弘法大師空海ゆかりの名宝に触れる
本展を訪れる人をまず迎えるのは、高野山真言宗総本山・金剛峯寺蔵の「弘法大師坐像」。第一章「空海と真言密教」では、空海が中国から持ち帰ったといわれる「金銅錫杖頭」や空海留学中のノート「三十帖冊子」などの国宝を含む空海ゆかりの品を間近で堪能できる。
密教の教えを理解する必要から発展した、密教美術の粋を集めた至宝も見どころだ。真言宗醍醐派総本山・醍醐寺蔵「五大尊像」(国宝)や、見上げるほど大きな和歌山・普賢院蔵「五大力菩薩像」など、迫力ある密教絵画に圧倒される。
また、空海が制作に関わったとされる「高雄曼荼羅」の白描図「高雄曼荼羅図像」や、現在でも仏教美術の基礎文献として参照される「覚禅鈔 巻第百四十四 焔魔天法」(前期)などにも目を見張る。こうした名品の数々から、空海が日本に伝えた密教を正しく後世に伝えようとしてきた人々の思いが伝わる。
真言宗各派が今に伝える祈りの美
真言宗は空海の教えを受け継ぎながら各派に分派し、各地で広がりを見せた。本展では、真言律宗総本山・西大寺蔵「金銅透彫舎利塔」(国宝)など各本山や関係寺院に伝わる名宝を通じて、その世界に触れることができる。
また、宮中で始まり、教王護国寺[東寺]に受け継がれた真言宗最大の儀式「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」ゆかりの品を展示する第二章「後七日御修法の世界」も見どころだ。江戸時代に後七日御修法に組み込まれた「観音供」の本尊「聖観音菩薩・梵天・帝釈天立像(二間観音)」の細やかな技巧や繊細な表情に目を奪われる。
展示を締めくくるのは、真言宗各派に伝えられた秘仏9件11体をはじめとする仏像の数々だ。三重・観菩提寺で三十三年に一度開帳され、随筆家・白洲正子も圧倒されたという秘仏「十一面観音菩薩立像」や、初期密教彫刻の傑作「五智如来坐像」などを拝することができる。88件にのぼる名宝を前に、深遠な密教の世界に続く扉を開いてみたい。
開催概要
弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」
開催期間:2026年7月14日(火)~9月6日(日)
前期:7月14日(火)~8月9日(日)
後期:8月11日(火)~9月6日(日)※会期中、一部作品の展示替えあり
開館時間:9:30~17:00(毎週金・土曜日は〜20:00)(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、8月31日(月)は開館 ※開館するのは本展のみ。東博コレクション展(平常展)、および館内の他施設は観覧・利用不可)
会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13-9)
アクセス:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口から徒歩10分、地下鉄銀座線・日比谷線上野駅、地下鉄千代田線根津駅、京成電鉄本線京成上野駅から徒歩15分
入場料:一般2300円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料※生徒手帳、障がい者手帳等を持参
【問い合わせ先】
東京国立博物館(ハローダイヤル)☏ 050-5541-8600
公式HP:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kukai2026/
取材・文=増山かおり 画像提供=特別展「空海と真言の名宝」広報事務局






