インド亜大陸の懐深い食文化に触れる『Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)』【新御茶ノ水】

カレー3種にサンバルなどが付く平日のランチミールス1400円。
カレー3種にサンバルなどが付く平日のランチミールス1400円。

八重洲のレジェンド店『Dhaba india(ダバ インディア)』の後継店が選んだ新天地は新御茶ノ水。インドの街中のような活気ある空気感は変わらず、現地出身の経験豊富なシェフたちのミールスやタンドール料理も健在。ミールスの3種の日替わりカレーはクリーミーな野菜、中辛のブラックペッパーチキンから、辛口のアサリ&小エビなど個性派も。混ぜ合わせると複雑で新鮮な味わいが広がる。ダヒプーリ(甘酸っぱいヨーグルト入りスナック)などストリートフードも充実。

夜はこちらも人気。手前から不動の人気、タンドーリチキンティッカ860円、ダヒプーリ780円。インド産ワイン780円も提供。
夜はこちらも人気。手前から不動の人気、タンドーリチキンティッカ860円、ダヒプーリ780円。インド産ワイン780円も提供。
シェフのマンガルさん。タンドールは『Dhaba india(ダバ インディア)』から受け継いだ。
シェフのマンガルさん。タンドールは『Dhaba india(ダバ インディア)』から受け継いだ。
部屋ごとに壁の色が異なるコルカタの住宅をイメージした店内。インド先住民族の描いたゴンド画が映える。
部屋ごとに壁の色が異なるコルカタの住宅をイメージした店内。インド先住民族の描いたゴンド画が映える。

『Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)』店舗詳細

組み合せ自在な豪華ミールスが食欲を直撃『南インドビストロひつじや 神田店』【神田】

カレーが2種類選べるランチミールス1870円。ドリンク付き。
カレーが2種類選べるランチミールス1870円。ドリンク付き。

ズラッと9つものカトリが並ぶミールスは迫力満点。伝家の宝刀マトンカレーや、タイムやバジルを効かせた薬膳チキンカレー、豆とココナツを煮たクートゥに、チャパティも付いて、さてどこから攻めようか。どの皿もスパイスが鮮烈で香り高い。聞けば4人のシェフが交代で現地のホールスパイスを仕入れ、店で挽(ひ)いてパウダーにしているんだそう。夜は名物の羊料理とお手頃価格の世界のワイン・ビールを楽しんだ後、締めにカレーも断然アリ!

とろける食感のひつじのレアステーキ。サイズで選べて、写真はLサイズ3080円。グラスワインは660円~。
とろける食感のひつじのレアステーキ。サイズで選べて、写真はLサイズ3080円。グラスワインは660円~。
スパイスやハーブに精通する南インド出身の頼もしきシェフたち。
スパイスやハーブに精通する南インド出身の頼もしきシェフたち。
赤い壁にスタイリッシュなモノクロ写真が印象深い店内。カウンター席に加え奥と手前にはテーブル席もある。
赤い壁にスタイリッシュなモノクロ写真が印象深い店内。カウンター席に加え奥と手前にはテーブル席もある。

『南インドビストロひつじや 神田店』店舗詳細

シンプルゆえに楽しい小宇宙的一皿『ジョニーのビリヤニ 神田店』【神田】

この日の日替わりビリヤニは定番のチキン1500円。大盛りは+400円、瓶コーラ400円。
この日の日替わりビリヤニは定番のチキン1500円。大盛りは+400円、瓶コーラ400円。

午前11時、冨田店長がビリヤニの蓋をあけると、フワッと上がる湯気の中で炊き上がった長粒米たちがピンと立つ。頬張るとなんともいえない弾力があり、その後パラリとほぐれる。石川県の本店が「日本三大ビリヤニの一つ」と謳われるのも納得。米とカレーの混ざり具合でひと口ごとに味の変化があり、そこにライタや赤タマネギなどを加えていく。合いの手にコーラをグイっとあおればもう最高!

最大35人分入った大鍋から混ぜずに盛りつける。
最大35人分入った大鍋から混ぜずに盛りつける。
カウンター5席のみ。炊き立てを目当てに11時のオープン前にスタンバイする客も。
カウンター5席のみ。炊き立てを目当てに11時のオープン前にスタンバイする客も。

『ジョニーのビリヤニ 神田店』店舗詳細

多彩なトッピングを支えるソースの底力『日本式カレー 弐番亭』【神保町】

手仕込みヒレカツやトロットロの豚角煮がのったワンパクな看板カレー、クロダさん1845円。
手仕込みヒレカツやトロットロの豚角煮がのったワンパクな看板カレー、クロダさん1845円。

店名の「弐番」は、店主・黒田康介さんの『CoCo壱番屋』へのリスペクトから。カツ丼カレー、カレーナポリタン、オムレツカレーなど奔放な組み合わせを大らかに受けとめるのが「家庭で愛されるオーソドックスな味わい」の日本式カレーソース。想像を上回る量のタマネギ、香味野菜が溶け込んでいて、サラサラかつコクもある。魅惑的なトッピングとの相性を試しに、何度も通いたくなる。

「わ、おいしい!」と思わず声が上がるトッピングのほうれん草のソテー。
「わ、おいしい!」と思わず声が上がるトッピングのほうれん草のソテー。
スタッフの塚本一星さん。カウンター8席のみで昼どきには行列も。
スタッフの塚本一星さん。カウンター8席のみで昼どきには行列も。

『日本式カレー 弐番亭』店舗詳細

希少な間借りカレーの謎を追え!『自律カレー Pitch(ピッチ)』【神田】

ダルバート1300円(コーヒー付き)。別皿のアチャール、ダルスープ。
ダルバート1300円(コーヒー付き)。別皿のアチャール、ダルスープ。

週1回、水曜昼のみのオープンで、フードロスを抑えるため予約分+10皿しか用意しない狭き門。そう聞くとどうしても食べてみたくなる。店主の小林隆文さんはリクルートなどの会社勤務を経てウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)を目指す会社を立ち上げ、自律神経を整えるカレーをふるまっている。

メニューはチキンカレーと副菜や漬物、豆のスープからなるネパールの定食・ダルバート。ネパールといえば穏やかなスパイス使いで油も控えめ、いわばカレー界の優しさキング。前日から漬け込む鶏肉には塩麹、カレーにはかつお出汁を使う。繊細な香りと旨味の相乗効果ですぅーっと体に染み込み、あったまる。「僕自身、以前は体調を無視してまで働いていたので、テーマは身体性。忙しい日常から離れ、体に優しい料理をゆったりと味わって」と小林さん。食後のコーヒーをいただく頃には、なんだか素の自分に還かえったようで心が軽い。カレーの街でも異色の癒やしの場だ。

店主の小林さん。神田駅南口からほど近い『楽々テラス』を間借りする。
店主の小林さん。神田駅南口からほど近い『楽々テラス』を間借りする。
カウンター越しのカレー談義も楽しい。
カウンター越しのカレー談義も楽しい。
テーブルにはカレーで自分を整えるためのメモも。
テーブルにはカレーで自分を整えるためのメモも。

『自律カレー Pitch』店舗詳細

取材・文=平野かおり 撮影=山出高士、加藤熊三
『散歩の達人』2025年5月号より