玄蕎麦 もち月 [成瀬]
そばととんかつ、不思議な空間でコラボしてます
ガラス張りの中庭やアンティーク調度品など、そば屋らしからぬ雰囲気。この空間を作った店主の望月輝久さんが、渾身のそばを打つ。群馬、福井、北海道産などを石臼で自家製粉し外一(といち)に。清々しい香りが立ち、枕崎のかつお節や割烹醤油を使ったつゆとの相性が絶妙だ。目黒の名店『とんき』の流れをくんだ父の正明さんが揚げる軽やかなとんかつも名物、というのがまたそば屋らしからぬところ。
『玄蕎麦 もち月』店舗詳細
そば 萬両 [町田]
香り&舌触りの粗挽きせいろで直球勝負!
厨房に面して延びるカウンターに楚々(そそ)としたテーブル席は、ちょっとした小料理屋のよう。店主・呉屋(くれや) 慶徳さんが打つのは、石臼の粗挽きせいろ。群馬・赤城山麓で無農薬栽培された常陸秋そばだ。細く切られて美しく、欠片もきらめく。粗挽きの舌触りに甘みや香ばしさがたまらない。プリプリの大きな海老とネギのかき揚げや豆腐の味噌漬け、自家製ぬか漬けなど、丁寧な仕事で酒が進む。
『そば 萬両』店舗詳細
手打ち蕎麦 鈴音 [鶴川]
翁達磨系で素直にうまい。天ぷらはカラリ
突然ひらめきを得て会社を辞め、名人・高橋邦弘氏の下で修業。その1年後にはそば屋を開いたという店主の鈴木さん。バイタリティの人は開店後にもメキメキと腕を上げ、町田ならず川崎、横浜からのお客さんも通ってくる名店に。ソバは北海道産。手打ちされた細麺は香り高く、のど越しも良い。小細工なしで素直な翁達磨系の味わいだ。カラリと揚がった天ぷらも人気メニューのひとつ。
『手打ち蕎麦 鈴音』店舗詳細
石挽き手打ち 一葉 [成瀬]
せいろと挽きぐるみ食べ比べ二種盛り、ひれ酒でクイッ
老舗そば屋の流れをくみ、1992年にこの地で鈴木正さんが開いた路面店。店名は樋口一葉から。今は日本料理でも腕を磨いた長男の英樹さんが店主となり、そばを打つ。新そばは北海道深川のキタワセ。白く繊細な二八のせいろやどっしりとした食感の挽ぐるみで食べ比べをしたい。ご飯ものや天ぷら、甘味、手打ちうどんなどメニューが多く、正さんが専門で打つ季節の変わりそばも味わえる。
『石挽き手打ち 一葉』店舗詳細
取材・文=工藤博康 撮影=小野広幸
『散歩の達人』2020年12月号より