豊富なランチメニューと牛タンのおいしさが魅力
西武秩父駅のすぐ近くには秩父市役所があり、秩父の行政の中心地。その市役所のすぐ向かいにある『秩父ビジネスプラザ』、その1Fにあるのが『LAMP』。牛タンと秩父野菜を味わえる店だ。
とてもランチメニューが豊富な店なのだが、なかでもお店一押しという牛タンランチ1300円がこちら。どっさりと盛られた色鮮やかな野菜と、ご飯の上に花のようにのせられた牛タン……これにスープとドリンクが付く。え、安すぎませんか? 思わず店主の鬼島利英さんに確認してしまう。
「そう言ってもらえるとうれしいです(笑)」と鬼島さん。
まずはご飯の上にのせられた牛タンを一口。しっとり焼き上げられた牛タンは柔らかく、塩味が絶妙でご飯がすすむ。添えられたみずみずしい野菜は、秩父を中心に近隣のものをメインで使っているとか。お肉の美味しさはもちろん、野菜もしっかり食べられてこのお値段……こんな店が近くにあれば! と心の底から思ってしまう。
大きなチャレンジだった、秩父での開業
じつは鬼島さん、出身は横浜。焼肉店で修行をし、独立開業を目指していた。物件をいろいろと探していたところ、秩父地域おもてなし観光公社、秩父市、西武鉄道の三者が行っていた「秩父チャレンジショップ制度」という起業支援制度を知る。
「魅力的な条件だったんですけど、土地勘がない場所ということもあり、一度は断念したんです。でも実際に秩父を訪れ、いろいろと考えるうちに『挑戦できるのでは』と」
親族も知り合いもいない地で、一からの起業。しかし前述の制度がいろいろと支援をしてくれ、開業にこぎつけた。本来は焼肉屋を目指していたが、建物の制約があるのでこのスタイルで営業することになったそう。店名の『LAMP』は横浜と秩父、両地域でのお祭りに使われている“灯り”から。両地域を繋ぐ存在でありたい、秩父の街の“灯り”でありたい。そんな鬼島さんの願いがこめられている。
開店から2年、今ではすっかり地元の人に受け入れられている模様。昼は近隣で働く人や子連れのお母さん、夜は家族連れまで幅広いお客でにぎわう店に。
「秩父はもともと豚食文化。ホルモン焼き店は多いんですけど“普通の焼肉店”は少ないんです。それもあり『このあたりでは食べられないものを』というのを意識しています。日常の中で、外食の選択肢が増えるのはうれしいですよね」
開業して実感しているのは、食材の豊富さ。特に野菜類は質がよく新鮮なものが安価で手に入る。それが野菜たっぷりのランチメニューにも反映されているというわけだ。
「秩父の良さは人々の横のつながりが強く、古いものを大切にするところだと思います。それでいて、うちのような新しい店も応援してくれるんですよね」
そう語る鬼島さん。また別の形で秩父の魅力を感じさせてくれる、そんな店だ。
構成=フリート 取材・文・撮影=川口有紀