随所に細やかな工夫が光る握りのコース『鮨 山沖』

カウンター席のみ。
カウンター席のみ。

店主の山沖新(あらた)さんは、寿司一筋30年以上。店を構えてからは10年以上経つ。昼メニューは握りと巻物がズラリと並ぶ。柵漬けのマグロや、貝柱を添えて口当たりにキレを加えたウニ、切れ目を入れてシャリを詰める玉子など、独創的な品を手際よく握る。また「これを目当てに来る人もいるんです」という、イワシの出汁のお吸い物。わずかに入ったまぐろ節の甘みに、ホッと人心地がつく。

お昼のメニュー2000円。握り8種+巻物。好みのネタを追加も可。また、握り10種+巻物で3000円のメニューも新たに追加。
お昼のメニュー2000円。握り8種+巻物。好みのネタを追加も可。また、握り10種+巻物で3000円のメニューも新たに追加。
テンポよく巻物を用意。
テンポよく巻物を用意。

『鮨 山沖』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋室町1-12-14/営業時間:12:00~14:00・17:00~22:00/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分

日本橋で130年を超える歴史 時代に流されず江戸前を守る『𠮷野鮨本店』

アナゴ330円やコハダ330円ほか江戸前の仕事が入った握り。シャリが辛めで、ガリも鮮烈な辛さ!
アナゴ330円やコハダ330円ほか江戸前の仕事が入った握り。シャリが辛めで、ガリも鮮烈な辛さ!

箸袋の裏に「日本橋 髙島屋さん真裏通り」の文字。屋台時代を含め、日本橋で130年以上寿司を生業とする。酢飯は赤酢と塩のみ、マグロはヅケでも出し、コハダは粗塩をまぶしてしっかりしめ、ほぼすべてのネタに煮きりやツメを塗って出すなど、江戸前の仕事を大切にしてきた。「おまかせもいいけど、時には自分の好きなネタを自由に頼んでほしい。寿司の良さはお客さんが自由にメニューを組み立てられるところにあるから」と5代目。

5代目。手元の仕事が美しい。
5代目。手元の仕事が美しい。
車エビは塩をして甘酢に漬けてから出す。
車エビは塩をして甘酢に漬けてから出す。

『𠮷野鮨本店』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋3-8-11/営業時間:11:00~14:00・16:30~ 21:30(土は昼のみ)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩2 分

昭和元年創業の魚屋がルーツ魚の目利きに自信あり『繁乃鮨』

ランチの1人半前1800円。握りの佇まいが美しい。
ランチの1人半前1800円。握りの佇まいが美しい。

ルーツが魚屋だけあり、仕入れるネタには自信あり。「昔は2代目の親父と築地に行って、どんな魚を選ぶのか目で学んでましたね。仲買との付き合いが何十年とあるから、本マグロも最上級のものを出してくれるんです」と職人歴約30年の3代目・佐久間さん。縦返し3手という美しい所作で握られる寿司は、やや小ぶりで舟形の品のある佇まい。自慢の赤身を口に運べば、そのねっとりとした官能的な食感と、濃厚なうまみに悶絶!

しめたばかりのコハダ。しっかり酢を利かすのも江戸前ならでは。
しめたばかりのコハダ。しっかり酢を利かすのも江戸前ならでは。
「寿司は対人。ご高齢の人には小ぶりに握るなど、気遣いを大切にしてます」と3代目。
「寿司は対人。ご高齢の人には小ぶりに握るなど、気遣いを大切にしてます」と3代目。

『繁乃鮨』店舗詳細

住所:東京都日本橋本町1-4-13 高根屋ビル/営業時間:11:00~13:30・17:00~21:00/定休日:土・日・祝/アクセス:三越前駅A1 出口から徒歩2 分

ロールケーキ大の、豪華オリジナル『橡 TOCHINO-KI』

どこを食べても旨い!とちの木巻1800円。中心まで巻き込む海苔が支えになり、かぶりついても崩れない。
どこを食べても旨い!とちの木巻1800円。中心まで巻き込む海苔が支えになり、かぶりついても崩れない。

「見た目の衝撃はもちろん、食感も大切に」と、人形町に店を構えて13年になる大将・橡木義和さん。超太巻きなので、海苔は2枚使用だ。酢飯をのばしたら、トビッコ、真ん中に卵焼きとマグロ、さらにエビ、イカ、キュウリなどを隙間なく並べるも、要は淡い緑色のアボカド。野菜ソムリエの女将、雅子さんの提案で、「ねっとりおいしい」と採用に。店主夫妻もここぞというときに手みやげにすると、なぜかいいことが起きるという。福を呼ぶ巻き寿司!?

