「部屋」をテーマにソスの作品を編みなおす、意欲的な試み

アレック・ソス『Anna, Kentfield, California』〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉より 2017年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Anna, Kentfield, California』〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉より 2017年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。

初期の頃からアメリカ国内を車で旅し、風景や出会った人々を大判カメラで撮影してきたソス氏。出品作品シリーズのひとつ〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉では、そうしたロードトリップのスタイルではなく、舞踏家・振付家のアンナ・ハルプリン(1920-2021)や、小説家のハニヤ・ヤナギハラ(1974-)など世界各地にさまざまな人々を訪ね、その人が日々を過ごす部屋の中で、ポートレートや個人的な持ち物を撮影している。部屋とそこに暮らす人をテーマとするこのシリーズが本展のきっかけとなった。

「ポートレートや風景、静物などを定期的に撮影しているが、最も親しみを感じるのは室内の写真だ」と述べるソス氏の作品に登場するさまざまな部屋。その空間にたたずむ人々に意識を向けることで、果たして何が見えてくるのか。

広報担当者は、「本展は、初期の代表作から2024年秋刊行の最新作まで、約60点を紹介。30年に及ぶソスの歩みを振り返るだけでなく、『部屋』をテーマにソスのこれまでの作品を編み直す展覧会です。アメリカの美術学校を舞台に撮影された最新作シリーズ〈Advice for Young Artists〉にも注目です」と見どころを語ってくれた。

個人のパーソナリティを増幅させる「部屋」をキーワードに、ソス氏の表現の魅力を探っていく。

アレック・ソス『Bil, Sandusky, Ohio』〈Songbook〉より 2012年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Bil, Sandusky, Ohio』〈Songbook〉より 2012年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Still LifeⅡ』〈Advice for Young Artists〉より 2024年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Still LifeⅡ』〈Advice for Young Artists〉より 2024年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana』〈Sleeping by the Mississippi〉より 2002年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana』〈Sleeping by the Mississippi〉より 2002年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Two Towels』〈Niagara〉より 2004年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Two Towels』〈Niagara〉より 2004年 作家蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Untitled 07』〈Dog Days, Bogotā〉より 2003年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。
アレック・ソス『Untitled 07』〈Dog Days, Bogotā〉より 2003年 東京都写真美術館蔵 (C)Alec Soth。

担当学芸員によるギャラリートークも開催(手話通訳付き)

担当学芸員が展覧会の構成や見どころをレクチャーするギャラリートークが12月6日(金)14時~・1月10日(金)14時~、『東京都写真美術館』2階展示室で開催。希望者は当日有効の本展チケットを持参のうえ、2階展示室入り口に集合。

開催概要

「アレック・ソス 部屋についての部屋」

開催期間:2024年10月10日(木)~2025年1月19日(日)
開催時間:10:00~18:00(木・金は~20:00、ただし1月2・3日は~18:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(月が祝・休の場合は翌平日)、12月29日(日)~1月1日(水)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
アクセス:JR恵比寿駅から徒歩7分、地下鉄日比谷線恵比寿駅から徒歩10分
入場料:一般800円、大学生・専門学校生640円、中・高生・65歳以上400円
※小学生以下及び都内在住・在学の中学生、身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(2名まで)無料。

【問い合わせ先】
東京都写真美術館☏ 03-3280-0099
公式  https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4820.html

 

取材・文=前田真紀  画像提供=東京都写真美術館