多彩な「方丈の庵」で住まいの本質を問う

正田智樹+竹中工務店+veigによる庵 スケッチ
正田智樹+竹中工務店+veigによる庵 スケッチ

日本三大随筆のひとつとされ、鎌倉時代初期、建暦2年(1212)に鴨長明によって書かれた『方丈記』。そこには災害や疫病、社会不安が相次ぐ激動の時代を背景に、京都・日野山に構えた一丈四方(約9平方メートル)の小さな庵での隠遁(いんとん)生活や、世の無常、自然との共生が綴られている。文学作品でありながら、住まいの本質を問うものとして、しばしば「真の建築書」とも形容される名著である。

本展では、『方丈記』に描かれた自然や暮らしについてのリサーチとともに、建築家、デザイナー、美術家など、さまざまな参加者が構想した「方丈の庵」が登場。同じ建築をそれぞれの角度から構想することで、暮らしの本質を考察していく。どれも個性的でミニマム。観る者に暮らしに対する示唆を与えてくれる。

江頭 慎と、本展展示予定作品(部分) Photo by David MacSweeney, Founder, 9DASHLINE.
江頭 慎と、本展展示予定作品(部分) Photo by David MacSweeney, Founder, 9DASHLINE.

「方丈」の思想をたどった先に見えてくるものとは

須田悦弘「朝顔」(2026年)(本展展示予定作品)
須田悦弘「朝顔」(2026年)(本展展示予定作品)

会場では、『方丈記』に記された要素を手がかりに、空間展示で鴨長明の庵が検証的に再現される。また、写本や解説・翻訳本などを通じて、「方丈記」が時代を超えて読み継がれてきた軌跡をたどっていく。

広報担当者は、「13世紀初頭に鴨長明によって書かれた随筆『方丈記』には、移ろい続ける世の無常を前にした人間の生き方が記されています。彼が暮らした庵は現存しませんが、その言葉は時代を超えて度あるごとによみがえり、多くの実践を生み出してきました。展覧会ディレクターに建築家・塚本由晴を迎え、『方丈記』に記された小さな建築「方丈の庵」を起点に、現代の暮らしと構築環境を見つめ直します」と見どころを語る。

さらに、江頭 慎氏、大室佑介氏+川長組、小渕祐介氏+中村 純氏、正田智樹氏+竹中工務店+veig、須田悦弘氏、田部井美奈氏、2m26、山口 晃氏の8組がそれぞれに構想した、現代の「方丈の庵」も出現。実際に内部へ入ることができるものから、観ることで世界観を味わうものまで、数々の現代版「方丈の庵」と向き合うことで、『方丈記』に記された暮らしの本質に迫ることができそうだ。

山口 晃によるスケッチ(本展展示予定作品)
山口 晃によるスケッチ(本展展示予定作品)

開催概要

「方丈記に学ぶ –生きるを編み直す小さな建築–」

開催期間:2026年8月28日(金)~2027年1月11日(月・祝)
開催時間:10:00~19:00(入館は~18:30)
休館日:火(9月22日・11月3日は開館)、11月21~23日、12月27日~1月3日
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン)
アクセス:地下鉄大江戸線・日比谷線六本木駅から徒歩5分、地下鉄千代田線乃木坂駅から徒歩5分
入場料:一般1700円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

【問い合わせ先】
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2☏03-3475-2121
公式HP:https://www.2121designsight.jp/program/hojoki/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=21_21 DESIGN SIGHT