高度経済成長期に普及した、工業素材や加工技術を取り入れた芸術表現たち
戦後日本において、抽象彫刻家・造形作家として活躍した多田美波(1924~2014)。生涯でおよそ200点の彫刻作品と、500点に及ぶ建築関連作品を手がけた。美術館という枠にとどまらず、公園、駅、市庁舎、ホテル、劇場など、都市のさまざまな場所に作品を残し、長年にわたり人々の生活空間の一部を形つくってきた。
広報担当者は、「美術・建築・デザインの領域を往還しながら活動した多田美波の仕事を総覧する、没後初となる大規模回顧展です。約1500平方メートルの地下展示室と、隣接する屋外展示エリアを使用し、約70年にわたる創作の軌跡を空間全体で展覧します。さらに、本展では多田美波研究所の協力のもと、現存しない作品や建築と不可分な照明作品を一部再制作・再構成、美術館の空間においてあらためて展示し、多田が追求した光の造形を間近に体感する機会を創出します」と見どころを語る。
光を単なる効果ではなく造形の中心として据え、美術、プロダクトデザイン、インテリア、建築を横断しながら空間そのものに働きかける実践によって、独自の立ち位置を築いた多田。その圧倒的な創作空間を間近に体感できる。
現存しない作品も原寸大で復元されて登場
今回の展示では、多田美波研究所の協力のもと、現存しない作品群を再制作・再構成。銀座・松屋サロンに設置され、多田が皇居・新宮殿の光造形を委託される契機となった記念碑的作品「チェーンデリア」(1963)など、現存しない作品が原寸大で復元される。また、『リーガロイヤルホテル大阪』 ヴィニェット コレクションの光造形《瑞雲》(1973)の一部が、制作当時のクリスタルガラス・パーツ約3000個を用いて再構成されているのも見どころだ。
多田が追求した光の造形とはどんなものだったのか。これらの試みを通して間近に体感してみたい。
開催概要
「多田美波―光、凛と ゆれる」
開催期間:2026年8月29日(土)~12月6日(日)
開催時間:10:00~18:00(11月の毎金曜日は~20:00、入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし9月21日、10月12日、11月23日は開館)・9月24日・10月13日・11月24日
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般1600円、学生・65歳以上1100円、中学生・高校生640円
※小学生以下無料、10月10日(土)~12日(月・祝)は中学・高校生、学生は無料。
【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Tada-Minami/
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館






