周波数を78・9MHzに合わせると、ラジオの向こうから心地良い音楽が流れる。湘南ビーチFMは、ジャーナリスト・木村太郎さんが発起人となって始まった。木村さんと親交のあった竹下さんも、立ち上げメンバーの一人だ。
「当時、選曲の仕事がしたくて『何でもいいから手伝わせてください』とかかわったのがきっかけです。余計なことはしゃべらず、音楽をきちんと届ける。開局当初のコンセプトは今も変わりません」
竹下さんがDJを務める番組『SHONAN BREEZE SUNDAY』は1995年にスタート。選曲はすべて自ら行う。
「番組の中で日の光を感じられたらといいなと思って選曲しています。12時台はテンポの良い曲。13時以降はAOR、R&B、ジャズ、オルタナ、ブラジルなどさまざま。日が暮れたらメロウに。季節や天気によっても変えています。選曲は放送前日。この空に合う一曲はなんだろうと考えながら調べているとあっという間。選曲後は曲順を整え、ミックス作業まで行います」
竹下さんの人柄に魅了され、番組には区域外のファンも多い。インターネット配信の開始以降、海外のリスナーも。「イタリアやスペインから毎週お便りをくださる方もいますし、『日本の海の雰囲気を感じたい』と海外在住の日本人の方も聴いてくださっています。今日は名古屋から、わざわざスタジオに差し入れを届けてくださった方もいました」とにっこり。
開局から33年、地域に根ざしてきた同局にとって、災害時の放送も重要な役割だ。東日本大震災時は、誰に言われるでもなくスタッフが集まった。
「停電で真っ暗な中、非常用発電機で放送を続け、交通情報や分かっている情報を必死に届けました。災害時に地域の人に寄り添うことも、コミュニティー放送の大事な役目です」
毎週日曜午後、6時間の生放送を30年以上続けてこられた理由は?
「好きだからですね。結局のところ自分の番組が大好き。それを聴いていただけることもうれしいし、楽しい。それだけです」
取材・文=村田あやこ 撮影=逢坂 聡
『散歩の達人』2026年6月号より







