煮干しラーメンの最高峰!『中華ソバ 伊吹』
店の前からはフワッと煮干しの香りが漂う。使用する煮干しは独自のルートで仕入れた全国各地の極上のもの。店主は煮干しのことを熟知していて、種類ごとに温度や火入れのタイミングなどを変えて、旨味を抽出しているという。おすすめは中華ソバ800円。スープはくどそうに見えるが、魚介系の上品な香りが広がり、ひと口飲めば奥深い味わいを得られる。低加水の細麺はパツっとした歯応えで、濃厚な煮干しスープを受け止める。極厚チャーシューは、ガッシリとした歯ざわり。刻みタマネギはシャッキリした食感とサッパリ感があり、力強い煮干しスープにぴったり。
『中華ソバ 伊吹』店舗詳細
エスニックな辛さが後を引く『大山ラーメン・つけ麺』
店長の小松正樹さんはミャンマー出身。ラーメンが好きでいろいろな店で修業し、この地で店を開いた。一番人気は大山辛いラーメン900円。スープは、鶏ガラを中心に、煮干しや宗田かつお節、さば節などが入る。特製の辛ダレにはトロトロに煮て甘みを出したタマネギ、ヨーグルトや豆乳のほか、ナンプラーが入る。唐辛子の辛味と辛ダレのまろやかさは癖になりそう。辛味が足りない人は店主厳選の激辛唐辛子や油唐辛子を入れよう。チャーシューは、厚いので食べやすい大きさにカット。火で炙るので香ばしさが加わる。
『大山ラーメン・つけ麺』店舗詳細
にぼしラーメンと女将の本格デザートが魅力『麺屋 はちどり』
板橋不動通り商店街にある『麺屋 はちどり』。おすすめのにぼしラーメン(しょうゆ)は、ご飯と味噌汁みたいな感覚で毎日食べられるラーメンだ。スープは、千葉と長崎の煮干しを3種類ブレンドし、北海道のがごめ昆布、鰹の厚削り、醤油ダレにキッコーゴ醤油などを合わせたもの。
水出しの煮干しと、直前に追い煮干しをして香りをつけ、さらに香油も煮干しで独特の芳ばしさのある煮干しの風味。合わせる三河屋製麺のしなやかな細麺もスープののりがよく、あっという間にスープまで飲み切る美味しさだ。
店内はカウンター席のほか、テーブル2卓に小上がりもあり、小さな子供連れやお年寄りもゆっくり寛げる雰囲気。元パティシエの女将の作る本格デザートもラーメンとセットで注文したい。
『麺屋 はちどり』店舗詳細
なぜかバナナジュースも名物なラーメン屋『morris』
東武東上線大山駅から徒歩約6分。なぜか店頭に巨大なバナナのぬいぐるみがぶら下がるラーメン屋らしからぬラーメン屋『morris(モリス)』。2008年の創業から約15年。今や地元の多くのファンに愛される人気店として定着。「女性やご家族連れにも来てほしい」というご主人の願いそのままに店内はラーメン屋らしからぬ明るいライティングと木目のやさしい内装。
ラーメンはすっきりしているのに奥深く。そのかいあって女性にも大人気の店で、女性が彼氏を連れて来店することもしばしばだとか。数年前に「勢い!」で始めたバナナジュースも好評で、ラーメン屋なのにバナナジュースのみで過ごされるお客さんもいるとのこと。
『morris』店舗詳細
ボリューム満点ワンタンメン『支那ソバ おさだ』
『支那ソバ おさだ』店主の長田翔さんは10年の修業後に店を構えた。念願の独立店は、カウンター6席のほか、4人卓や2人卓、中待ち席もあり、ファミリーでも訪れやすいつくり。店頭幕に描かれた空に浮かぶ雲のようなワンタンに思いを込めたように、ワンタンメンは自慢の一杯。
スープは鶏、豚、煮干し、昆布などの出汁がバランスのよい仕上がり。油も控え目すっきり後を引く美味しさ。麺は若干加水を高めの自家製ストレート中細麺。大釜にたっぷりの湯を張って麺を泳がせながら茹で、平ザルで鮮やかに麺上げして美しく整えられた麺は、するすると啜れるしなやかさ。
オーブンで焼き上げる香ばしいチャーシューに、自家製の皮に包まれた肉餡たっぷりのワンタンが5個とボリューム満点。担々麺や支那ソバと合わせて食べたいサイドメニュー、五香粉(ウーシャンフェン)スパイスが効いたルーロー飯も外せない!
