無化調の手打ち白河ラーメン。『麺壱吉兆(めんいちきっちょう)』
福島のご当地ラーメン・白河ラーメンが食べられる店。毎日5時間かけて孟宗竹(モウソウチク)で打つ麺は、太めの縮れ麺でコシが強く、無化調のあっさりスープは鶏ガラがベースで、素材の甘みと深いコクを引き出す。口の中で麺がスープを持ち上げ、ハーモニーを奏でるよう。毎日作る炭火焼きのチャーシューには、肉々しい旨味が凝縮!
『麺壱吉兆』店舗詳細
常連さんのリクエストで生まれた大井町伝統の味。『金門飯店』
大井町で50年以上の歴史を誇る老舗中の老舗である『金門飯店』。「誰もが気軽に食べられる中華料理」をコンセプトに親しみのある味わいの本格中華を提供し続けてきたが、お店で根強い人気を誇るのが常連さんの発案で生まれたというなすラーメン800円。煮ることでうまさが増す九州産の長なすをふんだんに使い、高温の油で油通しをしてから調理することでなすはシャキシャキのままラーメンとのハーモニーを生み出す。親子二代で作るラーメンは今もなお、大井町の人たちに愛され続けている。
『金門飯店』店舗詳細
店主こだわりの後味の良いラーメン。『幸龍』
「どこにもない味で、後味の良いラーメン」を目指してきた店主の酒井邦幸さん。その答えとしていきついたのが化学調味料を一切使わない体に優しいラーメン。創業以来、不動の人気を誇る黒龍790円は複数の魚の焼き干し、煮干しなどを使用した豊かな味わいのスープに自家製の黒マー油を仕上げに使うことで濃厚ながらまろやかな味わいに。特製の中太ストレート麺との相性も抜群。それでいて食事後はどこかすっきりと軽やかな味わいになるという不思議な一杯。気が付けば次の日も店に足を運びたくなるのも納得の味わいだ。
『幸龍』店舗詳細
地元人も納得の和歌山ラーメン。『のりや食堂』
都内では数少ない和歌山ラーメン店。スープは膜を張るほどの濃厚さだが、丁寧に下処理をしたゲンコツを使っているので、嫌な臭みがなく豚骨の旨みを感じる。パツンとした食感の細麺がスープとよく絡み、九条ネギがいいアクセントになっている。すりゴマと豚骨スープのつけ汁がたまらない「つけそば」730円も人気。
『のりや食堂』店舗詳細
これぞ“大井町オリジナル”な鶏豚Wスープ。『江戸一』
「僕が自分で食べて、『おいしい!』と思うラーメンを作りたかったから店を出したんです」と、店主の荒木昌宏さんが語る通り、オリジナリティあふれる一杯が魅力的なのが『江戸一』。自慢のラーメンは醤油豚骨スープをベースに鶏ガラで取ったスープを加えるというWスープ製法で作られたオリジナルなら、麺も探し求めた小麦「春よ来い」を1から練り上げて作るオンリーワンのもの。手間暇かけて作られる鶏豚ラーメン670円は深みがありつつマイルドな味わいのスープに、ツルツルとした麺が見事にマッチ。思わず替え玉をお願いしたくなる一杯だ。
『江戸一』店舗詳細
ひと口食べればもうヤミツキ!『武術家』
実は横浜家系ラーメンのお店が多い大井町。その中でも本家顔負けの濃厚スープが自慢というのが、この『武術家』。スープ作りに使用するのは豚骨と水だけという超シンプルなもので、寸胴でその2つの材料をひたすら煮詰めていく。長時間煮込むことで生まれる超濃厚スープが自慢の特製ラーメン880円の味わいはまさに一度食べたら病みつきになるほどの味に。横浜家系ラーメンの王道、酒井製麺所の麺をアレンジした太めの麺とともにすすれば、空腹があっという間に満たされること間違いなし!
『武術家』店舗詳細
クリーミーなスープと絶えない愛嬌。『濱虎家』
2021年で9年目を迎えるという『濱虎家』。クルマ1台通るのが精いっぱいというくらいに細い路地のすずらん通りにありながら、お店はどの時間に行っても客足が途絶えることなく連日大盛況。その理由となっているのが濃厚ながらもどこかクリーミーな味わいのスープが自慢のオールスターラーメン930円とお客さんへの絶えない愛嬌。オーナーの天野太雅さんによると近隣のお店や常連さんたちとはバーベキューや飲み会などのイベントを開催してきたのだとか。「みんなで大井町を盛り上げたい」という思いから生まれたラーメンだからこそ、大井町に来たら食べないわけにはいかないだろう。
『濱虎家』店舗詳細
お客様ファーストなトッピングに注目。『武蔵家』
コロナ禍以前から「朝ラーメン」と称して早朝から営業していたという『武蔵家』。店主の川味隆則さんに伺うと「ゲンコツと背ガラ、そして鶏ガラなど」で取ったスープを生かしたラーメンは濃厚さがウリの横浜家系ラーメンらしさを残しつつ、どこかマイルドで深みのある味わいに。そしてそれ以上に嬉しいのがトッピングの多彩さ。「お客さんのリクエストに合わせていたら増えてしまった」というトッピングの数々はまさにこの店ならではのオリジナル。自分好みの組み合わせを見つけるのも楽しい!
『武蔵家』店舗詳細
オンリーワンの豚骨ラーメン。『ラーメン道楽』
濃厚なスープがウリの豚骨ラーメンは1990年代から全国的なブームになっていったが、『ラーメン道楽』はそんな豚骨ラーメンが流行るよりも前にオリジナルのアレンジを加えたラーメンで人気になっていたお店。長時間煮込む独自のスープはスタッフ総出で仕上げていく手間暇のかかるものだが、その手間暇こそが根強いファンを生む所以。まろやかな味わいのスープとお店オリジナルの腰の強い麺、そしてトッピング1番人気という山盛りのネギが常連客の心をガッチリとつかんで離さない。「シャキシャキになるように仕上げて、最後にネギには特製のタレをかけて和えるのがポイント」というネギをラーメンとともにたっぷり堪能したい。
『ラーメン道楽』店舗詳細
焦がしネギ香る老舗秘伝の一杯!『中華そば 永楽(えいらく)』
1953年開店の老舗で、現在は3代目が切り盛り。代々変わらないレシピで作られるもやしそば850円の特徴は、餡の周りをおいしそうな焦がしネギが包囲していること! 3種の油で香りを立たせた焦がしネギの香味とコショウの風味が癖になり、箸が止まらない。そのパンチのある味と、豚のげん骨や背ガラ、鶏ガラなどで作る澄んだスープのバランスがまた絶妙。餡たっぷりなのは「最後まで熱々を」という店主の思いから!
『中華そば 永楽』店舗詳細
地元育ちの店主が作る「食べたかったラーメン」『麺屋 焔』
「生まれも育ちも大井町なんですけど、僕がこのお店を開く頃はいわゆる淡麗系のラーメンがなかったんですよ」という西川大輔さんがお店を開いた『麺屋 焔』。自身の好みというすっきりとした味わいのスープ作りを目指し、鶏とカツオ節、煮干し、サバ節、そして昆布と魚介類をふんだんに使い、丁寧に作りこんだことで透き通るような美しいスープに仕上がった。「これからも厨房で精魂込めて作るので、大井町へ来られた際はぜひ食べに来て欲しいです」というメッセージも印象的だ。
『麺屋 焔』店舗詳細
取材・文=速志 淳、鈴木健太、福嶌弘 撮影=金井塚太郎、井原淳一、福嶌弘