オール荒川区な停留場前酒場『吉まぐれ屋』[三ノ輪橋]
お店からあふれ出るのは“荒川区愛”。名物の荒川おでんに使用する食材のほとんどを区内の老舗から仕入れており、出汁は地元の鰹節問屋にオリジナルの調合を依頼したものだ。「南千住のソウルフード・にくまん(魚のすり身の揚げ物)もぜひ。ウチだけで荒川区を観光した気分になってもらえれば」と、オーナーの林和広さん。おでんの出汁が隠し味の牛すじカレー 1000円も人気の一品なんです。
『吉まぐれ屋』店舗詳細
路地裏で珍しい魚たちに舌鼓『海鮮DINING 永』[町屋]
「えっ?」と思うほど細い路地の奥に海鮮メニューだけで勝負する名店あり。まずは、おまかせ刺盛3点1000円を注文。生インドマグロと共に、ヨロイイタチウオ、クロザコエビという見慣れない魚介が登場。「仕入れは足立市場がメイン。市場での人付き合いを深めた結果、親しくなった仲卸さんが入荷情報を教えてくれます」と、オーナーの小林永昌さん。停留場から遠くても歩く価値あり。
『海鮮DINING 永』店舗詳細
本気のラーメンまである地元酒場『居酒屋 姫』[東尾久三丁目]
お店に入ると、静かな住宅地のどこにこんなに大勢の人がいたのかと驚くほどの繁盛ぶり。オーナー・森川吉成さんのおすすめは懐かしのすももサワー。下町情緒があっていいですね。面白いのはメニューに締めレベルを超えたラーメンがあること。聞けば鶏ガラと豚骨を長時間煮込んだ自家製スープに、カエシも手作りするというこだわりよう。近所にあったら常連になりたいと思わせる店。
『居酒屋 姫』店舗詳細
沿線唯一の“ホーム上”酒場『炭火焼 御代家』[庚申塚]
停留場のホーム上にあるので、電車を降りて数歩で入店。生まれも育ちも庚申塚の店主・御代恒(みよひさし)さんは「僕が昔からよく飲んでいる『六代目百合』はどう?」と、大の焼酎好き。国分酒造など人気でレアな銘柄も多数取り揃えている。フードメニューは日替わりなので、とりあえず串をお任せで。客層は地元の人と、都電の利用者が半々。ホームから気になって、のぞき込んで来る客も多いそうだ。
『炭火焼 御代家』店舗詳細
旬の食材を燗酒とワインで堪能『酒菜 ほくら』[巣鴨新田]
“北大塚エリア”で気炎を上げるダイニングバル。この場所で勝負することを決めた店長・中本涼さんが愛するのは純米酒と自然派ワイン。「千葉県四街道市の農家から仕入れている西洋野菜を味わってみてください」と、旬の食材から日々メニューを考える。目玉は甘くてモチモチとした食感を味わえる信州太郎ぽーくのグリル。フランクな中本さんとの会話を楽しみながら燗酒の世界に誘われたい。
『酒菜 ほくら』店舗詳細
癒やし系のご夫婦が営む串焼き店『澤』[向原]
寡黙なマスター・下澤洋勒(ようろく)さんとチャーミングなひとみさん夫妻が営む串焼き店。もともと建築設計士だったマスターの手による内装はおしゃれで和モダン。その雰囲気にしては、値段はリーズナブルだ。隣のテーブルの男性客曰く「おいしいと評判を聞いて栃木から来たんです」。赤ワインを注いでくれたひとみさんは「私、いつも多めに入れちゃうのよ」。そんなやり取りにも癒やされる空間だ。
取材・文=石原たきび 撮影=逢坂聡