都幾川渓谷鉄道「蛍」駅へ『とき川の小物屋さん』[明覚]
ん? 周囲を見渡せど線路も車両もない。なくて当然。走るのは、店主・川﨑敏雄さんが創った架空の鉄道なのだから。山歩きで訪ねたこの地に惚れ、小物屋を開いて4年過ぎたころ、対岸にトロッコが走っていた昔話を聞いた。「光景を想像して、都幾川沿いを走る鉄道の夢物語を描きました」。この夢を面白がる人がじわじわ増えている。新たに駅名標ができる兆しもあるとか。夢は正夢?
『とき川の小物屋さん』店舗詳細
日曜大工で作り出した、遊び心満点の銀河空間『ピーナツハウス』[国分寺]
炭火を囲んでバーベキューができる居酒屋、というだけでも“珍”なのに、さらに天井がプラネタリウム風で、頭上に銀河鉄道が走るユニークさ。「バーベキューは野外の醍醐味。夜ならば星空、星空ならば銀河鉄道でしょ」という店主・小川陽一さんのロマンチックな発想が日曜大工で実現。花火を映し、オーロラを作り、銀河の世界を演出する。機関車は汽笛の音色が風情ある旧タイプで、故障に備えてオークションで落とすのが大変だそう。
『ピーナツハウス』店舗詳細
浅草⇔鬼怒川、思い出の特別列車『マスタードシード』[吹上]
青空に映える大きな車両は、1952年製造の東武鉄道57系。「アメリカンダイナーみたいなレストランを電車でしたいなと考えていたら、出合ってしまいました」と、オーナーの荻原正彦さん。土地の整備、高い運搬費、車内のリフォームは大工さんが匙(さじ)を投げ2年を要したと、1991年開店時の苦労を振り返る。元運転手さんが訪ねて来たり、新婚旅行で利用した夫妻が金婚式の宴を開いたり。さまざまな人生の思い出を、大切に乗せて営む。
『マスタードシード』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵(team まめ) 撮影=オカダタカオ