一番人気はマグロの中落ち定食とモツ煮込み
「一番出るのは、マグロの中落ち定食とモツ煮ですね。ほとんどのお客さんが注文します」と店主の土居靖さん。注文するとほんの5分でテーブルに並んだ。中落ちは、マグロの骨部分の肉をこそげ落とした赤身肉。脂が少なく、さっぱりとしていて旨味が強い。ご飯と一緒でも、ご飯の上に乗せて丼のようにして食べても美味しい。
トロトロになるまで煮込んだモツ煮は甘めの味噌味。食べる直前にネギと七味をかけてくれる。毎朝仕入れる新鮮なモツ肉を使っているので、においやクセが全くない。このモツ煮とマグロの中落ちは人気が高く、最初はそれぞれ定食で出していたものの「どちらも食べたい」というお客さんの要望から単品でも出すようになった。
また、ご飯が美味しいのも市場飯の醍醐味だ。地元・千葉産の新米で、季節によって2種類の米をブレンドして使っている。大盛りなので、おかずが2種類あってもバランスがいい。
3代目の店主はマグロのセリ人だった
店主の土居さんは3代目。『福田家食堂』は、土居さんの義理の祖母にあたる福田いちさんが開いた店だ。昭和44年に市場がこの場所にできる前、まだ船橋駅前にあった頃から60年以上も続いているという老舗なのだ。
30年前ほど前、当時マグロのセリ人だった土居さんが奥さんと結婚し、この店を継いだ。マグロに関してはプロなのだ。中落ちがどれだけ獲れるかは、その日入荷したマグロの数次第なので、品切れにはご注意を。中落ちに次いで人気はマグロ刺身定食900円だ。
開店以来変わらない、素朴な昭和の雰囲気。
店内はカウンターに、黒いスツール席が並ぶ素朴な昭和の雰囲気。早朝は市場関係者の朝ごはんとして、昼は一般客が散歩のついでに立ち寄ることも多いそう。この日も、女性客4人がカウンター席をにぎやかに彩っていた。
旬の魚で作る煮魚や焼き魚も、その日ある物を聞いてから注文してみたい。開店は朝5時からなので、ちょっと足を延ばして、贅沢な朝ご飯として、早朝に来てみるのもおすすめだ。
取材・文・撮影=新井鏡子