東長崎の角っこで、イタリアの郷土の味に出合う『Cadota』【東長崎】

名物のオレキエッテ。ダッテリーノトマトソース、カチョリコッタチーズがけ2000円。
名物のオレキエッテ。ダッテリーノトマトソース、カチョリコッタチーズがけ2000円。

「南イタリアのおばあちゃんが作るパスタです」と声をかけながら、店先でオレキエッテを作る新井シェフ。プーリア州で働いていた時に教わった『Cadota(カドタ)』の名物だ。焦がし小麦を使った生地はスモーキーな風味。トマトソースとカチョリコッタというヤギのチーズの組み合わせは定番で、軽めの赤ワインととても合う。

プーリアでの経験が現在のベースになっているという新井さん。「一番の学びは人とのつながりを大事にすること。食材も料理もお店も、人ありきで作っていきたいと思うようになりました」。イチジク農家を始めたのも帰国後。完熟の白イチジクはクロスティーニに仕上げてくれた。合わせるのは草っぽい青味のある白ワイン。「食後のコーヒーは『MIAMIA(マイアマイア)』さんへぜひ。東長崎を楽しんでください」と新井さん。なるほどここに来ると、お客さんも人とつながっていくみたい。

白イチジク、ゴルゴンゾーラムースのクロスティーニ900円。
白イチジク、ゴルゴンゾーラムースのクロスティーニ900円。
新井さんが育てる白イチジクはフランスの品種。
新井さんが育てる白イチジクはフランスの品種。
テーブルもイチジクの葉っぱの形。
テーブルもイチジクの葉っぱの形。
いいと思ったワインをこだわりなくセレクト。グラス900円~。
いいと思ったワインをこだわりなくセレクト。グラス900円~。
店先でオレキエッテ作り。ナイフで生地を耳たぶ形にする。
店先でオレキエッテ作り。ナイフで生地を耳たぶ形にする。
通りかかったご近所さんは「ベリーダンスの世界チャンピオンです」(!?)。
通りかかったご近所さんは「ベリーダンスの世界チャンピオンです」(!?)。

『Cadota』店舗詳細

住所:東京都豊島区長崎4-9-3/営業時間:17:00~21:00LO(土・日・祝は17:00~18:00LO・19:30~21:00LOの二部制)/定休日:月(不定あり)/アクセス:西武鉄道池袋線東長崎駅から徒歩1分

熱燗ビギナー大歓迎。香る和食×燗酒に目覚める『氵(サンズイ)』【東長崎】

鮎のコンフィなど、おまかせ3850円の一例。酒器は淳さんの祖父が集めた備前焼やご近所の『ソノモノ』で購入した小鹿田焼。
鮎のコンフィなど、おまかせ3850円の一例。酒器は淳さんの祖父が集めた備前焼やご近所の『ソノモノ』で購入した小鹿田焼。

銀座『六雁(むつかり)』と代々木上原『酒坊主』での修業中に燗酒のいろはを学んだ店主の鈴木淳さん。和食にスパイスやハーブを忍ばせた料理は、ずばり両店のいいとこ取り。「料理に香りが多いほうが燗酒に合います。醤油系の煮込み×クローブなどは鉄板の組み合わせ」。おつまみも燗酒も、おまかせでお願いするとこれが楽しい。枝豆のスパイス蒸し、ナッツの入ったアジのタルタルなど、お腹の具合に合わせて一皿ずつどんどん出してくれる。

店内には淳さんが集めた60〜80年代のCDやレコードが流れていて、杯も進んでいい気分。締めはラムキーマカレーに、熟成感のある骨太な一杯を合わせて大満足。「全テーブルで燗酒を飲んでくれていると“今日はさんずいしてるね”って言うんです」と笑うのは、パートナーの千晴さん。初めて燗酒を飲むんですが……なんて若者が来たら、それはもう手厚く迎えてくれるそう。

その日によって内容が変わる〆スパイスカレー880円。
その日によって内容が変わる〆スパイスカレー880円。
日本酒のセレクトは“燗酒でおいしいもの”が基本。1合880円~。
日本酒のセレクトは“燗酒でおいしいもの”が基本。1合880円~。
料理学校で出会った淳さんと千晴さんの仲良し夫妻で店を切り盛り。
料理学校で出会った淳さんと千晴さんの仲良し夫妻で店を切り盛り。

『氵(サンズイ)』店舗詳細

住所:東京都豊島区南長崎5-17-15 石井店舗A号/営業時間:17:30~21:30LO(土・日は16:00~)/定休日:不定/アクセス:西武池袋線東長崎駅から徒歩3分

気軽なペアリングが楽しいワインビストロ『kawasemi』【新大塚】

ソースはオマールエビの頭を丸ごと使用。20分かけて焼き上げる海老と白身魚、帆立のパイ包み焼きソースビスク3280円。
ソースはオマールエビの頭を丸ごと使用。20分かけて焼き上げる海老と白身魚、帆立のパイ包み焼きソースビスク3280円。

ワインラバーの心が躍る、春日通り沿いのビストロ兼ワインショップ。グラスワインが20種も飲めて、ソムリエが常駐となれば、料理に合わせていろいろ試したい。まずは亀井シェフが10年以上作り続けるシャルキュトリー。粗挽きの豚肩ロースで仕込むパテ、赤ワインでマリネした鴨ハムなど「肉の旨味には果実味のあるロゼをどうぞ」とソムリエ。

プリンのようになめらかなフォアグラのムースは、デザートワインを合わせてとろける心地に。スペシャリテのパイ包み焼きには、程よいタンニンでライチのように香るオレンジ。エビ、白身魚、ホタテのムース、仕上げはオマールエビの濃厚ソースと、海の幸オールスターズが集結した一皿だから、華やかなワインがぴったりだ。「定番以外の料理は季節ですぐに変わります。冬はカキや白子がおいしいですよ」と亀井さん。次はどんなワインを合わせてくれるかな。

パテや豚肉のリエット、燻製した鶏モモ肉など、シェフ特製のシャルキュトリーの盛り合わせ(5種)1880円。自家製パンも添えて。
パテや豚肉のリエット、燻製した鶏モモ肉など、シェフ特製のシャルキュトリーの盛り合わせ(5種)1880円。自家製パンも添えて。
あまりのなめらかさに驚くフォアグラのムースポートワインのソース850円。
あまりのなめらかさに驚くフォアグラのムースポートワインのソース850円。
ワインショップも兼ねており、吉川さんが選ぶ800本以上のワインをセラーから選んで買えるほか、自慢のシャルキュトリーも販売中。
ワインショップも兼ねており、吉川さんが選ぶ800本以上のワインをセラーから選んで買えるほか、自慢のシャルキュトリーも販売中。
左からソムリエの吉川さん、マネージャー兼シェフの亀井さん、スタッフの梅田さん。
左からソムリエの吉川さん、マネージャー兼シェフの亀井さん、スタッフの梅田さん。

『kawasemi』店舗詳細

住所:東京都豊島区東池袋5-45-6 オリエンタル新大塚コーポラス103/営業時間:ワインショップは13:30~22:00。ビストロは18:00~23:00(土は17:00~、12:00~14:30にランチ営業。日・祝は13:00~20:00にバー営業)/定休日:不定/アクセス:地下鉄丸ノ内線新大塚駅から徒歩5分。

取材・文=井上麻子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2025年11月号より