下関マグロ(しものせき まぐろ)
1958年生まれのフリーライター。2014年、北尾トロと「町中華探検隊」を結成。2015年から増山かおり、半澤則吉、山出高士とともに月刊『散歩の達人』にて『町中華探検隊がゆく!』を連載(現在は本サイトに移転)。近著に『ぶらナポ』(駒草出版)。

「名物に旨いものなし」というけれど、旨いものはある。でも本当のところは、旨いまずいじゃなくて、こちらを驚かせてくれるものこそ名物ではないかと僕は思うのだ。

たとえば、スカイツリー近くのそば屋で出していた、海老の天ぷらがそそり立つ天丼。あるいは、ご飯がエベレストのように高く盛られたカレーライス。こういった名物を写真で見ると、がぜん食べたくなってしまう。すると次には、人を誘って食べに行きたくなる。驚く顔を見たいからだ。戸越・武蔵小山界隈で、名物といえば? そう聞いて思い浮かべるものは人それぞれだろう。今回は僕の独断で、おすすめ3軒を選んでみたぞ。

【閉店】昭和喫茶 ロマンス

爺さんだけどお子様ランチが好き

大人のお子様ランチ980円は、ナポリタン、ハンバーグ、ドライカレーのオムライス。ランチタイム(11:00~14:00)はドライカレーが大盛無料。クリームソーダ680円もぜひ!
大人のお子様ランチ980円は、ナポリタン、ハンバーグ、ドライカレーのオムライス。ランチタイム(11:00~14:00)はドライカレーが大盛無料。クリームソーダ680円もぜひ!

ランチタイムで7~8割の人が注文するという「大人のお子様ランチ」は、夢のようなワンプレート。オムライスのご飯はドライカレー。昔ならカレー粉だが、これはクミンが効いているぞ、今風においしいねぇ。昭和ロマンを感じるグッズであふれる店内は、懐かしいけど新しい。インベーダーゲームやジュークボックスがあるのだけれど、見た目は古いが最新式だったりする。

店頭の食品サンプルが泣ける。
店頭の食品サンプルが泣ける。

『昭和喫茶 ロマンス』店舗詳細

住所:東京都品川区荏原3-3-22 2F/営業時間:9:00~20:00(金・土・日・祝は~21:00)/定休日:無/アクセス:東急目黒線武蔵小山駅から徒歩3分

PEDRA BRANCA

ふわっふわのホットケーキやぁぁ

ホットケーキのポテサラセット1550円はドリンクと低温調理されたポテサラがつく。紅茶は平日だと2杯、土・日・祝は1杯。
ホットケーキのポテサラセット1550円はドリンクと低温調理されたポテサラがつく。紅茶は平日だと2杯、土・日・祝は1杯。

名物のホットケーキは、特筆すべきはオリジナルのバター。ちょっと甘いのに塩気も感じられる、後引く味。そのバターがふんわり熱々のホットケーキに染みわたってよく合う。一方コーヒーは、店主の白石陽子さんの旦那さんが自家焙煎した豆を使っている(今回、僕は紅茶を注文してしまった。残念!)。ちなみに、その旦那さんは戸越公園でコーヒー店を営んでいるとか。地元愛だねぇ。

ホットケーキは焼きあがるまで20分ほどかかる。
ホットケーキは焼きあがるまで20分ほどかかる。

『PEDRA BRANCA』店舗詳細

王様といちご

屹立するパフェにびっくり仰天!

キングパフェ3000円は、ストロベリー、チョコレート、レモン、キウイ、ラズベリー、ブルーベリーと6種類のフレーバーから選べる。写真はチョコレート。ブレンドコーヒー300円。
キングパフェ3000円は、ストロベリー、チョコレート、レモン、キウイ、ラズベリー、ブルーベリーと6種類のフレーバーから選べる。写真はチョコレート。ブレンドコーヒー300円。

生クリームたっぷりの甘~いパフェ。店主によれば、そのアイデアが生まれたのはハワイ。ホテルでチェックインするときに家族で1時間以上待たされ、ふと「ここに大きなパフェがあったら、家族みんなで食べられたのに」と夢想した。そうして、みんなで取り分けて食べる巨大パフェが誕生したわけだ。だいたい5人で食べるのが一般的なんだとか。恐れることはない。ぜひ挑戦してほしい。

間口は狭いが奥までが長い店内。
間口は狭いが奥までが長い店内。

『王様といちご』店舗詳細

住所:東京都品川区小山3-24-3/営業時間:9:00~22:00/定休日:無/アクセス:東急目黒線武蔵小山駅から徒歩2分

取材・文=下関マグロ 撮影=加藤昌人
『散歩の達人』2020年3月号より