ROUTE BOOKS

コーヒー片手にのんびりまったり過ごす本の森

カフェスタッフでギタリストのkonnoさんは店内でギター教室も催す。

路地にひっそり立つのは、10年ほど使われていなかった元工場。廃材でリメイクした棚には、ローカル誌や植物、暮らしの本がぎっしり。アンティークのソファや椅子がその隙間に置かれている。手がけるのは工務店「ゆくい堂」。‶自分たちが発信する場″として、作業場の上階で始めたが、2015年、向かいの建物にお引っ越し。清澄白河『ARiSE COFFEE ROASTERS』の焙煎豆を、状態を見ながらドリップしたコーヒーの旨味とあいまって、心地よさに長尻必至だ。

ソファ、スナックの椅子など、席はいろいろ。「本一冊読んでいく方もいますよ」。
コーヒー400 円~。フルーティーな香りに驚く。
住所:東京都台東区東上野4-14-3Route Common1F/営業時間:12:00~19:00/定休日:無/アクセス:JR上野駅から徒歩5 分

韻松亭 喫茶去

午後のひととき、目も舌も潤うクリームあんみつ

クリームあんみつ800円は、黒蜜が添えられるが、そのままでも十分に味わい豊か。

上野公園のなか、五條天神社の赤い鳥居の脇に、風情ある木造建築が立つ。明治8年(1872)築の懐石料理の店は、横山大観がオーナーだったことも。隣接する小さな茶屋では、ランチを過ぎれば、甘味タイムだ。注文してから葛粉を溶かして作るくずきりが評判だが、クリームあんみつの見目麗しさといったら。抹茶と豆乳の2層アイスの下に、ゴマ、粟、ヨモギの3種の麩、天草と抹茶の寒天、白玉がぎっしり。食感の妙と香りに心奪われる。

窓から眺める上野の緑と赤い鳥居が印象的。「歩いている方と不思議と目が合わないんですよ」とスタッフ。
緑に隠れた、ひなびた風情だ。
住所:東京都台東区上野公園4-59/営業時間:11:00~17:00(甘味のみの利用は15:00ごろ~)/定休日:無/アクセス:JR上野駅から徒歩4 分

ウエスタン北山珈琲店

コーヒーと対話する特別な30分間です

10、20年熟成豆を使用した「雅」と、冷製で少量の「雫」を味わう雅セット3700円。

店のまわりには読書禁止、おしゃべり禁止などの貼り紙がある。「お客を選ぶのかって怒られることもあります。でも選んだことは一度もない。『こういうお店です』と十分にわかった上でお客様に選んでいただきたくて」。純粋にコーヒーを飲むことだけに集中してほしいという意味で、物腰の柔らかいマスター・北山富之さんは貼り紙の理由をそう語る。根底にあるのは、独自の手法で2~20年寝かせた深みのある熟成オールドビーンズコーヒー、その「味」への揺るぎない自信。静かに待つ時間、目の前の一杯に向き合う時間。濃厚な体験は、お店の扉を開けた瞬間から始まっている。

マスターの北山富之さん(右)と、一緒にお店に立つ息子の雅一さん。
住所:東京都台東区下谷1-5-1/営業時間:13:00~19:00/定休日:月/アクセス:地下鉄日比谷線入谷駅から徒歩5分

取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=高野尚人、金井塚太郎 構成=林本啓祐