『想像の雨』立ち込めるコーヒーと文学の香り[上石神井]

ひとり静かに読書にふけりたくなるカウンター席。
ひとり静かに読書にふけりたくなるカウンター席。

高校時代に通った地元の喫茶店、そして京都のカフェ『月と六ペンス』。店主の前野さんが念願をかなえた店は、敬愛する2店と同様に街中にぽつんとたたずむようにある。無垢の木製カウンターには自身の愛読書と、アンティークランプ。ブレンドはさっぱりとした「(サマセット・)モーム」とコクのある「(エドガー・アラン・)ポォ」から選ぶ。細部の洗練と店内の空気感が相まって雨宿りのときのような、煩雑さから解放されたくつろぎが訪れる。

 

アイスカフェオレ650円、ショコラテリーヌ700円。
アイスカフェオレ650円、ショコラテリーヌ700円。
かつてクリーニング店だったとは思えない雰囲気。
かつてクリーニング店だったとは思えない雰囲気。
「晴耕雨読」を表現した藁のオブジェが、通りからも目を引く。店の青い扉はフランスのアンティークだ。
「晴耕雨読」を表現した藁のオブジェが、通りからも目を引く。店の青い扉はフランスのアンティークだ。

『想像の雨』店舗詳細

『志村電機珈琲焙煎所』電機店と焙煎所の楽しいコラボ[豊島園]

星野リゾートも手掛けた藤井文彦さんのデザイン。
星野リゾートも手掛けた藤井文彦さんのデザイン。

コーヒーの焙煎所と電球・コンセントなどの売場が共存するカフェは、志村電機店の2代目である志村さんと、焙煎所の2代目である妻、麗美さんがタッグを組んだ。麗美さんが選ぶ豆はニュークロップ(その年に採れた豆)が40種ほども揃い、レジ横にはコーヒーのお供に最適な菓子パンや和菓子がズラリと並ぶ。まるで宝箱のような場だ。

エスプレッソが決め手のアインシュペナー650円、志村さんの縁で、池袋『タカセ』のケーキも。アップルパイ480円。
エスプレッソが決め手のアインシュペナー650円、志村さんの縁で、池袋『タカセ』のケーキも。アップルパイ480円。
生の豆を好みの状態に焙煎してくれる。
生の豆を好みの状態に焙煎してくれる。

『志村電機珈琲焙煎所』店舗詳細

『図鑑カフェ fumikura』好奇心旺盛な大人のための秘密基地[桜台]

15時まではランチ、18時からはバータイムに。プラネタリウムの上映会も行われる。
15時まではランチ、18時からはバータイムに。プラネタリウムの上映会も行われる。

新しい視点がほしい、いつもとは違う場所で気分を変えたい時に訪れたい1軒。写真や図が満載の図鑑があらゆるジャンルにわたって並べられ、1つ手に取ると、そこからまた次の本へと世界が広がる。元書店員の店主・井守さんに尋ねれば、新しい1冊との出合いもある。ガラスペンで手紙が書けるソファ席もあり、1日いても退屈しない。

抹茶と白あんの羊羹を梅で包み、べっ甲飴をからめた和菓子と緑茶のセット1000円。
抹茶と白あんの羊羹を梅で包み、べっ甲飴をからめた和菓子と緑茶のセット1000円。
店主の井守正暁さんと母のえみ子さん。えみ子さんが作る果実シロップのドリンクは体に染み渡るおいしさ。
店主の井守正暁さんと母のえみ子さん。えみ子さんが作る果実シロップのドリンクは体に染み渡るおいしさ。

『図鑑カフェ fumikura』店舗詳細

『sur+coffee(シュール プラス コーヒー)』カフェ好き店主の心落ち着くもてなし[練馬]

ゆったりとしたジャズが流れる店内。音楽に浸るならスピーカー前が特等席。
ゆったりとしたジャズが流れる店内。音楽に浸るならスピーカー前が特等席。

練馬駅近くのビル2階にある店の壁には特大のスピーカーが並び、写真家・森山大道の刺激的な連作写真が客を迎える。2023年11月、バーの空き時間を生かしたカフェとしてオープンし、店長の原田さんがクロワッサンをメインにした料理を供する。カフェ好きで400軒を訪れたという彼女の笑顔と心配り。すでに常連が多いのもうなずける。

ランチの生ハムクリームチーズクロワッサンサンド。自家製ピクルスとグラノーラヨーグルトのセット1000円。自家製はちみつレモンスカッシュ(セット価格)300円。
ランチの生ハムクリームチーズクロワッサンサンド。自家製ピクルスとグラノーラヨーグルトのセット1000円。自家製はちみつレモンスカッシュ(セット価格)300円。
店長の原田さん。
店長の原田さん。

『sur+coffee』店舗詳細

『67 焙煎所』穏やかな日々に寄りそう写真とコーヒー[練馬]

山口さんが自らリノベーションした店内で撮影(予約制)も行う。
山口さんが自らリノベーションした店内で撮影(予約制)も行う。

雑誌や広告で活躍してきたカメラマンの店主・山口さんが主宰する「ろくなな写真館」と、趣味が高じて始めた焙煎所・カフェが同居。かつて写真を撮ってもらった赤ちゃんやペットを連れたお客さんが次々と訪れ、店内は和気あいあいとしている。店の特徴であるコーヒー豆の手焼き焙煎は、火加減などの微妙な調整で味が変わり、どこか写真の現像にも似ているという。デカフェも取り揃えているので育児中でも安心。山口さんのこだわりが生む絶妙な味と香りをゆったり楽しみたい。

凍ったコーヒーが少しずつ溶ける氷コーヒー500円(追いミルク150円)。ホットドッグ580円。
凍ったコーヒーが少しずつ溶ける氷コーヒー500円(追いミルク150円)。ホットドッグ580円。
「遊びの一環」と言う楽し気な山口さん。
「遊びの一環」と言う楽し気な山口さん。
季節の花々がアーチ状になった美しいエントランス。
季節の花々がアーチ状になった美しいエントランス。

『67 焙煎所』店舗詳細

取材・文=平野かおり 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2024年6月号より