茶のみ処 中の内
秘密の基地でコーヒー片手に語り合う
門柱の看板を頼りに敷地へ入ると、納屋から楽しげな声が漏れてくる。「明治頃の建物かな。生まれてないから、よくわかんないや」と、軽妙に答えるのは店主の秦弘一(はたひろかず)さん。定年退職後、地域のみんなが集まれる場にと、納屋を改装。冬は薪ストーブで暖めて、客の心も和ませる。メニューはコーヒー8種のみ。浦和で仕入れた焙煎豆を、客の好みに応じてあっさりにも濃いめにも淹れてくれる。ゆるゆるすすりながら、茶飲み話に花が咲く場所だ。
『茶のみ処 中の内』店舗詳細
cafeきのか
日本家屋に上がり込んでまったり
昭和10年(1935)築の日本家屋は、思いのほか天井が高い。「祖父母は養蚕が盛んだった熊谷の出。その造りなんです」と、店主の浅見香子さん。元応接間&子供部屋のふた間に、愛用した年代物の家具を配し、そこに英国アンティークのティーカップ、ランプ、ピアノが鎮座。「英国に暮らした友人からの預かりもの」と笑う。ふわふわのシフォンケーキに加え、コーヒーがポットサービスなのもうれしくて、近隣の年配男性客も虜にする。
『cafeきのか』店舗詳細
カフェ&ギャラリー温々
温もりを手に、自然を愛でるひととき
陶芸作家だったオーナーが、実家の納屋を作家目線のギャラリーにと構想。駅から離れた地ゆえ、ごはんやお茶も出すことに。今では、近隣農家の野菜や米を中心に使うメニューが人気だ。作品展を望むテーブルや一人席もあるが、裏庭の雑木林を望む窓辺がとびきりの特等席。朝と夕、冬枯れ、新緑など、訪れるたびに風情が変わり、誰もがうっとり。丁寧にゆっくりと淹れたコーヒーを手に、いつまでも眺めていたくなる。
『カフェ&ギャラリー温々』店舗詳細
桃月園 Ryan 02
ポカポカの室内で味わう冬の贅沢
離れの2階、四方にある窓越しに、雑木林、家並みなどが映る。四谷荒木町で夏季限定かき氷店を開く姉妹コンビが、通年営業の店に選んだのがここ。ストーブで温まった部屋で、ほわほわの口どけを味わう幸せといったら。しかも、秋冬限定は凝った味も登場。濃厚黒ゴマ味の氷を掘れば、コーヒー味が現れて刮目する。「食べたい味を姉が考えてくれるんです」と、妹のミクさん。冬ならばこその味だ。
『桃月園 Ryan 02』店舗詳細
構成=アクトデザインラボ株式会社 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、 撮影=木村心保、高野尚人