でっかい車エビの天ぷらが圧巻『手打ちそば 吉見家』
創業明治17年(1884)という府中では指折りの老舗。5代目にあたる店主は何事にもこだわる。石臼の材料として最高とされる蟻巣石(放熱効果が高い)で碾き、二八で打つそばはコシがあって喉越しよく、香り高い。出汁は旨味とコクの出る枕崎の本枯れ節、天ぷらの油は純度の高い綿実油にごま油とするなど、先代からの味を守り続けている。だからそばだけでなく、一品料理もうまい。釣り好きの店主だから、鮮度抜群の魚料理も楽しめることも。
『手打ちそば 吉見家』店舗詳細
こってり濃厚スープに自家製麺の妙『らいおん』
白髭ネギをたてがみに見立てた、古くからの定番メニューがこちら。流行りすたりの激しいラーメン業界にあって、創業から約40年。愛され続けてきた味の秘密は、豚ガラや鶏ガラに魚介を煮込んだ濃厚なスープにあり。これに自家製のもちもち中太ストレート麺がよく絡み、箸が止まらなくなる。作りたてチャーシューのとろけるうまさも相変わらず。この味を求めて今日も足を運ばずにはいられない。
『らいおん』店舗詳細
のどかな空気が漂うネパールの食堂『parivaar』
厨房から現地の言葉が漏れ聞こえ、のんびりした心地になる。香り高い濃厚バターのギーを用いたまろやかなカレーに合わせたいのが、ふっくらもっちりしたナン。噛めば甘みが広がり、これ目当ての客も少なくない。また、現地の食堂定番の味をアレンジしたラーメンや、チャウメンがあるのも魅力。なかでもチキンティカラーメンは、野菜スープに酢が加えられ、口に含むと思いがけない酸味に驚く。その後、スパイスの辛味が口中に押し寄せ、ハマる。
『parivaar』店舗詳細
65年以上続く肉屋の素材とベテランの仕込みにうなる『洋食屋 いせや』
「精肉店の方は弟が継いでいます」と店主の遠藤さん。「近所だから、材料が切れたら走って取りに行くこともあるんですよ」と笑って打ち明ける。キッチンを担うのは、ホテルのレストランに長年勤めたベテランシェフ。国産和牛を丁寧に練り込み、人気のハンバーグをこしらえる。このハンバーグはナイフで軽く抑えただけでふわっとほぐれる柔らかさが魅力。4日間煮込んだ自家製ソースが、あふれ出た肉汁をせき止めてくれる。付け合わせも秀逸。
『洋食屋 いせや』店舗詳細
新旧住民に愛される、街の洋食店『イン・ヴィーノ・ヴェリータス・サングリア』
旧店名「サングリア」と言えば、街の洋食店として知る年配者は多い。それほどに地域の人に知られた店であるのだ。親子2代にわたって営む洋食店が現店舗の場所に移転し、『イン・ヴィーノ・ヴェリタス・サングリア』と名を改め開店したのが2018年のこと。
府中生まれ、府中育ちで地元を愛する店主は、「府中に家族で特別な時を過ごすハレの場所を作りたい」と、3フロア構成の店を作り上げる。季節を取り入れ1カ月ごとに変化するランチメニューに加え、旧店時代から得意とする豊富なケータリングやパーティメニュー、アルコールメニューも揃い、気軽に訪れてハレの場を楽しむことができる。
ランチタイムに、少しの彩りを添える『こぐま屋珈琲店』
府中といえば誰もが知るのは大國魂神社。その真横に店を構えるのが『こぐま屋珈琲店』だ。カフェでありながらも、ランチのメニューやスイーツメニューも力を入れる店で、精鋭のスタッフが作るキッチンメニューは日替わりメニューとリゾットメニューを揃える。季節感と少しのアクセントを加えたメニューは、訪れるものの目を奪う華やかさだ。店内は、「開かれた場所でありたい」と店主の想いを反映した理想のスタイルで、訪れる人がいつでも誰でも寛げる。
取材・文=工藤博康、佐藤さゆり・信藤舞子(teamまめ)、永見 薫 撮影=小野広幸、オカダタカオ、中込 涼、金井塚 太郎、永見 薫