長居したくなる優しい空気と香り。『お酒と料理 えいよう』[武蔵境]
古材を再利用した木製カウンターや温もりある大正ガラスなど、店内はゆっくりくつろげる雰囲気。「農家の弟や知人が育ててくれた野菜や米を使うことが多いので、食材を大切に扱いたい」と店主の清水峰夫さん。やわらかなこんにゃくは一から作る自家製で、出汁は昆布とかつおで毎日引く。注文後にじっくりと炊きあげる土鍋ごはんを待ちつつ、地酒をちびちびやるのが最高に心地よいのだ。
『お酒と料理 えいよう』店舗詳細
和牛ステーキと天ぷらを彩りある器で。『旬料理 一心』[小金井]

店の二大看板は黒毛和牛のみすじのステーキと天ぷら。「自分が大好物なものこそ、一番おいしく作れると思ったから(笑)」と店主の及川一登(かずと)さん。身がやわらかく脂が甘いミディアムレアのみすじは、旨口の地酒と好相性。胃もたれしにくい貴重な手搾りゴマ油と菜種油をブレンドして揚げる天ぷらは、ハートランド600円や角ハイ490円を誘引!「冬はカキや春菊の天ぷらもおすすめです」。
『旬料理 一心』店舗詳細
その日の気候でレシピを考える?『玄関食堂』
手抜き料理研究家の肩書を持つ葉月しのママ。例えばマグロとホタテの柚子胡椒オリーブオイル和えは柚子の香りとホタテの甘み、海苔の磯の風味が混然一体となり、手抜きとは思えないほど旨い。「例えば1万円のコースで食べておいしかったものを、安く提供するには何を省略するかのアイデア料理なんです」。絶品料理に加え、おちゃめなママと常連陣のおもしろトークも絶妙な酒肴に!
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日本酒好きの店主が迎える。『吟之介』[三鷹]
店主の前田誠司さんは埼玉の花陽浴(はなあ)びが有名になる前から店で扱うなど、大の日本酒好き。「自然と日本酒に合うものが増えた」という肴は、カキの昆布焼なら鮮烈な磯の旨味のハーモニーが、燗映えするお酒と抜群に合う。水分の少ない特別なジャガイモを使うポテサラ550円は甘み濃厚で、フレッシュな日本酒が進みそう。お酒のチョイスに悩んだら、一見寡黙だが 実は話好きの店主に尋ねるべし!
『吟之介』店舗詳細
名物は串煮込み、店の魂は味噌スープ。『ささよし 』[三鷹]
名物串煮込みは、信州味噌と水とモツしか使っていないのに、スープに深みが。「新鮮なシロモツを 弱火で1日煮込むから、この味が出るんです」と店主の渡邊崇(たかし)さん。注文後に煮込むキャベツはスープの旨味をしっかり吸い、鍋にチャポンと浸してから焼く豚カルビやトマト巻きは味噌スープ効果でほんのりまろやかに。この味噌風味が、キンミヤを赤ワインで割った濃い葡萄(ぶどう)割りを加速させるのだ。
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コスパよしの刺し身や濃厚煮魚で地酒をぐびり。『肴処 岳志』[小金井]
磯自慢や菊姫など旨そうな日本酒の品書きを見ると、酒肴は魚が一番か。刺し盛りは、本マグロの中トロや太刀魚の炙りなどが彩り、プリプリとした身に鮮度の良さを実感。看板の煮魚のひとつ、金目鯛かぶとは甘み濃厚な煮汁が燗酒と相思相愛だ。店主は「うちはあくまで居酒屋。こってりナポリタンなんかもやってますから」と謙遜するが隣席の常連いわく「ここは何を食べても東小金井で一番!」。
『肴処 岳志』店舗詳細
酔えば心地よい沖縄の風が吹く。『海風』[東小金井]
半分吹き抜けの開放的な空間に、ほどよいにぎやかさ。何だろうこの心地よさは? 「この辺は住宅地で空気ものんびりしてますから」と調理担当の伊藤真由美さん。定番の沖縄料理や黒板の日替わりメニューを肴に、与那国や石垣など幅広く揃う泡盛で酔えば、さらにいい気分に。聞くと、酔っぱらって来た人には味をやや濃い目に調理してあげることもあるそう。その気遣いも、オーナー手作りの味あるテーブルも、すべてが心地よさにつながってるのだ。
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界隈随一の魚の鮮度で早くも千客万来。『かず家』[東小金井]
地元魚屋の3代目が2016年6月に開店。若き魚王子・鈴木一史さんは毎朝5時に起き、築地へ向かう。「鮮度には自信あります。だからひねったことはせず、刺し身、塩焼きなどシンプルにお出ししてます」。当日のお造り特上盛は、船上でシメたプリプリの釣りアジなどが艶やかに光る。最高級の白子ぽん酢はトゥルトゥルの食感が素晴らしく、地酒で流し込めば幸せの至り。「都心で飲むのもいいですが、地元に帰ってきてうまい魚で一杯やってほしいんです」。
『かず家』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=丸毛 透、高野尚人