インド亜大陸の懐深い食文化に触れる『Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)』【新御茶ノ水】
八重洲のレジェンド店『Dhaba india(ダバ インディア)』の後継店が選んだ新天地は新御茶ノ水。インドの街中のような活気ある空気感は変わらず、現地出身の経験豊富なシェフたちのミールスやタンドール料理も健在。ミールスの3種の日替わりカレーはクリーミーな野菜、中辛のブラックペッパーチキンから、辛口のアサリ&小エビなど個性派も。混ぜ合わせると複雑で新鮮な味わいが広がる。ダヒプーリ(甘酸っぱいヨーグルト入りスナック)などストリートフードも充実。
『Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)』店舗詳細
組み合せ自在な豪華ミールスが食欲を直撃『南インドビストロひつじや 神田店』【神田】
ズラッと9つものカトリが並ぶミールスは迫力満点。伝家の宝刀マトンカレーや、タイムやバジルを効かせた薬膳チキンカレー、豆とココナツを煮たクートゥに、チャパティも付いて、さてどこから攻めようか。どの皿もスパイスが鮮烈で香り高い。聞けば4人のシェフが交代で現地のホールスパイスを仕入れ、店で挽(ひ)いてパウダーにしているんだそう。夜は名物の羊料理とお手頃価格の世界のワイン・ビールを楽しんだ後、締めにカレーも断然アリ!
『南インドビストロひつじや 神田店』店舗詳細
シンプルゆえに楽しい小宇宙的一皿『ジョニーのビリヤニ 神田店』【神田】
午前11時、冨田店長がビリヤニの蓋をあけると、フワッと上がる湯気の中で炊き上がった長粒米たちがピンと立つ。頬張るとなんともいえない弾力があり、その後パラリとほぐれる。石川県の本店が「日本三大ビリヤニの一つ」と謳われるのも納得。米とカレーの混ざり具合でひと口ごとに味の変化があり、そこにライタや赤タマネギなどを加えていく。合いの手にコーラをグイっとあおればもう最高!
『ジョニーのビリヤニ 神田店』店舗詳細
多彩なトッピングを支えるソースの底力『日本式カレー 弐番亭』【神保町】
店名の「弐番」は、店主・黒田康介さんの『CoCo壱番屋』へのリスペクトから。カツ丼カレー、カレーナポリタン、オムレツカレーなど奔放な組み合わせを大らかに受けとめるのが「家庭で愛されるオーソドックスな味わい」の日本式カレーソース。想像を上回る量のタマネギ、香味野菜が溶け込んでいて、サラサラかつコクもある。魅惑的なトッピングとの相性を試しに、何度も通いたくなる。
『日本式カレー 弐番亭』店舗詳細
希少な間借りカレーの謎を追え!『自律カレー Pitch(ピッチ)』【神田】
週1回、水曜昼のみのオープンで、フードロスを抑えるため予約分+10皿しか用意しない狭き門。そう聞くとどうしても食べてみたくなる。店主の小林隆文さんはリクルートなどの会社勤務を経てウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)を目指す会社を立ち上げ、自律神経を整えるカレーをふるまっている。
メニューはチキンカレーと副菜や漬物、豆のスープからなるネパールの定食・ダルバート。ネパールといえば穏やかなスパイス使いで油も控えめ、いわばカレー界の優しさキング。前日から漬け込む鶏肉には塩麹、カレーにはかつお出汁を使う。繊細な香りと旨味の相乗効果ですぅーっと体に染み込み、あったまる。「僕自身、以前は体調を無視してまで働いていたので、テーマは身体性。忙しい日常から離れ、体に優しい料理をゆったりと味わって」と小林さん。食後のコーヒーをいただく頃には、なんだか素の自分に還かえったようで心が軽い。カレーの街でも異色の癒やしの場だ。
『自律カレー Pitch』店舗詳細
取材・文=平野かおり 撮影=山出高士、加藤熊三
『散歩の達人』2025年5月号より