心地よいジャズの音色に酔いしれる『JAZZ UNION』
赤と黒で調えた空間で、赤いアップライトピアノが存在感を放つ。日替わり店長はミュージシャンも多く、ジャズ話に花が咲くこともしばしば。棚には毎月入れ替わるCDが800枚も! 気になる一枚を託せば、オーナー自慢のマッキントッシュの真空管や、工房に特注したアンプ、JBLのスピーカーを通して、粒の丸い音がのびやかに躍り出る。月一のライブは超至近距離。音の渦を体感できる。
『JAZZ UNION』店舗詳細
温もりのロッジで自家焙煎コーヒーを『Coffee House TOM』
店主の古巻力(つとむ)さんは、新宿『トーアコーヒー』から仕入れる豆で、約20年前から焙煎を開始。ブレンドのストロング珈琲は苦味まろやかで、スイーツにも用いる。珍しいのがジジロアだ。カフェオレをゼラチンで固めたもので「ババロアもあるしね、ババとジジでいいかって」と、打ち明けるのは妻の孝子さん。艶やかな木調空間に、繕いながら愛用する手編み座布団が並び、その風情にも心温まる。
『Coffee House TOM』店舗詳細
気分で使い分けられる2つの空間『J-COOK』
ガレージに、床や天井、壁を張って手作り。降り注ぐ陽光の気持ちいいこと!「夜もいいって言われるの。あと、雨の日は音がにぎやかね」と、常連客に挨拶を交わしながら、中尾敦子さんが穏やかに微笑む。奥のアンティークで設えた小部屋は、反対に心落ち着くほの暗さ。ここでは、西洋料理、フレンチを研鑽したご主人手製の料理やスイーツを。朝も夜も使える贅沢さに、つい長居したくなる。
『J-COOK』店舗詳細
引き継がれた贅沢な香りにときめく『Café 香咲』
無垢の一枚板カウンターが続き、漆喰の壁が光を受け止める。名物は創業時から変わらぬホットケーキだ。マダガスカル産バニラビーンズが芳醇で、フカフカしっとりの口どけにうっとり。エイジングコーヒーの豊かなコクにもぴったりだ。1984年創業の店を母から引き継いだのは、2代目の岩根愛さん。「最近は、ラザニアなどの食後に食べる人も増えてますよ」。代を重ねて進化を続けている。
『Café 香咲』店舗詳細
ステンドグラスが灯る秘密基地『泥人形』
怪しげな店名だが、足を運べば杞憂とわかる。宇宙をイメージしたという銅製ランプは、星や太陽をちりばめ、ベルベッドの木製椅子に、店主・林秀雄さんの星座を刻印。漆喰とレンガの落ち着いた風情の中「隣は国立能楽堂。野村萬斎さんもよく勉強しにいらしてたわ」と、奥様の洋子さん。高菜ピラフや、トマトをソースに潰し入れるナポリタンやオムライスなど、腹ごしらえにもうってつけ。
『泥人形』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=金井塚太郎
『散歩の達人』2020年1月号より