江戸時代の装身具が勢ぞろい! おしゃれなアイテムに感嘆

金唐革大紙入れ(きんからかわだいかみいれ)。
金唐革大紙入れ(きんからかわだいかみいれ)。

江戸時代、着物生活の中で発展した「袋物」や櫛・かんざしなどの装身具。それらには豪華な錦や金襴(きんらん)、舶来品の羅紗(ラシャ)・天鵞絨(ビロード)・更紗(さらさ)・金唐革(きんからかわ)・鼈甲(べっこう)などが用いられ、細部にまでこだわり抜かれていた。現代の我々がバッグや髪留めに品質やデザイン性を求めるように、当時の人々も身に着けるモノに美と贅を尽くしていたのが見てとれる。

担当学芸員の折井貴恵さんは、「女性モノばかりでなく、男性モノも充実しています。今となってはなかなか実物を見ることのできない逸品・稀品ばかり。また、其角堂コレクションが大々的に公開される初の展覧会です。この機会に是非ご高覧ください」と見どころを語ってくれた。

小江戸川越らしい、江戸時代の往時の粋な美意識を楽しむことができそうだ。

一番組は組町頭刺子半纏(いちばんぐみはぐみまちがしらさしこばんてん)。
一番組は組町頭刺子半纏(いちばんぐみはぐみまちがしらさしこばんてん)。

細部にまでこだわったさまざまなアイテムに注目!

花蝶文ヨーロッパ銅版更紗ビロード懐中鏡入れ(かちょうもんよーろっぱどうはんさらさびろーどかいちゅうかがみいれ)。
花蝶文ヨーロッパ銅版更紗ビロード懐中鏡入れ(かちょうもんよーろっぱどうはんさらさびろーどかいちゅうかがみいれ)。

異国情緒あふれる生地を使用したビロードの懐中鏡入れや、凝ったデザインが目を引く火消しの頭巾。金具など細部にまでこだわりが光る煙草入れなど、なかなか実物を見ることのできない珍しいアイテムがそろう。江戸明治の袋物、江戸の髪飾りや化粧道具などをテーマにした其角堂コレクションの充実ぶりに目を奪われそうだ。

御座船形御細工物紙入れ(ござぶねがたおさいくものかみいれ)。
御座船形御細工物紙入れ(ござぶねがたおさいくものかみいれ)。
鯉鱗張研出塗短刀拵(りりんばりとぎだしぬりたんとうこしらえ)。
鯉鱗張研出塗短刀拵(りりんばりとぎだしぬりたんとうこしらえ)。
鼈甲石橋文飾り簪(べっこうしゃっきょうもんかざりかんざし)。
鼈甲石橋文飾り簪(べっこうしゃっきょうもんかざりかんざし)。

多彩な関連イベントで江戸の粋にふれる

11月2日(土)インタビュー「其角堂さんに聞く、江戸のお洒落アイテムの魅力」

話し手に江戸風俗研究家の平野英夫氏を迎える「其角堂さんに聞く、江戸のお洒落アイテムの魅力」が11月2日(土)14時~15時30分に『川越市立美術館』で開催。定員先着60名、無料。申し込みは電話またはFAXにて。

11月10日(日)・24日(日)・12月4日(水)学芸員による展示解説

本館の学芸員による展示解説が11月10日(日)・24日(日)各14時~、12月4日(水)11時~『川越市立美術館』で開催(11月24日は手話通訳付き)。事前申し込みは不要。要特別展観覧券。

11月23日(土・祝)ワークショップ「川越唐桟の糸掛け曼荼羅を作ろう」

子供~大人対象のワークショップ「川越唐桟の糸掛け曼荼羅を作ろう」(材料費100円)が11月23日(土・祝)10~12時、14~16時に『川越市立美術館』で開催。対象は小学生から一般各回20名(抽選)。申し込みは10月25日(金)~11月5日(火)まで。

開催概要

特別展「江戸のお洒落装身具(アイテム)」

開催期間:2024年10月26日(土)~12月8日(日)
開催時間:9:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(11月4日は開館)・11月5日(火)
会場:川越市立美術館(埼玉県川越市郭町2-30-1)
アクセス:JR埼京線・東武鉄道東上線川越駅からバス約10分
入場料:一般700円、大学生・高校生350円、中学生以下無料
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)無料。
※着物での来館者は団体料金(2割引き)適用。

【問い合わせ先】
川越市立美術館☏049-228-8080
公式HP https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/tokubetutenji/toku-index.html

 

取材・文=前田真紀 画像提供=川越市立美術館

国内外から、たくさんの観光客が訪れる川越。蔵造りの建物が立ち並び、情緒あふれる一番街は、年中お祭りのようなにぎわいだ。そんな名所や定番スポットを巡りひとしきり観光気分を味わった後には、なんだかほっとひと息つきたくなる。小腹もすいたし、ここは川越B級グルメの太麺焼きそばなんてどうだろう?
菓子屋横丁。川越の観光マップでひときわ目を引く地名だ。「菓子屋横丁!」と、今度は声に出して言ってみる。ああ、なんてわくわくさせられる響きなんだろう。全長約200mの路地に、飴や駄菓子、芋菓子の店など、20軒ほどがギュッと立ち並ぶ。そこに掲げられた「揚げたて芋けんぴ」の幟(のぼり)の「揚げたて」の文字を、甘党なら見逃すわけがない。