鎌倉に似合う音楽あります『disques(ディスク) blue-very』【和田塚】

アメリカとインドネシアの男女ユニット、Mr. And Mrs. MuffinsのLP3850円。
アメリカとインドネシアの男女ユニット、Mr. And Mrs. MuffinsのLP3850円。
ギターボーカル、サックス、パーカッションのトリオ、Vacation ThreeのCD2000円。
ギターボーカル、サックス、パーカッションのトリオ、Vacation ThreeのCD2000円。
手塚理美さんのLP『15才の肖像』も発見!
手塚理美さんのLP『15才の肖像』も発見!

小さな螺旋(らせん)階段を上がった3階、日当たり良好な店内はまるで秘密のレコード部屋。レコード店歴20年以上の中村慶さんが2024年に都内から移転オープンした。街に合いそうなソフトロックやネオ・アコ、AORなどのレコードをメインに、CD、カセットテープを取り扱う。オリジナルレーベルもあり57作ほどリリース。

14:00~17:00(土・日は~18:00)、火・木休。
☎0467-37-8472

心に響く、美しきはり絵の世界『内田正泰記念アートギャラリー』【長谷】

作品の絵葉書は1枚200円。
作品の絵葉書は1枚200円。
小動岬と江ノ島を望む七里ヶ浜の作品(絵葉書)。
小動岬と江ノ島を望む七里ヶ浜の作品(絵葉書)。
明月院とアジサイの「梅雨に冴える」(原画)。
明月院とアジサイの「梅雨に冴える」(原画)。
丁寧に説明してくれる内田光さんと妻・美枝子さん。
丁寧に説明してくれる内田光さんと妻・美枝子さん。

はり絵画家の内田正泰氏が亡くなる97歳まで60年以上制作したはり絵を展示。約900点の原画から季節に合わせて選ばれた20点ほどを鑑賞できる。手で切った洋紙の細やかな切り口、品のある配色、大胆で洗練された構図に、ただただため息。「名所ではなくても、素直に美しいと思った日本の風景をはり絵に残してくれました」とご子息で館長の内田光さん。

10:00~17:00(11~2月は~16:00)、月・第3火休。
☎0467-23-5105

和の空間で憩い、ときどき映画『古民家ゆりいか』【長谷】

自家製プリンとスコーンは各600円、ドリップコーヒー、自家製レモネードは各500円。
自家製プリンとスコーンは各600円、ドリップコーヒー、自家製レモネードは各500円。
平野さんと調理担当の妻・由里子さん。
平野さんと調理担当の妻・由里子さん。

築100年ほどの日本家屋をリフォームし、2024年からアートスペースに。地域のお稽古事や作品展など、鎌倉で何かしたい人のための場として活用されている。また、毎月1回は「鎌倉シネマ」と称し、ドキュメンタリー映画を上映。「目指すのは個人的な公民館」と、代表で映像作家の平野隆章さん。催しのない日は喫茶として数種類の飲み物や菓子を提供。静寂なひとときを過ごせる。

10:00~17:00、水休。
☎090-6543-9707

楽しみたい、写真のある暮らし『Atelier Piccolo(アトリエ ピッコロ)』【極楽寺】

「カフェ感覚で記念写真を」と鈴木さん。
「カフェ感覚で記念写真を」と鈴木さん。
海岸で集めた貝などで作った海辺のクリップ1個350円。
海岸で集めた貝などで作った海辺のクリップ1個350円。
『よはく』で鈴木さんが撮った記念写真。
『よはく』で鈴木さんが撮った記念写真。
鎌倉の風景などが印刷されたポチ袋385円。
鎌倉の風景などが印刷されたポチ袋385円。
日光写真で作ったオリジナル切手1枚210円。
日光写真で作ったオリジナル切手1枚210円。

写真家の鈴木さや香さんが営むアトリエ・ショップ。自身の撮影作品とそれを活用した封筒や切手、絵葉書のほか、写真を素敵に飾る古材のフォトフレームやクリップなどの雑貨が並ぶ。撮った画像をポチ袋などに仕立ててくれるサービスや、一角に併設する小さなスタジオ『よはく』で鈴木さんによる記念写真撮影も!「画像ではなく、紙にプリントする写真も大事にしたい」。

11:00~17:00、不定休。
☎0467-55-5165

江ノ電ファンでもそうじゃなくても『喫茶 とれいん』【腰越】

ナポリタン900円、アイスティー650円。
ナポリタン900円、アイスティー650円。
ケチャップで描いた顔がかわいいオムライス1200円は豚肉たっぷり。
ケチャップで描いた顔がかわいいオムライス1200円は豚肉たっぷり。
色違いのエプロン姿の田中さん、娘・美歌さん、妻・裕子さん。
色違いのエプロン姿の田中さん、娘・美歌さん、妻・裕子さん。
300形の模型もあるぞ。
300形の模型もあるぞ。

1万両以上も鉄道模型を収集する田中耕二さんが「お年寄りも集える憩いの場を」と公務員を早期退職して2018年にオープン。店内は江ノ電だけで50両以上ある模型に銘板や行先表示プレートの展示、生写真販売など、鉄道グッズ満載。海外の江ノ電好きも訪ねる聖地だ。が、鉄道ファンでなくとも、気さくで話しやすい田中さんとのおしゃべりも楽しい。

