◆散歩コース◆

体力度:★★★
難易度:★★☆

●登山シーズン 3月~7月、9月~12月
●最高地点 969m(棒ノ折山)
●歩行開始地点 253m(さわらびの湯バス停)
●歩行時間 6時間
●歩行距離 約14km

スタート
さわらびの湯バス停
車道を上がって行くと名栗湖。ダムの堰堤を歩いて、湖畔沿いの道を行けば登山口に。
↓ 25分
白谷沢登山口
20分で最初の滝、藤懸の滝。その後ゴルジュ地帯を越え、林道を横切り登って行くと尾根上に岩茸石。
↓ 80分
岩茸石
滝ノ平尾根のまっすぐな坂道を登って行くとゴンジリ峠。ここからまた緩い傾斜を上がると山頂へ。
↓ 40分
棒ノ折山
来た道を戻ってゴンジリ峠から直進。多少のアップダウンはあるが、さほどきつくはない尾根道。
↓ 40分
黒山
黒山から逆川ノ丸のピークを越えると展望地があり、富士山も見える。名坂峠から急坂を上がれば岩茸石山。
↓ 75分
岩茸石山
埼玉方面と雲取山方面の展望がいい。高水山へ下るが、惣岳山経由で御嶽駅へ下りれば駅まで約2時間。
↓ 25分
高水山常福院
高水山へは行かずに巻き道で常福院へ行く。先で登山道になり、沢沿いを下る。高源寺から車道に。
↓ 75分
ゴール
軍畑駅

アクセス:
[行き]池袋駅から西武線で飯能駅、飯能駅から国際興業バス「さわらびの湯バス停」、約1時間45分。
[帰り]軍畑駅からJR青梅線で青梅駅、青梅線・中央線に乗り換え新宿駅、約1時間30分。

飯能駅からは名栗車庫、名郷、湯の沢行きなどに乗るが、便によってはさわらびの湯バス停には行かないバスがある。その際は河又名栗湖入口バス停で下車。プラス15分の歩き。
白谷沢の核心部が近い。さらに両側の岩が狭まってくる。
白谷沢の核心部が近い。さらに両側の岩が狭まってくる。

白谷沢は埼玉県飯能市の名栗(なぐり)湖に注ぐ小さな沢のひとつだ。その沢を遡上して棒ノ折山へ登り、奥多摩の岩茸石山(いわたけいしやま)方面に縦走するという渓谷歩きと、ロング縦走を楽しむ贅沢コースへ。

このコースの魅力は、なんといっても白谷沢に尽きる。正真正銘のゴルジュの景観。ゴルジュとはフランス語の登山用語で、喉という意味。岸壁が狭まった峡谷を表している。なかなかこれだけのゴルジュは、日帰りでは味わえない。

ゴルジュ地帯の核心部へ

出発はさわらびの湯バス停。すぐ有馬ダムが見えてくる。ダム湖は名栗湖といい、その堰堤を歩いて湖畔沿いの舗装路を進むと、白谷沢登山口に着く。ここから登山道になり、その先にゴルジュ地帯がある。

最初は普通の登山道で、高度が上がると沢沿いの道になる。沢にはいくつもの滝があり、最初に藤懸(ふじかけ)の滝、さらに天狗の滝など出現。渓谷は岩場の多いゴルジュっぽい景観に変わってくる。

1986年に完成した有馬ダムによってできた名栗湖。
1986年に完成した有馬ダムによってできた名栗湖。

そしてゴルジュ地帯の核心部に入る。ぐぐっと岩壁が両側から迫り、その間を抜けて行く。ちょっと信じられないような迫力のある景観に見とれてしまう。地元では牢門と呼んでいるらしいが、牢屋の門だとしたら、それらしき景観ともいえるかもしれない。

白谷沢のまさに核心部のゴルジュ地帯。これを抜けるとクサリ場があり岩を上がるが、危険ではない。
白谷沢のまさに核心部のゴルジュ地帯。これを抜けるとクサリ場があり岩を上がるが、危険ではない。

突き当りにクサリ場があり、そこを上がって行くと、まもなく岩壁は終了し、普通の渓谷になる。やがて林道へ出て、丸太の階段を上がって行くと、滝ノ平尾根上にある岩茸石に辿り着く。

ここから尾根上の上り一辺倒の道を登って行くと、標高893mのゴンジリ峠に到着。棒ノ折山へは、もうひと頑張り、まもなく山頂へ。広い山頂からは奥武蔵の山々や遠くには筑波山も見えるとか。

アドバイス

白谷沢の核心部は谷筋の岩場、沢登りのような道が多いので、滑りにくいフリクションの効くシューズが望ましい。大雨のあと、凍結期は滝ノ平尾根から棒ノ折山に登ったほうが無難。

奥武蔵の峰々を眺める

棒の折山山頂。正面に飯能の市街、奥武蔵の峰々の展望がいい。棒ノ嶺、棒ノ峰とも呼ばれる。
棒の折山山頂。正面に飯能の市街、奥武蔵の峰々の展望がいい。棒ノ嶺、棒ノ峰とも呼ばれる。

しばし休憩後、同じ道を下る。先は長い。まだ行程の三分の一しか来ていない。ゴンジリ峠へと戻り、尾根道を直進する。黒山、逆川ノ 丸のピークを踏み、尾根道を進む。ようやく道標のある名坂峠へ着いた。

岩茸石山の山頂はすぐその上だが、その最後の登りがきつい。スタートからすでに5時間近くは歩いている。山頂からの展望はまずまず。歩いてきた尾根筋もよく見える。雲取山もかすかに見える。

ゴンジリ峠を過ぎて棒ノ折山山頂手前の広い道。緩い坂道が長い。
ゴンジリ峠を過ぎて棒ノ折山山頂手前の広い道。緩い坂道が長い。
岩茸石山から縦走してきた峰々を振り返る。中央の高い山が棒ノ折山。ここからは雲取山も見える。
岩茸石山から縦走してきた峰々を振り返る。中央の高い山が棒ノ折山。ここからは雲取山も見える。

ここから高水山(たかみずやま)近くの常福院へと向かう。高水山への分岐では山頂には行かずに巻き道を選択して常福院へ直行する。境内をそそくさと通過して、また山道へと入る。日が落ちかかってきたようで、谷筋にある山道では、薄暗くなってきた。急いで下り、砂防ダムから高源寺に出れば車道歩き。軍畑駅まではもうすぐだ。

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高水山常福院

武将たちの信仰を集めた波切白不動明王

標高759mの高水山山頂近くにある寺。畠山重忠など鎌倉時代の武士たちの信仰を集めた。本堂の前に大きな木製の刀が何本か奉納されているのは、波切白不動明王が本尊であるため。境内では毎年4月、古式獅子舞を奉納する。

山歩きメモ

棒ノ折山からの縦走は長いので、どうしてもエスケープしたいとき、それも奥多摩側に下りたい場合は、急坂だが棒ノ折山から奥茶屋に下りて、清東橋まで歩けば川井駅に行くバス便がある。時間にして山頂からバス停まで約1時間。土休日は16時50分が最終。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より