CAFÉ GARDEN 風見鶏
庭やアンティークにもとろける英国カントリー
季節の花々が咲き誇る様はまさにイングリッシュガーデン。そして、アンティークで設えた英国調の室内に、昭和初期のステンドグラスが艶やかに光を落とす。「古いものが好きで譲ってもらったんです」と、店主の久保浦一夫さん。『1日でプロになれる日曜大工』本をきっかけに、家周りから始めて自宅まで夫婦で改装。今ではガーデンの設計、施行の相談も請け負う。奥様お手製のケーキとともに、優雅な時間を味わいたい。
『CAFÉ GARDEN 風見鶏』店舗詳細
TEA ROOM BURTON
駅近に忽然(こつぜん)と現れる白亜のアメリカの館
少年時代にフェンスの向こうのアメリカに憧れた店主の黒沼修さんが設計。シンプルモダンな室内は木の温もりに満ち、自ら撮影したモノクローム写真が現地の空気感を伝えている。上げ下げ窓のレースごしに外を見やれば、芝生の庭に季節の色をまとうフウの木が1本。「NYセントラルパークで見惚(みと)れた木と同じなんです」。ゴールデンキャメルのコーヒーや紅茶をゆっくりすすりながら眺めたい。
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中珈琲
遊び心ある仕掛けに旅心を誘われる
壁に設けた船の丸窓をのぞくと、中温泉を目指す中鉄道のジオラマが。豆神様を祀る中神社の社、天井下の飛行機など、「旅と乗り物が好きで、強引に店名にかけて自作しました」と、店主の山下マコトさん。厨房には機関車似の焙煎機が。「独学で」と頭をかくが、コーヒーは後からコクが深まり、香りがふくらむ。常連のフレンチシェフ直伝スイーツや料理と味わえば、魅惑の世界へ引きずり込まれる。
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洋菓子・喫茶 アマンデン
味わいも風情も昭和エレガンス
「古いばっかりで」とママは笑うが、2階に上がると1970年から変わらぬ風情にため息。クリスタルのシャンデリアがきらめき、赤絨毯(じゅうたん)、絵画を照らす。一面の広い窓辺にはアールを描くレースのカーテン。ケーキとコーヒーもいいが、丸いガラスの器で登場するアマンディーヌも捨て難い。プリン、エクレア型シュークリーム、マロンクリームを搾ったアイス、フルーツが満載。贅沢で正統派の味だ。
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angie café
ほの明かりのなかでくつろぐアングラ喫茶
壁を埋め尽くすのは洋画ポスター。「特別、映画好きってわけじゃないんですよ」と、静かに語るのは店主の千綿(ちわた)恭子さん。元美容院の一面の鏡を隠す苦肉の策だったと笑う。間接照明が陰影を生み、音がゆるゆる流れ、パラソル下のソファ席はおこもり感が半端ない。メニューは酒・料理含めて脅威の250種超え。ジェンガなどのゲーム、スナックもあり、「お客さんの気持ちにできるだけ応えたいの」。
『angie café』店舗詳細
夜もすがら骨董店
懐かしい音と雑貨と味に陶酔する
昭和風情が濃厚な鶴川団地『セントラル商店街』の一角。古物好きの店主・加藤翔太さんは「この骨董店でお茶でも飲めたら」と、軽い気持ちでカフェを始め、音楽仲間とライブができるようにと、妻の恵里子さんと舞台席まで自作した。さらに、焼きそばナポリタンなど、要望に応えるうちにフード類も充実する一方だ。ソファに座れば、夫婦愛用の楽器の数々が目に楽しく、古時計の刻みに重なるルーツミュージックの音色が耳に心地よし。まどろみたくなる。
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Restaurant & Cafe 武相荘
白洲家の工作室でハイカラな味に和む
樹齢100年を超える甘柿の奥に立つのは、元養蚕農家の建物。白洲家が移り住んだ後は、1階を白洲次郎の工作室、2階を子供部屋として用いていたという。天井を取り払って吹き抜けにした空間に、別荘の床板で作ったテーブルを並べ、日本の木造家屋でありながら、次郎が愛した英国の田舎家の風情をも漂わす。舌を鍛えられた娘の牧山桂子さんが愛する、苦みの深いコーヒーをすすりながら、窓に映る季節の色をのんびり愛でたい。フレンチの腕を磨いたシェフの茂木さんが繰り出すのは、白洲家に伝わる味をアレンジした海老カレーから豪勢な創作どら焼きまで、仏×和融合の心ときめく味ぞろい。庭になる柿や山菜を取り入れた旬味は、ディナーで堪能を。
『Restaurant & Cafe 武相荘』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=木村心保、岡本あゆみ