目覚めよ! ものに触れて感じる力

田村栄《てのひらのヒナ(孵化3日目)》〈多摩川の鳥〉より 1954-60年 ゼラチン・シルバー・プリント 『東京都写真美術館』蔵。
田村栄《てのひらのヒナ(孵化3日目)》〈多摩川の鳥〉より 1954-60年 ゼラチン・シルバー・プリント 『東京都写真美術館』蔵。

『東京都写真美術館』が収蔵する約3万9000点の写真・映像作品の中から、さまざまな切り口で紹介する「TOPコレクション」シリーズ。今回のテーマは、AI時代における「感触」。狭い意味での触覚だけではなく、「ものに触れて感じること」を指す。人工知能(AI)の急速な社会進出によって人間の技術や能力の優位性が揺らいでいる現代の、真の人間力について考える。

展覧会担当者は「写真、映像作品を通して、手のひらに感じる重みや温かさ、光や風、家族との時間や歴史など、心に触れる感覚を想起し、共感覚や、コミュニケーション、想像力の可能性を考える展覧会です。ぜひ、会場で思いを馳せながらご鑑賞いただけたらうれしく思います」と見どころを語る。

「感じること」の重要性を説いた香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940~73)の言葉、「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」を手掛かりに、五感を大いに触発する作品を展開する。

恩地孝四郎〈博物志〉より 1938-42年 ゼラチン・シルバー・プリント 『東京都写真美術館』蔵。
恩地孝四郎〈博物志〉より 1938-42年 ゼラチン・シルバー・プリント 『東京都写真美術館』蔵。

5室をめぐって五感を刺激

齋藤陽道《星の情景》〈せかいさがし〉より 2019年 発色現像方式印画 『東京都写真美術館』蔵。
齋藤陽道《星の情景》〈せかいさがし〉より 2019年 発色現像方式印画 『東京都写真美術館』蔵。

第1室「Don’t think. Feel.」を起点として、第2室「家族写真の歴史民俗学」、第3室「川内倫子〈Illuminance〉」、第4室「記憶の部屋」、第5室「イメージの奥にひそむもの」と展示が続く。会場には展示作品を触図にした体験コーナーも設置され、観るだけでなく、触覚と写真の関係を探る試みにも注目したい。

また、1800年代に制作された世界最初の実用的な写真術であるダゲレオタイプや、戦後日本の知られざる逸品も展示。膨大なコレクションから掘り起こされた知られざる名品も見どころだ。

影山光洋《小麦の収穫祝い》〈家族の肖像〉より 1946年 ゼラチン・シルバー・プリント『東京都写真美術館』蔵。
影山光洋《小麦の収穫祝い》〈家族の肖像〉より 1946年 ゼラチン・シルバー・プリント『東京都写真美術館』蔵。

担当学芸員によるギャラリートークも開催

4月17日(金)・5月15日(金)・29日(金)・6月19日(金)、各日14時~担当学芸員によるギャラリートークが『東京都写真美術館』3階展示室で開催。4月17日(金)は文字表示支援付き、その他日程は手話通訳付き。定員なし。当日有効のチケットを持参のうえ、3階展示室入り口に集合。

開催概要

「TOPコレクション Don't think. Feel.」

開催期間:2026年4月2日(木)~6月21日(日)
開催時間:10:00~18:00(木・金は~20:00・入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月4日は開館)、5月7日(木)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス内)
アクセス:JR恵比寿駅から徒歩7分、地下鉄日比谷線恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般700円、学生560円、高校生・65歳以上350円
※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。

【問い合わせ先】
東京都写真美術館☏03-3280-0099
公式HP https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5415.html

 

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都写真美術館