文学サロン
太宰治の貴重な資料を展示
太宰治が通い、小説『十二月八日』にも登場する伊勢元酒店の跡地に2008年に開館。直筆原稿の複製や初版本などを展示し、定期的に企画展示を開催している。
3 山本有三記念館
作家が住んだ洋館
山本有三が昭和11年(1936)から約10年間住んだ邸宅。大正15年(1926)頃の洋風建築で、石を自然に積み上げたような煙突や3つの暖炉が見どころ。展覧会や朗読会なども行われる。
4 井の頭自然文化園 彫刻園
緑豊かな雑木林の中で彫刻を鑑賞
長崎《平和祈念像》の制作者で知られる彫刻家・北村西望が東京都に寄贈したアトリエと作品群。屋内外を含め、約200点の作品を展示する。
5 井の頭恩賜公園
貴重な武蔵野の雑木林が残る
日本最初の郊外公園として、大正6年(1917)に開園。園内中心にある井の頭池は、江戸時代に引かれた初めての水道である神田上水の水源だ。池ではボート遊びも楽しめる。
四歩
おばあちゃんの料理が手本の定食
ガレージを改装したような建物内では、古道具や日用品を販売。カフェスペースで味わえる、日替わりの本日のごはんセット1210円は、家庭的な料理がおいしいと評判。
6 ハモニカ横丁
小さな店舗が肩寄せ並ぶ
狭い間口の商店が並ぶ様子が、ハーモニカの吹き口に似ていることからこの名が付いたといわれる。羽根付きたい焼きやだんごが評判の『天音』、午前中で売り切れるという羊羹で知られる『小ざさ』、創業20年超えのカフェ『ハモニカキッチン』といった個性豊かな店が多く、約100店舗が集結する。
いせや総本店
吉祥寺の名物焼き鳥店
昭和3年(1928年)創業。焼き鳥1本90円と格安な価格も魅力。元精肉店だっただけに肉を見る目は折り紙付きだ。煮込み、ジャンボシューマイ(3個入り)各360円もおすすめ。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より