老舗古書店によるアートギャラリー『KOMIYAMA TOKYO G』

撮り下ろしの作品群とあわせて展示・販売されているビンテージの写真集、プリント、シルクスクリーン作品は『小宮山書店』のアーカイブ。
撮り下ろしの作品群とあわせて展示・販売されているビンテージの写真集、プリント、シルクスクリーン作品は『小宮山書店』のアーカイブ。

運営元である『小宮山書店』は昭和14年(1939)に創業、美術ファンたちに愛されてきた古書店だ。アーカイブをベースに新旧をミックスした、「点」ではなく「線」や「面」で見せる展示手法にその矜持(きょうじ)が宿る。「一般的なギャラリーとの決定的な違いは、やはり古書店が母体であること。アート、カルチャーに息づく文脈や系譜はとりわけ大切にしています」と代表の小宮山慶太さん。

巨匠やレジェンドの作品を取り扱いつつも、そのフラットさゆえか、若年層のクリエイターからの支持も厚い。「若い人たちにうちの書店とギャラリーを資料室のように扱ってもらえたら、これ以上うれしいことはないですね。カルチャーを生み出すのはいつだって若者たちですから」。

取材時は森山大道写真展「柴田勝頼」が開催されていた。Tシャツやポスターなどのグッズ類も充実。
取材時は森山大道写真展「柴田勝頼」が開催されていた。Tシャツやポスターなどのグッズ類も充実。
出版事業も展開。手前に置かれているのは本展に際して制作されたオリジナルの写真集。
出版事業も展開。手前に置かれているのは本展に際して制作されたオリジナルの写真集。
過去にはアートディレクター・大類真の個展も開催(写真提供=KOMIYAMA TOKYO G)。
過去にはアートディレクター・大類真の個展も開催(写真提供=KOMIYAMA TOKYO G)。

『KOMIYAMA TOKYO G』詳細

音とアートに浸れる自由な秘密基地『肆』

展示は2日~30日ほどのペースで入れ替わる。
展示は2日~30日ほどのペースで入れ替わる。

1階はカフェ&バー、2階はギャラリー、地下はリスニングスペース。2024年7月にオープンしたばかりのディープな複合施設の仕掛け人は、歯科医であり道玄坂の立ち飲みバー『ゴールデンボール』、カラオケバー『女豹』のマスターでもある杉山佳世子さん。「自分が大好きなものを詰め込んだらこうなりました。お酒、音楽、アート。立っても座っても踊ってもいい。とにかく、ルールのないスペースを作りたくて」。ギャラリーとしての運営もすべて我流。「超素人ですよ(笑)。でも、だからこそできることをやりたい。壁に描いたっていいし会期が2日でもいい。私が見たい、私が好きなアーティストに自由に展示してもらっています」。

店名の由来について「数字の4が好きなの。調べたら〝勝手きまま〞って意味もあるらしい。ぴったりでしょ」と杉山さん。
店名の由来について「数字の4が好きなの。調べたら〝勝手きまま〞って意味もあるらしい。ぴったりでしょ」と杉山さん。
『うたげやだるま』のポップアップ。
『うたげやだるま』のポップアップ。
カフェ&バーではカレーや野菜プレートなど時間で異なるフードも提供。
カフェ&バーではカレーや野菜プレートなど時間で異なるフードも提供。
地下では週1~2度ほどリスニングイベントを開催。
地下では週1~2度ほどリスニングイベントを開催。
まるで秘密基地。スピーカーはアバンギャルド製。
まるで秘密基地。スピーカーはアバンギャルド製。

『肆』詳細

取材・文= 重竹伸之 撮影= 佐藤侑治
『散歩の達人』2025年5月号より