「名物に旨いものなし」というけれど、旨いものはある。でも本当のところは、旨いまずいじゃなくて、こちらを驚かせてくれるものこそ名物ではないかと僕は思うのだ。
たとえば、スカイツリー近くのそば屋で出していた、海老の天ぷらがそそり立つ天丼。あるいは、ご飯がエベレストのように高く盛られたカレーライス。こういった名物を写真で見ると、がぜん食べたくなってしまう。すると次には、人を誘って食べに行きたくなる。驚く顔を見たいからだ。戸越・武蔵小山界隈で、名物といえば? そう聞いて思い浮かべるものは人それぞれだろう。今回は僕の独断で、おすすめ3軒を選んでみたぞ。
【閉店】昭和喫茶 ロマンス
爺さんだけどお子様ランチが好き
ランチタイムで7~8割の人が注文するという「大人のお子様ランチ」は、夢のようなワンプレート。オムライスのご飯はドライカレー。昔ならカレー粉だが、これはクミンが効いているぞ、今風においしいねぇ。昭和ロマンを感じるグッズであふれる店内は、懐かしいけど新しい。インベーダーゲームやジュークボックスがあるのだけれど、見た目は古いが最新式だったりする。
『昭和喫茶 ロマンス』店舗詳細
PEDRA BRANCA
ふわっふわのホットケーキやぁぁ
名物のホットケーキは、特筆すべきはオリジナルのバター。ちょっと甘いのに塩気も感じられる、後引く味。そのバターがふんわり熱々のホットケーキに染みわたってよく合う。一方コーヒーは、店主の白石陽子さんの旦那さんが自家焙煎した豆を使っている(今回、僕は紅茶を注文してしまった。残念!)。ちなみに、その旦那さんは戸越公園でコーヒー店を営んでいるとか。地元愛だねぇ。
『PEDRA BRANCA』店舗詳細
王様といちご
屹立するパフェにびっくり仰天!
生クリームたっぷりの甘~いパフェ。店主によれば、そのアイデアが生まれたのはハワイ。ホテルでチェックインするときに家族で1時間以上待たされ、ふと「ここに大きなパフェがあったら、家族みんなで食べられたのに」と夢想した。そうして、みんなで取り分けて食べる巨大パフェが誕生したわけだ。だいたい5人で食べるのが一般的なんだとか。恐れることはない。ぜひ挑戦してほしい。
『王様といちご』店舗詳細
取材・文=下関マグロ 撮影=加藤昌人
『散歩の達人』2020年3月号より