スヌーピーは、 チャールズ ・シュルツが49年間も描き続けたコミック、『ピーナッツ』の一員だってことを忘れちゃいけない。チャーリー・ブラウンと共に一番多く登場するけど、個性豊かな仲間たちと一緒。そんなシュルツさんの思いを、ミュージアムは伝えてくれる。
部屋いっぱいに広がるオールスター総出演の360度映像、オープニング・シアターが、見る者を一瞬でピーナッツ・ギャング(登場する仲間たちの愛称)にしてくれる。そしてシュルツさんの生涯を振り返るギャラリーへ。家族、絵を描くこと、スヌーピーのモチーフになった愛犬、そして青年時代……と、豊富な写真や彼の言葉で紹介する。ピーナッツが豊かな想像力だけではなく、彼自身の経験や体験も作品の大切な糧になっていることがわかる。
ピーナッツ・ギャング・ギャラリーは、誰かを特別扱いすることもなく、登場人物たちを、活躍するシーンやグッズと共に紹介している。そこには、人を性差や人種で差別も区別も一切しないシュルツさんの思いが込められている。楽しみ悩みも喜びも、全部ありな普通の日々こそが、一番幸せなんだなぁ……。
年に2度模様替えする企画展では、本国の『シュルツ美術館』からやって来る原画が、テーマに合わせてゆったりと展示される。2020年12月現在はスヌーピー隊長がウッドストックたちを従えて野山を巡る『ビーグル・スカウト』(2021年1月11日まで)。生原稿のぬくもりを見てると、時間の経つのを忘れてしまう。
喜び悩み考えながらも、日々を楽しむピーナッツ・ギャングの誰かに、いつの間にか自分を投影してしまう。やっぱり僕はチャーリー・ブラウンかなぁって。そう思いつつ各ルームを巡り、幸せそうに寝そべる巨大スヌーピーに出会う。もうシュルツさんの思うつぼじゃん。
さてと、隣の『PEANUTS Cafe』で反芻(はんすう)しようかな、 ピーナッツ的シアワセについてね。
『スヌーピーミュージアム』詳細
取材・文=高野ひろし 撮影=オカダタカオ
© Peanuts Worldwide LLC
『散歩の達人』2020年12月号より