女将が仕込む味噌で味噌カッパ巻300円、トロたく巻1000円、かんわさ300円はツマミに最適。
女将が仕込む味噌で味噌カッパ巻300円、トロたく巻1000円、かんわさ300円はツマミに最適。
2階席は22名までの宴会も可能。
2階席は22名までの宴会も可能。

『 橡 TOCHINO-KI』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋人形町1-18-5/営業時間:11:45~14:30・17:00~21:30(土の夜は~21:00)/定休日:土不定・日・祝/アクセス:地下鉄浅草線・日比谷線人形町駅から2 分

ゼラチン豊富で、お肌もしっとり『日本橋 玉ゐ 本店』

食べやすく切り、竹皮で包むあなごたっぷり太巻2500円(タレ付き)は、おみやげに喜ばれる。
食べやすく切り、竹皮で包むあなごたっぷり太巻2500円(タレ付き)は、おみやげに喜ばれる。

アナゴ専門店が打ち出した名物は、約70㎝のアナゴを丸1本使う太巻きだ。夏から秋の旬に1年分を仕入れ、さばいて煮アナゴの状態で冷凍保存。今日使う分だけを焼き、タレを付け、もう一度焼けば、タレが染み込んで滋味深くなる。これを具沢山の太巻きにドーンとのせる。「タレこそ、自慢です」と、寿司職人で広報の佐藤裕二さん。アナゴ数万本の旨みが凝縮されているという。ゼラチン質が豊富で、持ち帰る頃がしっとり食べ頃。

締め加減を重要視する、江戸前寿司職人。
締め加減を重要視する、江戸前寿司職人。
ビルの谷間にある本店は、元酒屋。室町店など他にも支店が3店ある。
ビルの谷間にある本店は、元酒屋。室町店など他にも支店が3店ある。

『日本橋 玉ゐ 本店』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋2-9-9/営業時間:11:00~14:00LO・17:00~ 21:LO(土・日・祝は11 :30~15:00LO)。おみやげの店頭販売は11:00 ~21:00。/定休日:無/アクセス:地下鉄日本橋駅から2分

江戸前寿司伝統の希少な巻きに遭遇『㐂寿司』

 車エビとコハダが斜めに巻かれた手綱巻き2500円。コハダは、時季によりキスや小ダイに。
車エビとコハダが斜めに巻かれた手綱巻き2500円。コハダは、時季によりキスや小ダイに。

しっとりしたシャリ、ほろ甘い芝エビのオボロ、車エビとコハダの歯応え。目に舌に、四味一体の優しい透明感が広がって、うっとり。この江戸前ならではの技が織りなす「手綱巻き」を、創業95年の老舗の大将、油井一浩さんが受け継いでいる。「元々にぎりの箸休めで、お茶屋へ配達する弁当にも詰めました」。酢飯をまとめながら空気を抜くので、日持ちするのだ。今は品書きになく、存在を知る人が注文し、周りの客の興味をそそる。

凛とした店内。
凛とした店内。
イカの歯応えと、酢飯に混ぜた海苔の香りが後を引く、印籠詰め1300~1500円。
イカの歯応えと、酢飯に混ぜた海苔の香りが後を引く、印籠詰め1300~1500円。

『㐂寿司』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋人形町2-7-13/営業時間:11:45~14:30・17:00~21:30(土の夜は~21:00)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄日比谷線・浅草線人形町駅から徒歩2 分

構成=柿崎真英 取材=鈴木健太、高橋健太・松井一恵(teamまめ) 撮影=井上洋平、山出高士、金井塚太郎