10:00~16:30、月・火休。
☎0467-31-3671

元気をもらえる本格“包(パオ)”『KOINOBORI』【江ノ島】

焼湘籠包4個550円、ちまき440円、湘南レモンの果汁を搾った湘南ハイボール500円。
焼湘籠包4個550円、ちまき440円、湘南レモンの果汁を搾った湘南ハイボール500円。
肉まん440円の包み紙のメッセージもご注目。
肉まん440円の包み紙のメッセージもご注目。

2026年に開店した包み料理の店は5席だけの小ささながらラインアップは14品も! 上原芳恵さんが香港出身の母から製法を教わった本格派で、材料は豚肉をはじめ国産にこだわり、白砂糖、ラード、増粘剤、保存料を不使用。甘みはきび糖、うまみは塩糀で出す。手作りの皮からして絶品だ。「海にはいろんな人が来るからどんな気持ちも包んで元気になってもらえたら」。

11:00~18:00、月・火・水休。
☎なし
Instagram:koinobori_shonan

illust_17.svg
腰越駅に入線する1000形。短いホームなので4両編成は車両がはみ出す。
腰越駅に入線する1000形。短いホームなので4両編成は車両がはみ出す。

なぜだろう。混んでいると分かっているのに乗ってしまう。鎌倉駅の江ノ電乗り場、意気込んで先頭車に立つ。ゆるりと動き出す車両と共に、こちらの胸も高鳴り始める。

家々の脇をスレスレにすり抜けて着いた和田塚駅。江ノ電歩きに合いそうな音楽を『disques blue-very』で探すのだ。「海の匂いがする感じ。湘南的で軽やかです」と、店主の中村慶さんが推してくれたのは、逗子在住のメンバーがいるトリオの1枚。新しい出合いにワクワクする。

江ノ電も徒歩ものんびり。だから気づける

2026年4月19日から運行している700形は、20年ぶりの新型車両だ。
2026年4月19日から運行している700形は、20年ぶりの新型車両だ。

再び電車に揺られると、長谷駅のホームに人だかり。観光客たちがスマホを向け待ち構えてるではないか。思わず「すごー!」と口に出る。人の往来が激しい長谷も、駅と大仏を結ぶメインストリートから外れれば、途端に人はまばらになる。「この街にいると歩くスピードものんびりしがちで、ついキョロキョロしてしまう。周りに目が行くようになりますね」とは、路地にたたずむ『内田正泰記念アートギャラリー』の内田光さん。

確かに。せかせかしてたら見逃しそうな脇道に気づいて『古民家ゆりいか』とも出合えた。「鎌倉の、暗いところ、妖怪が出そうなじめじめさも好きなんです。以前は明るいイメージに抵抗感があったのですが、インドア派も居やすいんだと思うようになりました」と、代表の平野隆章さん。そう聞いて長谷〜極楽寺間は徒歩で行く。

極楽寺切通(きりどおし)は、木々が茂り日中でもうら寂しい。それもあえて楽しもう。息を切らして上がると、“写真の駅”のような『Atelier Piccolo』に到着。「極楽寺はのどかなところが魅力で、江ノ電で一番人通りが少ないです。でも、『うぐいす鳴き始めたね』、『お花屋さんができたらしいよ』なんて当たり前に交わす言葉がここにはあるんです」と、店主の鈴木さや香さん。

明治40年(1907)竣工のトンネル「極楽洞」。
明治40年(1907)竣工のトンネル「極楽洞」。

キュイイ。ツツピー。いくつもの鳥のさえずりコレクションに耳を澄ませながら極楽寺を下ると、右側から線路が接近。江ノ電と並んで歩ける併用軌道だ。稲村ヶ崎駅で電車に乗り込み車窓を望めば、ゆるいカーブの先に、海だ!アクアマリンにターコイズブルー、サファイヤ……と表現が追いつかないほど多彩な青のグラデーションに見入る。

相模湾との並走は小動(こゆるぎ)岬の手前で終わり、右にカーブし腰越駅へ。ここは下車して約500mの併用軌道を歩きたい。電車が来るたび車は脇によけて止まり、電車を通す。譲り合って生きてるのだなあ。「江ノ電は住民の足として皆さんに愛されていますから」と、江ノ電のことならお任せの『喫茶 とれいん』の田中耕二さん。この日は新型車の最新情報を教えてくれた。

龍口寺前交差点のS字カーブは、江ノ電の見どころの一つ。
龍口寺前交差点のS字カーブは、江ノ電の見どころの一つ。

さて、そろそろ江ノ電とのランデブーもおしまい。S字カーブの撮影ポイント前にできた『KOINOBORI』で小籠包とハイボールで乾杯だ。あ、どうせなら近くの片瀬東浜まで行こう。穏やかな水平線、波の音のサラウンド。ああ、この光景をごほうびに、また江ノ電に乗っちゃうんだろうな。

取材・文=下里康子 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2026年6月号より

聞こえてくるのは、風の音や鳥の声。人工的な音が少なく、歩いていると心も体も軽くなっていく気がする。山の景色には四季折々の表情があり、飽きることがない。北鎌倉では、のんびり、自然に身を委ねるのがいい。