「おとぎ話」のイメージはどこから生まれたのか

「青い鳥」衣装(デザイン:レオン・バクスト/着用:スタニスラス・イジコフスキー)1920年代 『兵庫県立芸術文化センター』薄井憲二バレエ・コレクション。
「青い鳥」衣装(デザイン:レオン・バクスト/着用:スタニスラス・イジコフスキー)1920年代 『兵庫県立芸術文化センター』薄井憲二バレエ・コレクション。

本展は、「おとぎ話」の中のモードに注目した初めての展覧会。おとぎ話は、挿絵やファッションなどを通して、人々の中に共通のイメージを形作ってきた。なかでも、赤ずきんのフードや長靴をはいた猫のブーツ、シンデレラのガラスの靴といった印象的な装いは、登場人物を象徴するイメージとして今も多くの人に広く親しまれている。

19 世紀から20 世紀にかけてヨーロッパで花開いた挿絵本の世界を中心に、おとぎ話のイメージのなかに息づく「モード」をさぐる本展。おとぎ話のイメージが時代の移り変わりでどのように変遷していったのか、美術・デザイン・ファッションの観点から多角的に読み解いていく。

カイ・ニールセン「12人のおどるお姫さま」(『おしろいとクリノリン』より)1913年 『青山学院大学図書館』蔵。
カイ・ニールセン「12人のおどるお姫さま」(『おしろいとクリノリン』より)1913年 『青山学院大学図書館』蔵。

19~20世紀の挿絵本やファッションから飛び出したおとぎ話の世界がそこに

ウォルター・クレイン『シンデレラ』1873年 『鶴見大学図書館』蔵。
ウォルター・クレイン『シンデレラ』1873年 『鶴見大学図書館』蔵。

今も人々の間で共有されている「おとぎ話」のイメージの源泉は、19世紀から20世紀にかけてヨーロッパで作られた挿絵本にあるといえる。挿絵は、物語の中で描かれた「装い」やスタイルを視覚的に捉えるうえで重要な資料となっている。

当時流行していた最新のドレススタイルが挿絵に反映され、どの場面が絵画化されたか。それをたどることで、同時代の美術、ファッションに与えた相互の影響関係を見て取ることができる。

本展ではアーサー・ラッカムやウォルター・クレインらによる「シンデレラ」や「眠れる森の美女」など、挿絵本約90冊からその後のファッション雑誌などのイメージが応用されていることを紹介。おとぎ話が伝播していく様子を視覚的に伝える。

また、「おとぎ話」で重要な役割を担う「装い」、ファッションについても注目。18 世紀ロココ時代のヨーロッパで流行した宮廷服や、舞踏会へ向かうシンデレラのようなクリスチャン・ディオールのドレス、姿や身分を変える「変身」の装置としての毛皮のコートまで、実際の衣服が展示される。おとぎ話の世界を立体的にとらえた展示で、おとぎの国へと誘ってくれる。

エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ケープ》1930年代 『共立女子大学博物館』蔵。展示期間:6月27日(土)~7月26日(日)。
エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ケープ》1930年代 『共立女子大学博物館』蔵。展示期間:6月27日(土)~7月26日(日)。

開催概要

「おとぎの国のモードをさがして/Fairy Tale MODE」

開催期間:2026年6月27日(土)~8月30日(日)
開催時間:10:00~18:00(金・土は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(7月20日は開館)、7月21日(火)
会場:千葉市美術館(千葉県千葉市中央区中央3-10-8)
アクセス:JR千葉駅から徒歩15分、千葉都市モノレール葭川公園駅から徒歩5分
入場料:一般1500円、大学生1000円、高校生・中学生・小学生無料
※市内在住65歳以上1200円。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)無料。

【問い合わせ先】
千葉市美術館☏ 043-221-2311
公式HP:https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/26-6-27-8-30/

 

取材・文=前田真紀 画像提供=千葉市美術館