『支那ソバ おさだ』店舗詳細
憧れのラーメン店主を目指した一杯『麺屋 ほたる』
もともとラーメン好きだった店主が、『麺処 ほん田』で美味いラーメンに初めて出会い、ラーメン屋を志して独立。店主の小島さんは『ほん田』に何度も通い、ほかにも多くのラーメン店を食べ歩き、ラーメンの教本から技術を学んで試作を重ね、ほぼ独学で自身のラーメンを作り上げた。
オープンから12年経ち、ラーメンも変化し、最初に目指した『ほん田』の味とはかなり様変わりしている。メニューは基本の醤油らーめん、塩や魚介豚骨つけめん、濃厚らーめんがあり、おすすめは油そば。オープンから半年後くらいに、お客さんの声から生まれたメニューだ。麺はカネジン食品の極太麺。
混ぜるとラーメンの醤油ダレに鶏油、酢を合わせたタレがまんべんなく麺に絡まる。温玉うどん的な油分控えめマイルドなタレが、思いの外あっさり。そこに時折フライドオニオンの芳ばしさと、鷹の爪のちょっとピリ辛なアクセント。女性でもサクッと食べれる人気メニューだ。
『麺屋 ほたる』店舗詳細
札幌味噌ラーメンの名店出身『あさひ町内会』
板橋『あさひ町内会』店主の本山敬也さんは、札幌味噌ラーメンの名店『すみれ』で13年修業した熟練者。すみれ出身店は純すみ系と呼ばれ、新店ながら純すみ系都内御三家の一軒に数えられる人気店だ。おすすめは基本の味噌らーめん。北海道の味噌を3種類ブレンドし、マイルドで誰もが食べやすい味。本山さんは、おばあちゃんが孫を連れて来ても、3代で食べられる店を目指している。
通常の味噌に比べてしょっぱくて、濃くて、油が多い、ご飯を食べさせるような中毒性のある限定「20年前恋した味噌ラーメン」も話題を呼んでいる。通常の味噌らーめんでブレンドしている3種類の味噌のうち、一番しょっぱい味噌だけを使って振り切った味に仕上げている。
ラーメンにかける想いを綴った動画をSNSに投稿すると2万回再生された。一日10食だった限定が、今ではレギュラーメニューとして提供。ラードたっぷり、中華鍋でガンガン煽って芳ばしく仕上げる渾身の一杯を味わってほしい。
『あさひ町内会』店舗詳細
元イタリアンシェフが創る鶏清湯ラーメン『麺庵 小島流』
板橋『麺庵 小島流』は、イタリアンから転身し、独学でラーメンを作り上げたシェフの店。さまざまな鶏を選定しながら、4~5年かけて自宅でラーメンを試作し、完成した鶏清湯は、既存のラーメンの作り方を一切マネしないで、イタリア料理の基本となるブロードをもとに創ったものだ。
そのスープにはラーメン約100杯分の丸鶏15kgを自分で解体して、内蔵や血合いなどを取り除き、きれいに下処理をした鶏ガラと肉を使う。使う水にもこだわり、鶏と水の比率などすべて計算して炊き上げることで、雑味のない鶏の旨味だけを抽出する。合わせる麺は、三河屋製麺の国産小麦を使った中細麺。しなやかな麺が黄金色に輝く鶏清湯スープによく絡む。
夜は本格イタリアンとラーメンに合うワインとおつまみも提供。ラーメンを食べる人もいれば、ワインを飲む人もいる、ステーキやパスタを食べる人もいる“飲めるラーメン屋”。夜の小島流も魅力的だ。
『麺庵 小島流』店舗詳細
構成=アート・サプライ 取材・文=速志 淳(アド・グリーン)、大熊美智代、夏原誠 撮影=井上洋平、大熊美智代、夏原誠