【人情味あふれる柏の居酒屋】
飲み屋街に、柏最高峰の刺盛りあり『あさひ町スタンド』
頼むべきは、刺身盛合せ。身質が詰まって甘いシラカワやとろけるニタリクジラ、プリプリのキンメまで豊洲仕入れの上質な魚が9~10種。これで1人前1738円って!「お袋の実家が漁師で、新鮮な魚を食べて育った。お客さんにもとにかく旨い魚を食べてほしい、その思いだけなんです」と新井博之さん。ほぼ全酒肴が魚介なので、日本酒も約50種と豊富。白穂乃香858円とエビスマイスター748円が並ぶ、生ビールの顔ぶれもニクい。
『あさひ町スタンド』店舗詳細
10坪空間で酔い旅夢キブン『やまん』
ある日の日本酒は広島の「亀齢」や宮城の「日高見」。焼酎は鹿児島の「小鹿」や奄美の黒糖系、ウイスキーはガイアフロー静岡蒸溜所と、全国から的を射た品揃え!「旅先で出合ったいいお酒や食べ物を取り入れてます」と放浪好きの下間秀樹さん。珍味の盛り合せ1520円も、いぶりがっこクリームチーズや豆腐ようなど北と南の味が並ぶ。最近は柏野菜の旨さに開眼、地元野菜を約30種使ったサラダも!
『やまん』店舗詳細
古参バルでペアリングの“ティキ・タカ”『スペイン料理レストラン・バル サンラッツォ』
林秀彦さんは、スペイン在住10年を経て「スペインの食文化を柏で伝えたい」と2008年に店をオープン。ゆえに、日本の風土や食材も加味しつつ基本は現地の伝統料理。スペインワインの輸入販売も行うため、お酒もほぼ現地のもの。独特な風味のヤギのチーズのピンチョス760円なら熟成感のある赤ワイン、甘エビやワタリガニなどの出汁を重ねた魚介のパエージャなら香り高いオレンジワインが相思相愛。
『スペイン料理レストラン・バル サンラッツォ』店舗詳細
本格かつ気軽、界隈で希少なビストロ『たつみ』
「日本の食材を駆使し、生産者の思いを伝えたい。箸で気軽にフレンチを味わってほしいです」と、柏の農家出身の浜島辰生さん。エビのテリーヌは湯葉で巻いたり、菜花をゆでる際は鶏のブイヨンに昆布出汁を加えたりと、自由な発想に舌が喜ぶ。大分から直送される鹿のグリル バルサミコソースの、しっとりきめ細やかな肉質ときたら! 料理を待つ間は100種近くあるワインを選ぶもよし、シェフの華麗な調理姿を間近で堪能するもよし。
『たつみ』店舗詳細
ついつい足が向く懐の深さ『焼とり つかさ』
45年以上前に開業し、焼き鳥屋にのれん替えして25年以上。3代目の長 一江(おさ かずえ)さんと共に店を支える店長の片岡琢さんは、「昔ながらの雰囲気を大切にしつつ、若いスタッフの良さも生かしていきたい」と、店内には元気な声が飛び交い、活気にあふれている。そこに、老舗の安定感がいい塩梅に漂っていて、代々通うお客さんも多い。焼き鳥から刺し身、またとんかつ屋時代の料理もと幅広く、どんな状況でも重宝しそう。
『焼とり つかさ』店舗詳細
【行きつけにしたい大人バー】
柏のオーセンティックバーのパイオニア『Bar Plat』
店名は“小さな場所”を意味する英語と、“ぷ らっと立ち寄って”という思いを込めて命名。「かしわウイスキーフォーラム」を主催する松本克敏さんがオーナーバーテンダーを務める。「2000年の開業当時、氷屋の貫目単位で購入した氷を使い、丸氷で供するバーはここだけでした」と松本さん。開店後も銀座の名バーへ通って研鑽を積み、地元のバーテンダーと勉強会を開いてきた。カウンターには、仕事を終えたバーテンダーが立ち寄ることも。
『Bar Plat』店舗詳細
ホテルバーのスタイルをつらぬく『Bar TACT』
白いバーコートをまとうマスター・佐々木猛さんは、新宿「ハイアットリージェンシー東京」のバーで経験を重ねて独立。ローカウンターにローチェアをゆったり配し、店内はさながらホテルのメインバーの趣。バーには珍しく専属のシェフがおり、しっかり手をかけた料理を提供する。スコットランドの伝統料理・ハギス1320円や、ディナーコース5000円~まで守備。ワインも充実しており、お客さんのわがままに対応してくれる。
『Bar TACT』店舗詳細
華麗なバーテンディングで魅せる『Bar calma』
地元のレストランバーで 10年以上の経験を積んだ後、自身の店を開店した飯嶋裕樹さん。2008年には日本バーテンダー協会による千葉カクテルコンペティションで総合グランプリに輝き、数々の賞を獲得してきた。その実力をうかがわせる、軽やかな手さばきにうっとり。「穏やかに」を店名に込め、バックバー(酒棚)の一角には自身で生けた枝ものを欠かさない。つかの間、一際多彩なオリジナルカクテルでいい夢を見られる。
『Bar calma』店舗詳細
心地よさを追求した設 (しつら)えで親密さが増す『Bar TEZUKA』
ふかふかの肘掛けに、革張りのソファ席。「柏のバーでは一番お客さまの年齢層が高いかもしれません」というマスター ・手塚貴裕さん。くつろげる設えと、丁寧で安心感のある接客が、飲み慣れた客をも引きつける。カクテルにだって一家言あり。独立前から共にカウンターに立つバーテンダーと、20年以上にわたって切磋琢磨してきた。ゆったりした雰囲気に反し、カクテルは一筋の緊張感をたたえた絶妙なバランス。その妙技も魅力。
『Bar TEZUKA』
取材・文=井島加恵、鈴木健太、沼 由美子 撮影=猪俣慎吾、オカダタカオ、丸毛 透