“朝ラー”にもピッタリな横浜家系ラーメン!?
ラーメン界でも屈指の人気を誇るジャンルとして知られる「横浜家系ラーメン」。その名の通り、横浜の吉村家が元祖となったラーメンで濃厚な味わいの豚骨醤油スープと中太の麺がトレードマーク。その人気は横浜どころか全国各地に広がっているが、大井町も例外ではなく、複数の店で「横浜家系ラーメン」を押し出している。
ほとんどの店がその名の通り、濃厚な豚骨醤油スープをベースにしたラーメンを提供しているが、大井町駅から歩いて5分ほどのところにある『武蔵家』は少々毛色が異なる。濃厚な豚骨醤油スープには変わりないが、このお店にしかないマイルドな味わいが人気を博しているという。
「ここに店舗を構えてから2021年で12年くらいになりますかね。朝早くから営業していたのもあって、常連さんもだいぶ増えてきましたよ」と、語ってくれたのは店主の川味隆則さん。
早朝から営業を始めたラーメン店が多くなってきたが、『武蔵家』はオープンからしばらくして朝7時開店に。トッピングに九条ネギを使用するなど、ラーメンは朝仕様にはなってはいるが、スープはお店の看板とも言える濃厚な横浜家系ラーメンそのもの。それだけに朝から食べるには少々ヘビーな印象があったが……出勤前のサラリーマンや夜勤明けの方々に大好評だったという。
クラシカルな横浜家系のスープに鶏ガラをプラスしてマイルドな味わいに
横浜家系ラーメンのスープと言えば、豚のゲンコツと呼ばれる部位と水だけで煮込むのが一般的。ここに鶏油を加えるお店もあるが、『武蔵家』ではもうひとひねり加えているという。
「詳細までは言えませんが、うちの店では豚だとゲンコツと背ガラ、それと鶏ガラも入れています。それでかなと思いますが、他の家系ラーメンのお店よりは鶏ガラの味わいがある分、濃厚かつマイルドな味わいになっているのかなと思います」
横浜家系ラーメンの濃厚さに鶏ガラを加えたことでまろやかさが加わったスープはまさにこのお店でないと食べられないもの。実際にお店での1番人気メニューであるAREA51 950円をいただいたが、オーソドックスな横浜家系ラーメンの濃厚スープだけではない深みを感じた。さらにお店でイチから仕込むというチャーシューもトロトロ。これが5枚も乗っているというのはかなりお得に感じた。
「スープは寸胴を3つ使って、スタッフ全員体制で煮込んでいますが、その内訳はメインの寸胴1つと、サブの寸胴が2つというイメージ。メインのスープがなくなってきたら、煮詰めたサブの寸胴のスープを加えてより濃厚にして、サブの寸胴はまた豚や鶏のガラを入れて煮込んでいます。営業時間がもともと早かった分、朝はかなり早くから仕込んでいます(笑)」
横浜家系ラーメンには珍しく、濃厚さとマイルドさを併せ持ったスープが自慢のラーメンだけに、当然常連客の雰囲気も他の横浜家系ラーメンの店とは一味違ってくる。川味さんによると「お年寄りやファミリーの方がよくやってきてくれる」という。
「平日はサラリーマンの方が多いですが、土日はホントにファミリーが増えますね。子供からお年寄りまで幅広く食べて頂いているのでうれしいですよ」
お客さんの声から生まれた爆盛りトッピングも!
10年以上店を構え、大井町の人たちにも親しまれてきた『武蔵家』。その由来はお店こだわりのスープはもちろんだが、それ以上にお客さんのニーズに合わせたメニュー展開も大きな理由である。
「常連のお客さんの中に『(トッピングの)ホウレン草をもっと増やしてほしい』というリクエストがあったんです。追加トッピングも可能なのですが、それよりももっと食べたいという声があったので、思い切って3倍の量にしてみたらどうだろう?ということで生まれたのが『VVV』とあるトッピングなんですが……これがホントに人気。このホウレン草と海苔のトッピングは横浜家系のラーメンには欠かせないからか、皆さん大好きですね」
構成=フリート 取材・文・撮影=福嶌 弘