知覚に対する先入観へ挑戦する巨大彫刻が現る
革新的な素材や技法、表現方法を用い、具象彫刻の可能性を押し広げてきた現代美術家、ロン・ミュエク(1958年、オーストラリア生まれ)。人間を緻密に観察し、哲学的な思索を重ねて制作されたミュエクの作品は、洗練され、生命観にあふれるとともに、孤独やあやうさ、弱さ、不安、回復力といった人の内面的な感情や体験を巧みに表現してきた。
広報担当者は「実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さく造られるロン・ミュエクの彫刻。その初期の代表作から近作までを包括的に紹介する本展は、2023年パリのカルティエ現代美術財団での開催を皮切りに、ミラノ、ソウルへ巡回し、東京は森美術館。カルティエ現代美術財団との共催で開催します。巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されるインスタレーション《マス》や、東京展のみとなる《エンジェル》(1997年)など日本初公開の6点を含む11点を展示します」と語る。
作家とカルティエ現代美術財団との長きにわたる関係性によって企画された本展。実際に存在していそうなリアリティに肉薄する一方で、観る者一人ひとりの解釈や思索を促す作品の数々。自身の身体や存在そのものとの関係と改めて向き合う機会となるかもしれない。
巨大な頭蓋骨の狭間を進む、圧巻の大型作品《マス》も
本展の中心となるのは、巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されるインスタレーション《マス》。展示の際は毎回、美術館の展示室の構造や特性に合わせて再構成される。本展でも約300平方メートルにわたり、会場の特性を生かして制作。人にとって本来なじみがあるはずの頭蓋骨が、巨大化されることで異質な存在感を放って迫りくる。
また、25年以上にわたってミュエクの制作過程を記録し続けてきたフランスの写真家、ゴーティエ・ドゥブロンドが制作した写真シリーズと映像2点が展示されるのも見どころ。ロンドンと英国南部にあるミュエクのスタジオや、創作プロセスの貴重な舞台裏を垣間見ることができるのも興味深い。
開催概要
「ロン・ミュエク」
開催期間:2026年4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝)
開催時間:10:00~22:00(火曜のみ~17:00、ただし5月5日・8月11日・9月22日は~22:00。入館は閉館30分前まで)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F)
アクセス:地下鉄日比谷線六本木駅から徒歩3分、地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩6分
入場料:一般2300円(土・日・祝2500円)、高校・大学生1400円(土・日・祝1500円)、65歳以上2000円(土・日・祝2200円)、中学生以下無料
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/
取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供






