雑司が谷・池袋の基礎知識

再開発により、「国際アート・カルチャー都市」へと生まれ変わりつつある池袋。池袋駅東口は、多目的ホールや映画館などを備えた『Hareza池袋』、西口にはリニューアルした『東京芸術劇場』が立ち、駅周辺は文化・芸術施設が集まっている。

雑司が谷は、雑司ケ谷霊園が広がる緑豊かなエリア。夏目漱石、竹久夢二、小泉八雲、永井荷風……。この地に眠る著名人を列挙すると、まるで日本の近代文学史を見る思い。雑司ヶ谷子母神のケヤキ並木の参道は古木が多く、長い歴史を感じる。

白壁に緑の窓枠が映える『雑司が谷旧宣教師館』、フランク・ロイド・ライト設計の『自由学園 明日館』など、東西に立つ洋館巡りも楽しみだ。

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1 護国寺

伝統建築の粋を多く見られる

徳川5代将軍綱吉が、母・桂昌院の発願により、天和元年(1681)に創建。現存する元禄時代の観音堂と、桃山時代の書院様式を伝える月光殿は国指定重要文化財になっている。

住所:東京都文京区大塚5-40-1/営業時間:境内自由(本堂拝観は9:00〜12:00、13:00〜16:00)/アクセス:地下鉄有楽町線護国寺駅からすぐ
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2 雑司が谷旧宣教師館

区内最古の近代木造洋風建築

アメリカ人宣教師・マッケーレブが自宅として明治40年(1907)に建築し、帰国するまでの34年間この家で生活をしていた。19世紀後半のアメリカ郊外住宅の特色を残している。

住所:東京都豊島区雑司が谷1-25-5/営業時間:9:00〜16:30/定休日:月(祝の場合はその翌も休)・第3日/アクセス:都電荒川線雑司ヶ谷駅から徒歩7分
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3 雑司ケ谷霊園

御鷹部屋時代の松の大樹が残る

江戸時代には、将軍家の薬草栽培の御薬園、鷹狩り部屋や鷹の飼育場所として使われていた。明治7年(1874)に開設し、永井荷風や小泉八雲、夏目漱石(写真)といった多くの著名人が眠る。

住所:東京都豊島区雑司が谷4-25-1/営業時間:入園自由
/アクセス:都電荒川線雑司ヶ谷駅から徒歩5分
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4 雑司ヶ谷鬼子母神堂

安産・子育ての神様として信仰

この地の武士であった山村丹右衛門が永禄4年(1561)に掘り出した鬼子母神像が本尊。現存する鬼子母神堂は、寛文4年(1664)に建てられたもので、東京都豊島区内最古の建築物であり、国の重要文化財に指定。

住所:東京都豊島区雑司が谷3-15-20/営業時間:9:00~17:00/アクセス:JR山手線目白駅から徒歩15分
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5 古書 往来座

文学、カルチャー系が強み

『東京芸術劇場』にあった古書店「古本大學」が2004年に現在地に移転。スタッフそれぞれの嗜好を活かしたラインナップは、文芸、美術、映画などが充実。スタッフ手作りの『名画座かんぺ』のファンも多い。

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キアズマ珈琲

ネルドリップで淹れるコーヒーを

自家焙煎のコーヒーを味わえるカフェ。使い切る分量だけをこまめに焙煎しているから、新鮮な味を楽しめる。ブレンドコーヒーとミルクシフォンのセット850円で試したい。

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6 自由学園 明日館

前庭に臨む窓がシンボリック

ジャーナリスト兼教育者の羽仁もと子・吉一夫妻が理想の教育の場として設立した学校。フランク・ロイド・ライト設計で、大正10年(1921)に建てられた建物は国指定重要文化財。

住所:東京都豊島区西池袋2-31-3/営業時間:10:00〜15:30
/定休日:月・不定休あり(事前に要確認)/アクセス:JR池袋駅から徒歩5分
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7 東京都豊島区立郷土資料館

東京都豊島区のあゆみを知る

東京都豊島区に関する太古から現代までの歴史を、考古資料や地図、写真を使ってわかりやすく展示。戦後の池袋ヤミ市や1930年代に画家や彫刻家が住んだ長崎アトリエ村などのジオラマ展示に注目を。

住所:豊島区西池袋2-37-4 としま産業振興プラザ(IKE・Biz)7F/営業時間:9:00~16:30/定休日:月・祝・第3日/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩6分
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キッチン チェック

昔ながらの町の洋食屋

『池袋ロサ会館』の開館と同時にオープンした創業50年超えの洋食屋。ビーフシチューやハンバーグといった王道メニューが並ぶ。甘めのやさしい味わいのオムライス(サラダ添え)は1000円。

住所:東京都豊島区西池袋1-37-12/営業時間:11:00〜23:00LO/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩3分
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【街探検】IKEBUS(イケバス)

マスコット「イケちゃん」もかわいい、池袋を周遊する便利なバス

ワンステップで乗りやすい
ワンステップで乗りやすい

IKEBUSは、池袋の公園や主要スポットを結ぶ“まちなか交流バス”。真っ赤な塗装と片側5輪のタイヤが目を引く車両は、JR九州の新幹線や特急列車「ななつ星in九州」など多くの交通車両のデザインを手掛ける、水戸岡鋭治さんによるもの。内装も豪華で、木組みの床板や日本の伝統柄を取り入れたシートなど、和の粋をこれでもかと集めたデザインとなっている。

乗り心地もよく、車両後部には車椅子利用の人にやさしい電動リフトを装備している。最高速度19km/hとゆっくり走行するので、池袋の街並みが映る車窓風景をゆっくり楽しみたい。

ルートは、池袋駅東口を起点に、サンシャインシティや東池袋駅を回るAルート、西口を起点に『Hareza池袋』方面を回るBルートがある。どちらも1回乗車200円、1日乗車券500円で利用できる。各ルートは毎時2~3本走行している。

座席は全14席、乗客定員21名。
座席は全14席、乗客定員21名。
こんにちは。さんたつ編集長の武田です。皆さんイケてますか? イケてますよね。というわけで、乗ってきましたイケバス。イケバスご存じですか? え、知らない? それはもったいない。この記事読んでイケバスに乗れば、きっと池袋のイメージが変わること間違いなし! 2019年11月27日に走り始めたイケバスのレポートをお届けします。
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取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より